閉ざされた蕾 ※


「い、痛い・・・・・・なにす・・」


うつ伏せにされ尻が浮いた体勢をとらされる。
足を大きく左右に割られ、双丘の肉を掴む手が尻の割れ目を大きく開いた。
隠されていた最奥の場所が室内の淡い光に晒され、アナルに冷たい空気をひんやりと感じさせる。

「な、・・・・・・・・そ・・・なとこ、見るな・・・」

ほう・・・とアナルを注視する龍成が、指で孔の両脇をなぞりながら感嘆のため息をこぼした。

「使ってないのか?意外と、きれいなままだな」

孔の周りを指でそっと円を描くようになぞると、括約筋がピクピクと収縮し、物欲しげに男を誘う淫らな妖華のようにアナルが蠢く。いや、今回はまだ咲かせてはいないのだから、これは蕾と言った方が相応しいだろう。それでもこの蕾は男を知らないわけではない。男を知ってもなお、こんなに窄まりきれいな珊瑚色。乳首を刺激しただけで、簡単に堕ちてしまう虎太郎が、男を求めずつつましげに過ごせただろうか。11年も・・・



「向こうで何人の男とヤったんだ」

男との関係を勘ぐる龍成は、虎太郎の孔の周りをグイッと押したり軽く引っ掻いたりして、その柔らかく細かいしわの弾力を確かめていたが、質問に答えない虎太郎にしびれを切らしたのか、孔の入口にいきなり強く爪を立てた。

「いっ!・・・・・痛い」

乾いた入口に立てた指は、人差し指の第一関節まで差し込みそこで動きを止める。それ以上は中まで入れず、蕾が侵入者を拒みしわがギュッと引き絞る様を見て、自分の指に吸い付いているアナルを面白げに観察した。
龍成の人差し指に張り付くアナルのひだを、親指の爪でガリッと乱暴に引っ掻くと、また孔が締まり指先を締め付けた。

「痛い!・・そこ・・・ぁ・・やだ」

痛みを与えると指さえもこんなに締め付けるほど、虎太郎の孔は極狭で入口は硬い。

そんなに使い込まれていないことは明らかだが、この孔にどれだけの男が侵入を果たしたのかと思うと、そいつらを見付け出し切り刻んでしまいたくなるほどの殺意が生まれる。
虎太郎は自分のペット。
これを自由にできるのは、自分だけ。
こいつを泣かせるのも、傷つけるのも、味わうのも自分。
そんな暗く、陰湿で狂気に満ちた変質的な妄執が、龍成の中で渦巻いていた。


アナルに指をわずかばかり刺したまま孔の周りをいたぶる龍成に、虎太郎はギュッと目を閉じてその羞恥に耐える。

「男と寝たのか」
「・・・・・・」

答えない虎太郎の孔に、周りを嬲っていた親指の先も無理やり突っ込み、入口付近の硬い内壁の肉を二本の指でグリッと挟み掴んだ。

「・・い・・痛い!・・・った・・・い・・あ・・やめ・・・・やっ・・・だ」
「ここに男を咥え込んだのかって、聞いてんだがな」

体の内側に肉を潰されるような痛みを感じた。体内まで傷つけられそうな恐怖に、広げられた脚は震え、太ももがぷるぷると戦慄く。そしてまた指の向きを変えた龍成は、内壁の肉に爪を立てて掴み上げる。

「ああ!っ・・い・・・・痛ぃ・・・ぃっ・・い・・らい・・・。し・・・してな・・・」
「ああ?何言ってんだ。聞こえねえな」


「っぅ・・・・・し・・・・・・・して・・・・・な、い」


痛みに耐えて声を絞り出しやっと答えた。

(っ・・・そんなこと・・・・・男となんて・・・・するはずがない。)

確かにアメリカで自分は同性愛の対象として見られたことはあったし、周りにもゲイを愛好する人達はいた。しかし虎太郎自身が男をセックスの対象としたことは一度もない。昔も今もその嗜好は変わらない。自分は女しか相手にしないし、大半の人間がオンリーなはずだ。
自分に好き好んでこんな虐待じみたセックスを強要するのは、世界中探しても龍成くらいだと虎太郎は憎しみを込めてそう思う。

(なのに・・・何でお前からそんなこと言われなきゃならいんだ!)

「本当か」

「・・・ほ、んと」


「11年も、我慢してたっていうのか」

「・・・ほん・・・に。して・・・・な・・・・い」


「じゃあ、ここに突っ込んだのは俺だけか」


孔の入口をしつこくいじくりながら、龍成は自分が虎太郎に望んでいる答えを無理やり言わせようとする。

「りぅ・・ せ・・い・・だけ・・・・・」

「・・・嘘じゃねえだろうな」

疑い深い龍成に、何とか一度だけ頭を縦に動かし、頷き答えて見せた。



虎太郎の告白を信じたのかどうかは分からないが、内壁を痛めつける行為はそこで終わりを告げ、次にヌルッとしたものが孔の周りを這い始めた。

「んぁ・・・」

虎太郎の孔の周りを生温かい龍成の舌が這いずり回る。
尖らせた舌先で上下に刺激を与えたり、回しながら肉ひだを広げたり、孔ごと吸い上げたり、クチュクチュと背後から卑猥な音が生まれる。

