†黒執事+黒猫†
†黒執事+黒猫 act.112†
そんなセバスチャンを横目にチラリと見やった私は目を逸らし…
「もういいわ。…ヒラヒラのドレスよりかはマシだものね」
と諦めたように放つ。
淡々と話し歩きだした私の手を…
セバスチャンは掴み行く手を阻む。
「まだ何かあるの?」
「……確かに…
私としてもドレスを着た貴女を見てみたかったですよ。
けれど犯人は女性ばかりを狙う切り裂きジャック………
…ティナ……
私は貴女をそんな危険な目に遭わせたくない」
真剣な眼差しで見つめてくるセバスチャンに私は呆気にとられてしまった。
"危険な目に遭わせたくないから……男装なの?"
頭の中でセバスチャンの言葉がグルグル廻り、一瞬どうすればいい思考が停止してしまった。
けれどハッと我に返った私は手をふりほどき眉をしかめる。
「最近のセバスチャン…変よ」
「…変でしょうか」
苦笑するセバスチャンから目を逸らした私は…
赤く染まっているだろう顔が見られないよう帽子を今よりも深く被り、隠れるように歩きだした。
‐act.112‐
†恥ずかしげもなく話す悪魔に猫は戸惑うばかり。
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