†黒執事+黒猫† †黒執事+黒猫 act.118† 死神が全員持っていると言われる魂を狩るための道具『死神の鎌(デスサイズ)』を振りかざす姿を見るたび、私の心臓が大きな鼓動を鳴らす。 「………………」 「切れ味は保障付きよ」 「反吐が出ますね」 「ンフ!でもねぇ、アタシちゃんと執事として働いてたわよォ?お仕事中はお化粧もオシャレも我慢したしっ」 「呆れた…」 呆れ顔のセバスチャンの後ろで私は小さく身震いをする。 そんな私に気づいたのか坊ちゃんは心配そうに私を見つめてきた。 「大丈夫か?顔色が良くないぞ」 「…大丈夫です」 ただ… 赤が嫌いな私にとって、目の前の死神が目障りで仕方ない 振りかざす鎌でさえ憎い 全てが憂鬱で 過去を彷彿とさせる存在が鬱陶しくて ………無性に…殺したい。 「ティナ。アナタが憎い気持ちはとても分かります。ですがアナタは下がってなさい。私が片付けます」 「カッコつけないで!私は大丈夫よ。正気だから…」 「どこが正気ですか?鏡で見てみます?アナタの狂気に満ちた顔」 「……!?…」 「殺したくて堪らないといった顔ですよ。…こんな執事かどうかも分からない死神に、アナタが手を汚すまでもない」 「……セバッ」 「黒猫は…大人しく悪魔の言うことを聞きなさい」 人差し指を口の前に当てられ何も言えなくなってしまった。 ただ… 悔しいけど興奮は治まり、殺す気も失せた。 今はセバスチャンに任せるしかないんだ…。 ‐act.118‐ †黒猫は赤が嫌い。 †前††次† |