鋼の錬金術師(ロイ×エド ※死ネタ)
HEAVEN(HEAVENの歌詞に沿って)
『鋼の錬金術師 エドワード・エルリックに北部国境線への出兵を命じる』
彼のもとに大総統から一枚の書面が届いた
それは戦地への出兵命令だった――‥
「怖いか?」
「いや、国家錬金術師の資格を取ったときから覚悟はしてたし・・・平気だって」
私の問いかけに彼はそう言って笑った
「無理をするな」
「無理じゃねぇ!確かにちょっと怖いけどここで逃げる訳にはいかないんだ、アルと2人で元の身体に戻るって約束したから。それにアンタも行くんだろ?だったら俺は前に進む、アンタがいるなら怖くないから・・・」
「そうか…分かった。なら、今晩一人で私の家に来なさい。餞別をあげよう」
夜、家に来た彼と一緒に食事をし、他愛もない話をし、そしてたくさん愛し合った――‥
戦場に行って人を殺すと、まともな人は精神を病んでいく・・・
食事が喉を通らなくなり、夜も眠れない日々を過ごす
そんな時、心の寄り処となるのは温かい記憶だ
“愛された”という記憶と感じた温もりが心の支えとなる
今はゆっくりとお休み、エドワード――‥
「しかし凄いよな、さすが国家錬金術師。特にあの鋼の錬金術師、まさに人間兵器だな」
戦場での彼の働きは見事だった
皆が彼のことを褒め讃え、そして恐れた
「大佐、大変です!エドがっ!」
その知らせを持ってきたのはハボックだった
「鋼のがどうした!?」
「大将が敵の銃弾に当たって大怪我を――‥」
「何!?場所は何処だ!!」
「B地区の13です」
B地区ならすぐ側だ、私はテントを飛び出し無我夢中で走った
「鋼の!大丈夫か!?しっかりするんだ、鋼の!!」
「・・・大、佐・・・」
私の呼び掛けに彼はうっすらと目を開けて微笑んだ
そして血に濡れた手を真っすぐ私の方へと伸ばす
私がその手を取って握ってやると、鋼のは安心したように目を閉じ静かに息を引き取った――‥
最後に君が微笑んで真っすぐに差し出したモノは、私にはあまりにも綺麗で眩しくて、堪え切れず涙が溢れた
私達はそれぞれの行く先を、目的を、そして互いを探し合って、時に自分を見失いもした
それでもやがて見つけ合えたのなら、この先どんな結末が待っていても、それを運命と呼ぶ以外他には無いのだろう
君が旅立ったあの空に優しく私を照らす星が光った
あれはきっと君なのだろう、鋼の――‥
側にいてくれ、愛する人よ
時を越え、形を変えて、例えこの世で離れても
2人のまだ見ぬ未来がここに、残っていると信じて・・・
来世でも、きっとまた君と――‥
鋼の、私の中で君は生き続ける
だからこれから先もずっとさよならは言わない
あの日きっと私達は本当の意味での“愛”に触れたのだから――‥
fin.
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