†黒執事+黒猫†
†黒執事+黒猫 act.105†
「…ティナ」
「どうしたの?」
「今回の事件ですが…」
「……?」
「気を付けて下さいね」
「え?……私が女だからって言いたいの?だったら大丈夫よ」
一瞬目を丸くしたあと私は目を逸らし笑った。
そんな私にセバスチャンはハアと分かるように溜め息をつく。
「それだけじゃありませんよ」
「?」
「今回は少し厳しいことになりそうですからね」
「厳しいって…」
「ですが、まあ…私がいる限り傷一つ付けさせませんよ…貴女には」
「…っ……」
妖しい笑みと細められた目に思わず魅入ってしまい、私は目を見開き頬が熱くなるのが分かる。
「どうかしましたか?」
「じ…冗談はやめて」
キツい口調で言い返す私とは裏腹にセバスチャンは優しく見つめて来るものだから、私は呆れたようにその場から離れた。
残されたセバスチャンは
「やれやれ…信用がないのですね」
と苦笑すると、再び資料へと視線を戻した。
「ホントあんたんトコの執事と家女中って…有能というか働き者というか………」
「別に?それほどでもない」
セバスチャンと私がコソコソと話し込んでいた時、マダムは私たちを見つめ息をついていた。
そんなマダムに坊ちゃん気にせず笑う。
「あんだけ有能なら子爵邸の調査にしても全部セバスチャンに任せておけばいいのに。それかティナにでも」
コツン………
マダムが駒を一手動かすと坊ちゃんは真剣な眼差しで次の駒を手に取り、マダムをゆっくりと見上げる。
‐act.105‐
†恥ずかしい執事。
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