鋼の錬金術師(ロイ×エド ※死ネタ)
最後のキス (KISS×KISSコレクションCD「上官キス」C.V大川透にそって)

「やはり知られてしまったか、私が前線へ行くことを・・・」

「街で昼間、他の兵士が話してたの聞いた。なぁ、何でだよ!?大丈夫だって言ったじゃんか!」

エドワードは思わず声を荒げる

何でだよ・・・?

折角元の身体に戻れて、これからはずっとアンタと2人で暮らせると思ってたのに・・・

「戦局が変わったのだ、まずは経験のある私が行くべきだと判断した。私は軍人だ、こういう日が来るのは覚悟していた」

そこでロイは一度、目を伏せた

「待っててくれとは言わない。ただ、これだけは言える・・・」



君の幸せを心から祈っていると――‥



そう言ってロイは戦地へ赴いた

それまで芳しく無かった戦局は国家錬金術師の投入で一気に形勢逆転

中でも『焔の錬金術師』の活躍は凄いものだった

国家錬金術師投入から約1ヶ月後、戦争はアメストリス側の勝利という形で幕を閉じた





ある日、軍服を着た一人の兵士がリゼンブールの俺の家を訪ねて来た



コンコン――‥



「鋼の錬金術師、エドワード・エルリック様でしょうか?」

「そうだけど・・・今はもう“鋼の錬金術師”じゃないぜ?」

エドワードが苦笑すると、兵士は「失礼しました!」とビシッと敬礼をした

「いや、別にそんなにしなくても良いって。んで、俺に何の用?」

「今日は貴方様に渡すものがあってこちらに伺いました」

「渡すもの?」

エドワードが首を傾げると兵士は何か四角い物が入った封筒を差し出した

「焔の錬金術師、ロイ・マスタング中将より貴方様宛てにです」

「中将・・・?」



嫌な予感がした――‥



しかしエドワードはそれを振り払うかの様に兵士の手から封筒を受け取る

すると兵士は言いにくそうに口を開いた

「マスタング中将は、先の戦争で自ら最前線に立って戦い・・・



殉職なされましたーー‥」



頭が真っ白になった

この人は何を言った?

大佐が、殉職・・・?

嘘だ、信じたくない、信じられるわけ無い

またいつもの様に笑って、エドワードって・・・





それからどう返事したかも覚えてない

気付いたら俺は大佐が俺に残した封筒を開けていた

中には1本のカセットテープが入っていた



カチャッ――‥



カセットテープをかけるとしばらくして懐かしい大佐の声が聞こえてきた



『君がこれを聞いているとしたら、私はこの世にいないのだろう・・・それは軍人である以上覚悟していたことだ、後悔は無い。君も分かってくれると思う』



カセットから聞こえてくるのはいつもより落ち着いた大佐の声

君も分かってくれると思うだって?

「んなの、分かんねぇよ馬鹿・・・」

エドワードはポツリと呟いた



『君に会えて本当に良かった・・・君はいつも全力投球だったね、不器用で、でも一生懸命だった。人一倍優しくて、思いやりがあって・・・。辛い思いをさせてしまったね、本当にすまなかった』



困ったように笑う大佐の顔が思い出される



『些細な事で嫉妬したり、君に厳しく接したりもした・・・』



本当、アンタはいつも厳しくて、俺が立ち止まりそうになった時は怒鳴りつけてでも前に進ませた・・・

それがアンタなりの優しさだったって、ちゃんと分かってる



『誕生日プレゼントももっと良い物をあげたかった。もっとキスがしたかった・・・抱きしめて、たくさん話がしたかった。もっと君に優しくしたかった・・・』



段々と大佐の声が辛そうな、淋しそうな声に変わっていく



『私は上官として、恋人として、もっともっと君の側にいたかったんだ。君を守り、愛し、心から大切にしたかった・・・』


俺だって・・・

俺だって、もっとアンタと話したり笑ったりして、ずっと一緒にいたかった・・・

ずっと、ずっと側にいてほしかった・・・!



『例え私が空に散ろうと、国が戦争に負けようと、私が願うことは一つ・・・君の幸せを心から祈っている――‥』



馬鹿野郎・・・!

俺の幸せはアンタといることなのにっ・・・

んなことも分かんないのかよ!?

アンタがいない世界でどうやって俺一人幸せになれって言うんだよ!



『最後に、


愛を込めて――‥


「  」




テープからロイの口付けの音が聞こえて、そのままテープは切れた

「ロイっ・・・」

エドワードの目から涙が溢れた

次から次へと流れる涙を拭うこともせずにエドワードは声を上げて泣いた

ロイへの想いを涙に乗せて・・・





ロイ、

俺の幸せをロイが望むなら・・・

俺は、ちゃんと前を向いて歩く

そして幸せになるから――‥

だから、今は

今はアンタのこと想って涙を流してもいいよな?

悲しくなったら空を見上げてアンタの顔思い出すよ

アンタはいつでも俺を見ててくれる、

そう思うから――‥





fin.


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