「くぅ・・・・はぁぁ・・・・・くっ!」

うつ伏せの体で発する喘ぎ声はシーツの中に沈み、伸びすぎた前髪がサラリと落ち紅潮した表情を覆い隠す。
背中で縛られた腕はもう麻痺しているのか感覚が薄く、ギュッと握りこんだ指の爪が、てのひらに食い込み新たな傷を作っていたが、その痛みは痺れていて伝わらなかった。

「今日はたっぷりほぐしてやる」
「っ・・は・・・・・・や・・・・やめろ・・・もう・・・ぁ・・・・」

(11年ぶりみてぇだからな。)

完全な性交渉の否定はできないが、擦れていないひだの形と珊瑚色のきれいな蕾の閉じ具合、引き絞った固いアナルの収縮する感触を確かめながら、虎太郎が言うようにこの11年間、己以外の誰もこの体を暴いていないのは真実かもしれないと、龍成はそう結論付けることにした。


――― 虎太郎を犯したのは自分だけ。そしてこれからも犯し続けるのは自分だけ。


その征服欲と湧き上がる高揚感に、自分の雄が凶暴に猛り狂うのを感じた。早く虎太郎を内部から引き裂きたいと、獣の狂気が頭をもたげる。

人差し指を小さな蕾の中心に当て、グイっと中に入れ込む。

「いっ・・!」

さっきと同じく第一関節しか入れていないのに、ほぐしたはずの虎太郎の孔は侵入者をきつく拒んだ。
指をそのまま真っ直ぐに付け根まで進み入れる。圧迫感はあるものの、先端さえ入ってしまえば後はすんなりと指を受け入れた。
人差し指が全て埋まったところで、今度は中をグリグリと掻き回す。

「んん・・・やめ・・・・・、気持ち、わ・・・・る」

腸内をうごめく異物の感覚は久しぶりで、ゾワゾワとしたおかしな感覚がそこから波及し、体に広がっていった。

「こっちは、慣れるのに時間がかかる。今日は・・・・・・・・・気持ちよくはならねぇだろうな」
「ふ・・・・ぁっ」

そう言ってから指を引き出す。異物が出ていく排出感がたまらず気持ち悪い。そしてすぐに今度は中指を増やし、指を同時に2本潜り込ませて来た。

「いっ・・う・・・痛い、いた・・・・・い、やめ、ろ・・・・あぁぅ・・・・」

太い指を無理にねじ込まれると、尻のしわごと孔の中にめり込むような、内部に引きずり込まれるような突っ張る痛みを感じた。
太い指のごつごつした関節が入口を広げ、その拡張される痛みを逃そうと足を踏ん張ると、シーツに接した右足の小指がこすれ噛まれた痛みがよみがえる。無理に力を入れて踏ん張ったから、また傷口が広がったのかもしれない。

「これが痛いだと?・・・・・3本でも平気で咥え込んでいたのにな。こりゃぁ相当なブランクだ」

硬く閉ざされた蕾は、舌と指でほぐしても、虎太郎に痛みしか与えなかった。そこで感じていたのが嘘のように、不快感と痛みだけがアナルに残る。

「まあいい。そのうち慣れて、また前みてえに悦んで喰らいつくようになる」

龍成は脱いで放っていたスーツの上着を手繰り寄せ、ポケットの中からチューブを取り出した。搾り出した透明なジェルを指にたっぷり付け、双丘の狭間に塗り付けていく。

「ひっ、あ!」

ブチュッという、何かを搾りだすような音を聞いて、虎太郎は龍成に掴まれた尻を震わせた。

「な・・何を!」
「これかぁ?さっき買いに行かせた」

何をされているのかが見えないのは怖い。

「あ・・やだ・・・・それ・・・っあぁ!」

ヌルットした冷たいものが後孔に塗りこめられている。そこで初めて潤滑剤を使われていることが分かった。
プチュッと絞り出される音が続いて、「これくらいでいいか」という声の後にまた指が入って来た。

「んんっ・・あぁ」

今度はさっきのような痛みは訪れず、指は滑るようにすんなりと入っていく。だが痛みを感じない分、指の存在をはっきりと内部に感じた。圧迫感が増して異物の気持ち悪さは倍増した。

「や、抜い、て・・・くれ・・・・・・・気持ち、わる・・・・」

「これのおかげでもう一本入りそうだ」


(この気持ち悪い感覚が、また増える!)


「だ、もう・・・・・・無理」

震える喉で声を引き絞りながら訴えるが、中を掻き回す指は止まらずグチャグチャと激しい水音まで立ち始める。

「3本はやっとかねぇと、後で痛てぇのはタロだぜ」

掻き回す音が繰り返し頭の中に響いて、広げられる孔が熱を持ってジグジグ疼き出す。


「痛ぇのがいいなら、今すぐぶち込んでやってもいいがな。どうする、タロ」


お前が選べと、龍成は笑い声を立てた。


(痛いの・・・や・・・だ、 これ以上もう・・・痛い・・・のは・・・・・)



「や、やだ・・・」


「じゃあ大人しく尻突き出して、指を咥えてろ」


野獣の恐ろしく無慈悲な言葉にプライドも何もかも捨てて、虎太郎は体を明け渡すしかなかった。

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あきゅろす。
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