†黒執事+黒猫†
†黒執事+黒猫 act.103†
眠い頭を覚醒させるためにブンブンと振り大きな欠伸をした時だった…
坊ちゃんの怒鳴り声が廊下にまで響いたのは。
『ジャック・ザ・リッパー再び現る。
被害者はアニー・チャップマン
またしても娼婦が犠牲に』
何事かと皆がいるであろう部屋へと顔を覗かせると目の前に現れた新聞の記事に目を丸くする。
「…っ!」
その見出しに驚き顔を上げるとセバスチャンはその新聞を畳み坊ちゃんの元へと歩む。
私はそれを追うように部屋へと足を踏み入れた。
「どういうことだ!?
子爵は昨夜どこにも行ってなかった!」
机を叩きつける坊ちゃんを見つめ私は眉をひそめる。
確かに子爵は昨夜、私達の目の届く範囲にいた。
見張っていたのだから犯行は不可能だ。
「たった一人の容疑者が殺人不可能となると…
模倣犯…否、最初から複数犯の可能性もあるね」
「子爵はハズレだったってこと?」
劉の言葉にマダムは新聞を睨むように言葉を紡いだ。
また…
振り出し。
心の中で呟き伺うように坊ちゃんを見やる坊ちゃんは溜め息を尽きながらセバスチャンへと目を向けた。
「もう一度絞り直す
セバスチャン、リストを」
「かしこまりました」
その言葉と共にセバスチャンは今までに纏めた資料を部屋へと広げ、坊ちゃんだけでなく私も一枚ずつ確かめていく。
‐act.103‐
†膨大な資料を前に振り出しへ。
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