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 ウルフは敵のあまりの無茶っぷりに、機体を持ちこたえさせながら呆気に取られていた。
 今まで見たことのない、ありえもしない判断。

 一体誰があの場で予測できただろうか。

 片翼のない戦闘機が、まさかもう一方の翼を捨ててまでこちらに体当たりを仕掛けてくることなど。

 ウルフが仕掛けるより一足早くファルコが突っ込んできたせいで、一瞬平行感覚を失っていた。アーウィンはその隙にウルフェンをブーストで出し抜いたのだ。
 ウルフェンと隕石との衝突を避けることで手一杯だったウルフは、視界の端で、両翼を失いまるで虫のように不恰好になってしまったアーウィンがフィチナに不時着するのを捉えた。

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