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溺
僕は理想論者で強欲で愛に溺れてる。だって僕が欲しいのは君で、君を頭から爪先まで味わって食べてしまいたい。ありとあらゆるプラスマイナス、君から溢れ出す感情を全て飲み込んでしまいたい。何より独占欲が強いから、絶対に手に入らないもの、幻想の中でしか所有出来ないものが欲しくなる。僕は君の心が欲しい。一部の隙もなく僕を愛して欲しい。だって僕は君を愛してるんだから。愛してしまったんだから。君の心は手に入らない。入らない。人の心などは。無理だ、それは。捧げられたとしても、手に出来ない。決して。だけど僕は君を食べたい。平らげてしまいたい。君が嫌いな君の怒りや憤りや嫉妬なんかを余すところなく。僕は君を貪りたい。精神を浸食して征服して支配したい。君が僕以外を愛さないように。独占欲は叶えられない。だから膨張する。僕は君の肌に噛み付きたい。噛み付いて愛撫して無防備にさせたい。君を暴きたい。君を暴いて僕を晒したい。僕だって、こうも雄なんだ。知らなかった。君を抱きたいよ。抱いて、君が僕のものになったって錯覚したい。耳元で囁いて擦り込みたい。君は僕のものなんだって。ああ何てロマンチストなんだろうコンキスタドール症候群だ。僕は愛に溺死する。
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