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人間が好きだ。人間嫌いな人に多く出会ってきた。だけど僕は僕以外に「人間が好きだ」と公言する人を見た事がない。きっと、僕が人間に対し期待も信頼もしていないからだろう。だが、かといって失望してもいないし疑ってもいない。つまりは、そういう仕組みだ。期待する、信頼する、次に何かが起きて、失望して、最後に疑うようになる。期待も信頼もしなければ、失望はしない。しかし、それだけでは嫌いじゃないという事になるだけで、僕が人間を好きな理由にはならない。僕は人間だ。周りには、沢山の人間が居る。僕以外は、誰も僕ではない。にも拘わらず、僕も、僕以外も同じ人間なのだ。奇妙な事実。奇妙じゃないか。他人と、自分が同じだ何て。僕以外の人間は僕じゃないから僕が予想出来ない事をする。決まって、僕が何時かはやりそうな事をする。だってそうじゃないか。同じ人間なんだから。僕が誰がそれをやったって全然おかしくない。なのに、予想出来ないという、素晴らしく不思議な現象。誰にだってなれる。誰かが僕になれるのと、同じように。個性がただの、ニッチだと把握する瞬間だ。茫洋とした思想に浸って安心した僕は、機械のような動作で「誰にでも出来る単純作業」に向かうのだった。






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