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†黒執事+黒猫†
†黒執事+黒猫 act.108†


「ファントムハイヴを裏切り汚した人間に…僕と同じ屈辱を……痛みを
味わわせてやりたいだけだ


………チェックメイト」



トンッ………





「これで通算46連敗だわ

あんたは昔からこーゆーの強くって遊んであげてる私が負けてばっかりだった」



そう言うとマダムは立ち上がり坊ちゃんへと近づく。




「あんたが生まれた日のこと今でもよく覚えてるわ

あの頃はまだ私も新米ナースで…
お産中もオロオロしてばっかりだった」


「………………」


「生まれたあんたはちっちゃくて可愛くって…
私が守ってあげなくちゃって思った」



マダムは優しく微笑むと坊ちゃんの頭を撫でる。



「…私にはとうとう子供はできなかったけど

あんたのこと
本当の息子みたいに思ってるのよ

本当ならこんな世界から足を洗わせたい」




寂しげに囁くマダムの手を坊ちゃんはゆっくりと払うと、強い眼差しでマダムを見上げた。




「今僕がここにいることは…
僕が望んだことで僕が選んだことだ

だから

後悔はしてないし甘えてはいけない…誰にも」



その言葉にセバスチャンは持っていた書類へと目を戻し

私も新しい書類に手を伸ばす。




「僕はそろそろ失礼する

楽しかった、マダム」



「次は負けないわよ、シエル」



「………おやすみ」





小さく笑みを浮かべた坊ちゃんはスタスタと部屋を後にする。

私はその後を追いかけたけれど「一人で大丈夫だ」と言われ仕方なく戻ってきたのだった。






‐act.108‐

†優しいマダムと意志の強い坊ちゃん。

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あきゅろす。
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