■「蘭姫も・・・・・”好きな人”・・・いるんだ・・・・・?」 テーブルに隣同士に座って話す二人。 「”も”・・・って事は・・・”カセンさん”も・・、居るんだ・・・・?」 「・・・・ま、まぁあね・・・///」 一瞬風呂場に消えて行った3人(+1)のうちの誰かの後ろ姿が浮かんだが、カセンはそれをかき消すように目線を逸らす。 「・・・もしかして・・・・・”戒?”」 蘭姫がそういうとカセンはそのまま目を閉じた。 「あのオルガン・・・使っても・・・いい・・・・?」 今度はそう言って話題を逸らすようにソレを指差した。 「「あの・・・・・」」 二人同時に声が出た。 ””湯船に浸からせてください。お兄様・・・・”” ココは蘭姫宅風呂場。ダイナと乱鬼が楽しそうに湯船に浸かっているその隣で腰にタオルを巻いた少年二人が正座で座らされていた。 「やだね。」 意地悪なそんな声が聞こえてくる・・・ 「あ・・・兄貴・・・・・」 実の兄弟ではないがそういう戒に 「さ・・・・寒い・・・・」と身体を振るわす鳳太。 その腹にはかすかに痣ができかけていた。 ダイナはソレを横目に見ながら「蘭姫を泣かせた罰だ」と鼻歌を歌いだした。 ・・・・・・・完全に何が何だか分からない状態である<ぇ・・・?^^; もうこれは”笹目和美”の話どころではない・・・<え・・・え・・・?^^; とりあえず、戒はシャワーを取り出すと。その蛇口をひねって自分に当てる。 「あ・・・ずるいぞ!お前・・・!!!!!」鳳太がそう言って戒に迫ると遠くで音楽が聞こえてきた。 ”あ・・・・・・”この曲は華桜校の校歌である。 ””なんでやねん!!””何故か男二人の内心が揃ったが。ダイナがソレに合わせて鼻歌を更に強めるようだったのでどうしていいか分からなくなった。 とりあえず。シャワーを奪い合う二人。風邪でも引いたらたまったものではない。 そんな感じで風呂から上がると。時刻はもう4時を回っていた。 「全く・・・散々な一日だったぜ・・・・・」 そう言って後ろを付いてくる鳳太に「お前もう帰れ。」ダイナがそういうが 「嫌だ・・・!ここまで疲れたなら今日は泊まっていく・・・・!!!!」 強引な鳳太は引き下がらなかった。 「そうか・・・なら俺と一緒の布団で寝るか?」にやにやとダイナにそう顔を向けられ鳳太は背中に悪寒が走った・・・ ”く・・・喰われる・・!!!”そう彼が思った瞬間今度は戒に「お前は泊まる部屋が無いからカセンの所にでも泊まっとけ・・!!!!」 更ににやにやとそう言われた・・・・ ”う・・・生まれたらどうする・・・!??????” 戒は何かを突っ込みたくなったがそれは言わない事にした。変りにカセンの蹴りがダイナに当たった。 そんな感じで。土曜日の夜は瞬く間に過ぎていった・・・・。 狭い部屋に男3人と+1で寝る。そして・・・・ 「今日は楽しかったね・・・・」 なんだかんだ色々あったけれども。とろとろと淡い眠りの感情が波のように押し寄せてくる。 「そうね・・・・なんだか色々あって疲れちゃったような気もするけど・・・・」 なんだかんだで”不安”に思ったソレもどこかへ行ってしまった。 蘭姫と同じ布団に入りカセンもうとうととし始めた。 「この布団・・・先日”めーちゃん”と一緒に寝た布団なんだよ。」 「へぇえ・・・・」 カセンはそう言いながら笹目の事を思い出す。 蘭姫もまた。先日の笹目との出来事を思い出すが。今はぽろぽろ泣き出すような寂しさは無い。 暖かい。ぽかぽかした感情に包まれている。 「カセンさん・・・私・・・・」 ”めーちゃん”が誰を好きなのかは知らないけど・・・”それが幸せになってくれればいいなって思ってるの・・・” 蘭姫がそういうと。「私もよ」と。返ってきた。 そしてふたりは”ふふふ”と笑い合うとそのままとろとろと眠りにつく。 そして”人魚”の夢を見る。 幸せそうな人魚が大きな翼のソレに抱かれ幸せそうに虹の向こうへと歩んでいく。 ずっと人魚を見ていたソレが。愛する人魚と結ばれる。そんな幸せな夢を見た。 そして。翌日。”日曜日”。 ・・・・・・・”舞台公演”まであと少し・・・・・。 ■END■ [*前へ][次へ#] [戻る] |