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 かつてライラット星系にその名を轟かせた宇宙暴走族の総長をつとめていた男は、肉弾戦でもその力を発揮したことで有名だ。雉の容貌に隼の身体能力を持ち、相手を油断させ一気に叩くのが彼の常套手段。鍛え上げられた脚力でもって、高く飛び上がり一気に加速をつけて降下するその一撃必殺は特に恐れられており、運動量が十分高まった状態で蹴落とされた相手の中には、再起不能となってしまった者もいるという噂まである。
 スマッシュブラザーズ最新作への出場も確定した今現在、彼の身体能力は尚も健在である。新参者には負けやしない。そしていくらリーダーだからと言って手加減するつもりも毛頭ない。一切の妥協を許さない彼の信念からも窺い知れる勝ちへのこだわりはトレーニングに顕れた。
 パンサーは本日未明、そのことを身をもって知ったのだった。

「ライラットじゃないとこの流星群が見えた…もっとこう、あの世的な…」
「自業自得だろうが」

 時折、未だにズキズキと痛む脳天を抑えるパンサーが時計に目をやると、針は2と12を差していた。書入れ時は過ぎた頃だろう、これならばわざわざ並ぶ必要もない。気絶してしまったのは計算外だったが、ケガの巧妙とでも言うべきか。隣を歩くトリは、先ほどまでの殺気立った一撃を繰り出したとは思えないほどにケロリと機嫌を直しており、さすがトリ頭と胸中で感心する。
「どこ」
「イタメシ」

 その店の名は、ファルコも知っているようだった。コーネリア内にも約40前後の店舗を構える人気チェーン店は、近年には別の星にも着手する予定で、同ジャンルの他店との圧倒的格差を更に広げつつある。今日の昼飯にと選んだ2号店は大型ショッピングモールの最上階に位置するレストラン街の一角にあり、そこにはパンサーも様々なパートナーと共に足を運んでいた。




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