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 ファルコの部屋は、意外にも整理されているというと語弊があるのだが、とにかく彼には必要最低限以外のものを置く習慣がなかった。フォックスのように仕事を自室に持ち込むこともなければ(そもそもデスクワークが無いに等しい)、スリッピーのように部屋を趣味で埋め尽くすこともない。やや持て余し気味の彼の空間には、それを露呈するかのようにぽっかりと空いているスペースがある。
 気配達はそこに立ち尽くした。ベッドに程近い距離に、ファルコは目を開くことすらできない。

 エロイムエッサイムかなんだか知らないが、なぜよりにもよって俺の部屋。
 できることならば頭を抱えたい。背を丸めたい。けれどそのような大々的アクションを起こすことで目を付けられるのは嫌だ。結局どのような行動にも移れないでいた。


―この話は、俺がまだ宇宙アカデミーにきちんと通っていた頃の話なんだけど。


 突如聞こえた奇怪な声に、びくりと体が竦んだ。むしろ跳ねたと言っていい。喋りやがった。ビリビリと幾重にも重なる電子音に近いそれは、正真正銘の鳥肌を奮い立たせるのに十分な役割を果たした。

 しかも続きが聞こえない。

 もしかすると体が大きく跳ねてしまったことで、彼らの注目を浴びてしまったのかもしれない。いくつかの目がじっとこちらを見ていたら、シーツ越しの姿を認識していたら!
 じっとりと脂汗まで伝う始末。叫びだそうにも声が出ない。

 けれど再び脅威が場所を動くことはなく、そのうちのひとりが、再び喋りだしたのだった。



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あきゅろす。
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