よみがえる性感


「ここが、イイはずなんだがな」

「っ・・・あぁ!」


乳首をギュッと抓まれ、龍成の興味は薄っぺらな胸へと移る。


人差し指の爪先で引っ掻くように乳頭を弄ぶ。
それがむず痒くて胸を僅かに動かすと、その反応に気を良くしたらしく、「やっぱり感じるじゃねえか」と口角を引きあ上げ勝ち誇ったように笑った。



両手を左右の胸に這わせ、乳首の周りを10本の指が蠢く感触は、まるでたくさんの虫が這いずっているような嫌悪感を与える一方、わざと触れずにいる乳首は胸への愛撫に刺激されぷっくらと膨らみを帯び、先端をピンとしこらせその存在を主張していた。

「くくっ、乳首が立ってるぞ。よっぽど好きなんだな、ここをいじくられるのが」
「ちが・・・そんなこと・・・」
「違わねえさ。俺にいじくられるのを、ずっと待ってたんだろう?」
「ちが・・・う・・・」
「素直によがってりゃ、いくらでも天国見せてやる」
「や・・やだ・・・・さわ・・・な・・」

ピンと天を差した乳頭の周りを、人差し指の腹で円を描くように撫でる。
ピンクの乳輪をなぞりながら、時折乳首の付け根部分を引っ掻いた。

「ん・・・んあぁ・・」

柔らかい乳倫と、硬くしこる乳首。その二つの感触を楽しみながら、龍成は何かを確かめるように引っ掻く行為を繰り返した。

「前は確か、10mmで丁度よかったんだよなぁ」

言葉の意味が分からず、乳首のくびれの部分を観察するように見ている龍成を不安気に見返すと、そんな虎太郎に更に追い打ちをかけるような台詞を吐いた。

「タロの乳首のサイズ、前は10mmくらいだったろう」
「な、何を・・・て・・めえは・・・ぁっ・・」

(そんなこと知るか!!普通知らねえだろう!何が言いたいんだこいつは!!)

趣味の悪いことを口にする目の前で笑う男を睨むが、刺激に顔を紅潮させた表情で睨んでみてもあまり効果はなく、そんな怒りを湛える顔は龍成の色情を煽るだけだった。
太い指が、小さく尖った乳頭を指の腹で擦り上げる。ごつくて太い乱暴な指先に遊ばれる小さな乳首は、今にも押しつぶされてしまいそうなほどもろくか弱い存在に見えた。

「っ・・・う・・あ、・・・・ん・・・・・・あぁ・・」

「コリコリだぞ。熟した小梅みてえだな」

左右同時にゆっくりと、そして時には速く先端をこする。単調ではないランダムな刺激に、先ほど周囲をまざくっていたものとは比べ物にならない感覚が沸き起こった。


昔、男でも女でも乳首は感じると、龍成から教えられた。
それを聞いて俺は嘘だと思った。女じゃあるまいし、男が乳首で感じるはずがないと頭ごなしにそう決めつけていた。実際膨らみの無いペッタンコな胸に初めて触れられた時は、嫌悪感がして、吐き気が沸き起こり、気持ちが悪さだけが残った。
だが、不快だった感触が、快感に変わるまでにそう時間はかからなかった。
龍成に捕えられて以降、奴の念の入った調教によって、乳首は胸を指でなぞられただけで、触ってもいない乳首に刺激が伝わって感じてしまうほど、開発されてしまった。

男なのに、乳首で悦ぶ浅ましい体。
11年経ってそんなふしだらな体の感覚など完全に過去の物となったと思っていたのに・・・・・それは間違いだった。
ほんのわずかな時間嬲られただけで、虎太郎の乳首はいじられることを欲するがごとく赤くははち切れんばかりに熟れて、獣の目を楽しませていたのだった。


「覚えてるか、タロ」


昔の嫌な記憶に頭を支配されていた虎太郎は、その声で現実に引き戻されたが、過去も現実も最悪な状況であり、龍成を睨むことで牽制するしかできない自分が口惜しくて唇を噛んだ。
血の味が口内にまた広がる。獣とのセックスで、血を流さなかったことがあっただろうか・・・

「い・・・いっ・・・ぁ」

「昔、お前のここに・・・」

乳首を弄びながら、爪でくびれをツンツンと引っ掻く。そして爪で挟んで乳首を引き延ばすと、ピリリとした痛みが電流のように走りその刺激に思わず声が上がる。

「ひっ・・・んぁっ!」

「ここに、飾りを付けてやったことを」

いやらしい目で、伸ばした乳首を眺めながら虎太郎が思い出したくもない事を口に出し、刺激を与え続ける。

「また、新しいヤツを、買ってやろう」
「んあぁ・・・っつ・・・・ぁぅ・・・」

乳頭を親指と人差し指で抓み上げられ、ギリギリと捩じられる。

「くわぁっ・・あっ・・・やぁ・・い、いた・・・・・痛い・・・っ、やめ・・・ろ・・・あぁ!」

「痛えのが・・・たまらなくイイだろう。タロはこうやって感じるんだ、お前はこういうのが好きな体だっただろう」

「ひっぁ・・・ぁ・・痛っ・・・・・・やぁ・・」

摩擦に弱い先端は、痛みと同時に胸の奥から頂上にかけて引き絞るような快感がじわじわと伝わる。

(・・・嫌だ、この感じ・・・。これは・・・・・)

