†黒執事+黒猫† †黒執事+黒猫 act.106† 「彼らは僕の『力』そして『手足』だ 言うなれば『駒』に過ぎない」 そして手にしていた駒を坊ちゃんはチェス版に並べ、マダムの駒をすかさず取りあげる。 悔しげに眉を顰めるマダムを見つめ坊ちゃんは小さく笑った。 「その『駒』を動かすのは『騎手(僕)』でなくてはならないし、『自動で動く駒』で相手に勝ったとしてそれは『騎手(僕)』の功績になりはしないだろう」 坊ちゃんはゆっくりと目を閉じると笑みを深める。 「いつでも命令を出すのは主(僕)で 命令がない限り動かないよう躾てある」 そして坊ちゃんは私たちを軽く見つめ、またもチェス版へと視線を戻す。 「だがアイツらがこの『ナイト』と違うのは… 全てのマスに一手で動ける『駒(ナイト)』と言ったところか こんな風に………コンッ」 「あっ…キングが」 坊ちゃんは話しながらも冷静にマダムのキングをはねのける。 その様子にマダムは焦り、次の手を探していた。 「でも…そんなの反則じゃないの」 マダムは今までの坊ちゃんの会話で、そんな駒があれば反則に決まっていると眉を寄せる。 そのマダムの言葉に坊ちゃんはさも当たり前のように「そうだ」と切り返した。 「……?」 「それが『チェス(ゲーム)』だからな」 ‐act.106‐ †チェス論理とは奥が深い。 †前††次† |