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「皆見てるね…」
私は彼方にそう言った、仙蔵くんは綺麗だから男女問わず人気がある。
そんな人の隣りを歩く私は周りからどんな風に見えているのだろうか?
「気にするな」
「…無理よ、殺気さえも感じてるのよ?仙蔵くんのせいだから」
「仕方ないだろう、お前も悪い顔立ちではなかろうに」
「……だから抜出せないのよ」
「何か言ったか?」
「べっつにッッ!」
そんなやり取りをしながら私達は歩く、彼方は女心を掴まえて離さない。
感情なんてないに決まってるのにドキドキしてしまう私はどうかしている。
「ねぇ、何処まで行くのよ?」
「後少し歩いた場所にある茶屋だ、そこに居る筈だ」
そう言うと彼方はその茶屋に入り合言葉を呟いてその知人に文を手渡す、本当に手際が良い。
「ご苦労様でした」
「嫌味か?」
「そう見えた?」
私は業と嫌味っぽくそう言い彼方はそれを感じとる、私は彼方の何なんだろうか?
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