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「音楽家の居る庭」

音楽家の庭に 明かりをともそう
音楽家の庭に 花を飾ろう
音楽家はいつも
耳をすましている
音楽家の庭に 聞こえてくる音に

音楽家はいつも 夢を見ている
音楽家の庭で 夢に寝ぼけている
音楽家の作る 覚束ないメロディが
輪郭を探って いつまでも漂う

音楽家は綴る 今日あったこと
音楽家は歌う いま思ってること
音楽家は憂う 明日のこと
少しだけ騒がしい世の中のこと

こんな風に
チュ チュ チュ


音楽家の庭に 音楽家が集い
その時代その時代の 音楽を彩る
僕たちはその度に
うっとりと酔いしれる
音楽家の庭に 聞こえてくる音に

音楽家の庭に 会話はいらない
音楽以外の言葉は
何ひとついらない
音楽家の庭の周りでは
音楽家を愛する人達が
風のように笑いながら
生活をしている

こんな風に
フ フ フ

それは何も意味のない歌
決して誰も意味を求めない歌
それは何も意味のない歌
君と同じ空を飛ばない翼


毎年毎年 音楽が増え続けて
新しい音楽がそこかしこに溢れ返っている
音楽家はそれとなく耳をすましてみる
音楽家の庭に聞こえてくる音に

こんなにたくさんあって
一体どうするんだろうって思う
こんなにたくさんあって
一体誰が聞くんだって思う
笑い声も怒り声も
入り混じって溶ける
音楽家の庭に 聞こえてくる音に

新しい音楽を作る必要は
もうないのかもしれない
新しい歌がなくったって
誰ももう困らないのかもしれない
ある人は古い歌を後生大事に
聴くのに一生懸命
今の歌手にこんな歌歌えないなって
ウンチクとオーディオを整えるのに
一生懸命

歌うことがない時にだって
音楽家は歌を作り
歌うことがない時にこそ
音楽家は歌を歌う
時は流れ 今じゃ もう
誰も気付く人はいない
音楽家の庭に聞こえてくる音に

それは何も意味のない歌
決して誰も意味を求めない歌
それは何も意味のない歌


もう一度、
音楽家の庭に 明かりをともそう
音楽家の庭に 花を飾ろう
音楽家は今も 耳をすましている
音楽家の庭に 聞こえてくる音に


音楽家は綴る 今日あったこと
音楽家は歌う 今思ってること
音楽家は憂う 明日のこと
昔の仲間や恋人のこと

音楽家は綴る 今日あったこと
音楽家は歌う 今思ってること
音楽家は憂う 明日のこと
少しだけ騒がしい世の中のこと


それは何も意味のない歌
決して誰も意味を求めない歌
君と同じ空を飛ばない翼



mathis


【つまるところ《歌を作る人が大好きだ》と
言いたかった】








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あきゅろす。
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