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狂気のような探求心から産まれたそれが、値札の首飾りを下げたマリア像よりも、厳かなものに見えて仕方なかった。昔からエアガンが好きだ。殺傷能力を持たない武器。コピーともハリボテとも呼べないその特異性に惹かれてならない。僕は武器の持つ意味を知らない。知らないからこそ、惹かれてしまう。本物の銃は忌むべきものとして教えられたが、僕は銃を知らない。現実感など始めからない。スミス&ウェッソン、ベレッタ、コルト…銃は美しい。特にパイソンの六インチなんかは、芸術品だ。洗練されている癖に、本物の銃は野卑なのだ。本物は重く、複製玩具は軽い。鉱物とプラスチック。その対比が良い。相対する要素の塊。矛盾。矛盾こそが人間。矛盾出来るのは人間しか居ない。そう僕の少ない知覚の中では。こめかみに銃口を押し付けて引き金を引く夢を見た。誰の?誰かの。その誰かは僕だった。ぐらり。倒れる体。笑う口元だけの顔。何故見えるんだろうね?それはとても滑稽で矛盾だらけで実に僕好みだった。そう、クレイジー!高笑いを人の群は引いた目で見るかな?それすらも心地良い。ケタケタと、ボタボタ血や脳の欠片を飛び散らせながら鼻より上のない僕が嘲う。嗚呼、かくも此の世は茶番劇哉。










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