†黒執事+黒猫† †黒執事+黒猫 act.120† 「…大丈夫です」 慌てた私にセバスチャンは呟くと、バッとグレルに向き直った。 「これは……」 「どう?ドラマティックな痛みでしょう。今のは死神の能力…走馬灯劇場(シネマティックレコード)」 ………………… 「私たちはレコードで再生して審査するの。どういう人間でどういう人生だったのか…生かすべきか殺すべきか」 「のぞき趣味ですか……最悪ですね」 呆れたセバスチャンに容赦なく鎌が振り下ろされる。 セバスチャンは避けきれず鎌を受け止めたまま壁に追いやられた。 「いい男の過去ってちょっと気になるわ!悪そうな男ならなおさらね!」 ギャララララ… 「あと…一番気になるのは」 チラっと私を見たグレルに私は怪訝な顔をする。 そんなグレルにセバスチャンは鎌を持つ手に力を込める。 「ティナに手出しはさせません」 「アーラ…憎いわねぇ。セバスチャンにここまで想われるなんて」 「私が勝手に想っているだけ。ティナには関係ありません」 どんな会話をしているのか… デスサイズの音が邪魔をして聞き取りにくい。 けど 私は確かにセバスチャンに守られてるんだって思う。 それだけは確信できる。 コツコツ…―― 「マダム…」 坊ちゃんと私の前に現れたマダムに私は坊ちゃんを後ろに隠す。 「番犬を狩らなければ狩られるのなら…… …道は一つよ」 「…!?…マダム!医者であるアナタが何故っ」 「あんた達に言ったってわかりゃしないわ!一生ね!」 「……マダム」 「あんたなんか…」 ナイフが私の肩を掠め…後ろにいる坊ちゃんを狙う。 肩を抑えた私は腕を坊ちゃんへと伸ばしマダムから引き離す。 「あんたなんか……… 生まれて来なければ良かったのよ!」 ナイフを翳したマダムから坊ちゃんを庇い私たちはうずくまる。 横目に坊ちゃんの悲しそうな顔を目に止めながら…―― ‐act.120‐ †マダムの爆発する狂気 †前† |