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†黒執事+黒猫†
†黒執事+黒猫 act.107†



この世界はルールに従わなくては勝てないチェスの様には出来ていない


必ず反則をする騎手も

裏切る駒も出て来る



そういうものと対等にゲームをしようと思ったら
僕も反則をしなくては勝てないだろう?



僕らの生きる英国…つまりチェスボードの上では油断をすればすぐに





「………終わり(チェックメイト)だ」





ザァァ……





「あんたには…裏社会の番犬以外にも生きていく道があったはずだわ

きっと姉さん…
あんたの母さんもそう望んでたハズ

それなのにこの世界に戻ってきたのはやっぱり…………」



そこまで話すとマダムは一拍置いて



「殺された姉さん達の仇を討とうとしているからなの?」



と率直に尋ねた。

その言葉に坊ちゃんはピクリと反応したのち考え込む。


そんな坊ちゃんをお構い無しに話すマダムに私とセバスチャンも思わず黙り込んでしまう。




「きっとそんなこと姉さん達も…
私やリジーだって望んでないわ」



「……僕は
仇を討とうと思った事なんて一度もない」





話し続けていたマダムを遮るように坊ちゃんは力強く言い放つ。



「仇を討ったとして死人が蘇るわけでも、ましてや喜ぶわけでもない
仇討ちだ弔い合戦だと綺麗事を言ったとしても、それは所詮生き残った人間のエゴに他ならないし
ようは気晴らしだろう?」


「………………」


「…僕は先代たちのためにファントムハイヴ家に戻ってきた訳じゃない


  …僕のためだ 」





その言葉に私もセバスチャンも思わず坊ちゃんを見つめていた。





‐act.107‐

†凛とした揺るがない想い。

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