†黒執事+黒猫†
†黒執事+黒猫 act.115†
『ギャアアアアアッッ』
突如聞こえた悲鳴に走り出す坊ちゃんとそれを追うセバスチャンを視界に捉えたまま、私は辺りを見渡した。
「確かに私たちはここに…」
ずっとこの家の前にいたのに…―――
そんな思いをよそに扉を開けた坊ちゃんは震えながら吐露してしまった。
坊ちゃんの目を隠し前を見つめたままのセバスチャンに私はゆっくりと近づく。
「随分と派手に散らかしましたね。…ジャック・ザ・リッパー……いや」
グレル・サトクリフ
淡々と放つセバスチャンの言葉が妙に染み渡る。
そして私は平然と突っ立って、返り血を浴びたまま言い訳をするグレルに嫌気がさした。
武者震いとでも言うのだろうか。
グレルを前にした私は小さな震えが止まらなかった。
「アナタだったのね」
小さく吐き出した私の声にグレルは固まったままこちらを見つめていた。
「もういいでしょうグレルさん。…くだらないお芝居はやめにしましょうよ」
「どういうこと?セバスチャン」
「ティナも感じているはずですよ。コイツは敵だと、本能がそう告げているでしょう」
「本能が…」
セバスチャンにそう言われ、私は震える拳を見つめた
妙に納得してしまうセバスチャンの言葉。それと、嫌な空気を纏う目の前のグレル。
すると目の前のグレルは急に口角を上げ笑い出し、結んでいた髪をスッとほどき…
「ンフッ。よく気づいたわね」
と一言発した。
その豹変ぶりに私は少し後ずさる。
「あら、そんなに怖がらなくていいのよ?子猫ちゃん」
「アナタ…何なの?」
「何って、子猫ちゃんと似たようなモノかしら」
私と。似たようなモノ。
‐act.115‐
†悪寒を感じる猫。
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