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「っふ…ぅう……」
くちゅり、粘着質な音が口内で轟いて私の聴覚を麻痺させていく。
彼方の口付けで私は理性を蝕まれていった、欲しいの。
彼方が欲しいの……
私は彼方からの口付けに応える様にいつの間にか自分から舌を絡ませていった。
――チュッ、
解放された互いの唇はヌラヌラとてかりながら糸を引く、彼方の瞳に私が映る。
「はぁ…欲しいの、仙蔵くんが欲しい…」
私は自分から彼方にねだっていた、散々苦しんでも私の身体は彼方を拒めない、いくら罵っても好きなモノは変わらない。
こんなに余裕がないのに彼方は余裕が垣間見得る、悔しい。
「私が欲しいのか?」
「…ぅん…うん」
ニヤリとほくそ笑む彼方は意地悪だ、さっきは感情を見せてくれたのにまたいつもの大人びた彼。
だけど私はそんな事を考える事さえ出来そうにない…。
手首を解放されて自由を得る、その両手を彼方の首に絡めて艶やかな髪を堪能する。
サラサラな髪が私の指を潤してくれる、それに引寄せられる様にまた唇を重ねる私。
「っ、名前を入れてね」
「んはぁ…ッッ!」
私が口付けに意識を奪われていた中彼方は手で私の胸を揉みしだいてきた。
感触を楽しむかの様にやんわりと、時に強く鷲掴む愛撫が私を高みに昇らせる。
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