「ん、やぁだぁっ!・・んっくうぁ・・ああぁ」

背筋がゾクゾクして体をくねらせると、後ろ手に拘束されている両手が痛んだ。自分の体重がかかり痛みを訴え始めた腕や手首の痛みを逃そうと少し背中を浮かすが、そうすると自ら胸を突き出しているようにもなる。それが嫌で体を捻り、手の痛みもまざくられる胸も遠ざけようとしが・・・そんな行動は獣を楽しませるだけだった。
避けようと動き出した体を離すまいと、龍成の指の動きは激しさを増し執拗に追いたててくる。

「もぉ・・・・やめろっ・・・・やめろ・・・・・・んっぅ・・うっ・・ぁ・・ああ・・・・・ぁぁ」

両乳首が愛撫に感度を増し、快感が苦痛を凌駕した時、押し寄せる快感の波が大きなうねりとなって一気に全身に広がった。

「ぅ・・・・あぁ・・・ああああああぁぁぁ・・・・ぁぁぁ・・・」



――― 訪れるオーガズム。



弱く、強く与えられる刺激に、とうとう虎太郎の体はドライオーガズムを迎えた。

射精を伴わないそれは、脳で絶頂感を認識するため、何度でもイクことができる。
乳首で達した・・・
そんな元の体に逆戻りしたことに、淫らな自分に絶望する。

まるで愛撫を自らがねだっているように胸を龍成に付き上げる姿は、他から見ればさぞあさましい姿だっただろう。
そんなケダモノのように快感に溺れる自分が許せないのに、体は当に自分の意思を離れ、龍成の淫らな手に翻弄され堕ちてしまった。

「はあ、はあ、んっ・・・う・・はあ・・・はぁ・・・・・ぅっ・・・・あぁ」

「久しぶりだからどうかと思ったが」

「んあ・・・・・・ぅん・・・っ・・・・ はぁうぁ・・・・・」

「そうか、そんなにイイか」

くくっ・・・龍成の下卑た声が聞こえる。

自分のものとは思いたくない嬌声。その声に満足する龍成。


「今度ここに、またニップルを付けてやろう。いや、いっそのことピアスを貫通させるか」


快感に朦朧とした耳に飛び込んできたのは、昔身に付けさせられた卑猥な小道具。聞くだけで嫌悪感が体に舞い戻る。そして更に痛みを与えるような台詞が続いたことで、恐怖にブルリと身が震えた。

「乳首を飾るお前に似合うピアスを付けてやろう。もっと気持ちよくなるぞ」

そしてツンと尖った乳首をグリッツとこねた。

「っあああ!・・やぁ・・・・やら・・・・ぁ」

(嫌だ、そんなモノ付けたくない!)

いやいやと首を横に振り拒絶を表すが「好きなくせに」と、意地悪く否定された。



チュル・・・

「ひぁっ!」

乳首に生温かいものを感じたと同時に、乳首にピリピリと電気が流れる。唇と舌で強く突起を吸い上げられ、新たな快感がまた乳首に生まれる。

チュッチュゥクチュッ・・・

飴玉を転がすように舌先で遊び、唾液で濡れた乳頭がテラテラと光る。

クチャ・・ピチャチュッ・・・

立て続けに追い上げられ体がもどかしく震え熱を持つ。
鈍いオーガズムが続く中途半端な体は、新たな刺激を求め体を淫らにくねらせる。

(熱い・・・体が、熱い・・・)

膝を立てて足をシーツに踏ん張り、押し寄せてくる快感の波をやり過ごそうとする。
震える膝を内側に倒そうとすると、その脚は股の間に入り込んでいた龍成の体に当り、閉じようとした脚は無理やり開かされた。

「なっ!」

「こっちもすっかり起きてんじゃねえか。ま、当然だな」

龍成は覆いかぶさっていた体を引き、虎太郎の脚の間に胡坐をかいて座る。
薄っすらとした茂みの中から、頭をもたげ勃ち上がった性器をピンと指先で弾いた。

「っぅあ!」

「もう密が垂れてるぜ」

「くっ」

龍成は目の前に力なく勃ち上がる虎太郎の肉芽の先から、薄くにじみ出る精液を指先ですくい取り自分の口元にび、チュッパと音を立てて精液を舐め取った。
その行為を目の当たりにした虎太郎は羞恥に体が震え、顔を背けてしまう。


「タロの味だ」


体が穢されていく。再び龍成によって。


(い、嫌だ。こんなのもう・・・嫌だ・・・)



「こっちは後でイカせてやる。まずは・・・」


言うなり龍成は、勃ち上がりかけた性器にはそれ以上触れず、強引に虎太郎をうつ伏せにひっくり返した。

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