[携帯モード] [URL送信]

†ロイエド*奥の間†
『番外の番外』




* * * * * * * * * * * * * * * * * * *





「エドワード…?」

ロイはふすまを開けて声を掛けたが返事がない。

「寝て…?」

くす、と思わず笑いをもらしてしまうほど、エドワードは無防備な姿で布団に埋もれていた。



ロイが商談の為に籠を頼んで遠出をする。それを聞いたエドワードはついて行くと言って聞かなかった。
たぶん、自分とアルフォンスが世話になっているのに何も店の仕事を手伝えないのが日々申し訳なさとしてたまっていたからだろう。

エドワードとアルフォンスは遊郭からロイに身請けされてロイの店、江戸でも指折りの大店である蝋燭問屋で世話になっている。まだ禿(かむろ)といって花魁の側で控えているだけの客を取るには幼い二人を接待で見かけたロイが足しげく通った結果、エドワードを身請けするまでに至ったのだが、なんと言っても弟のアルフォンスを置いていけないからと何ヶ月もエドワードは断りつづけた。一人身請けするだけでも相当の金子が要る。
エドワードがロイに惹かれていたのは確かだ。まだ客も取らない自分を側に置いて酒を飲みたわいない話で満足し、手を握るくらいで、あるだろう下心を見せずに可愛がってくれた。ロイが来るのを楽しみにしていたし、遊郭の者としてはあるまじき恋心なんぞを覚え初めていた頃。
だから、身請けの話が出たときは心の臓が途切れるのではないかと思うほどで、そのあと何を話したのかすら覚えていないくらい驚いたし嬉しかった。でも、アルフォンスを置いていくことだけはできない。アルフォンスは素直に身請け話を受けなよ、と必死で説得していたのだが、エドワードが頑として首を縦に振らなかった。
楼主からしたら色々箔もつきそうなロイ相手なら禿ごときのエドワードの意見など聞きはしなかったのだが、今度はロイの方がエドワードの口からうんという返事をもらわない限り身請けできないと言い出したものだからもう大変だった。
結局のところ、アルフォンスにも惚れた相手がいて、ただそれがしがない町医者の卵なので身請けするどころか通ってくる金すら困るような男だったからアルフォンスとしてはせめて兄だけでも自由の身になるならと思っていたのに、エドワードは頑固だった。

「よほど疲れたのだろうな」

ロイは部屋に入って、中途半端な体勢で布団に突っ伏しているエドワードを優しく仰向けにしてやりながら肌蹴た着物を調えてやる。接待も兼ねた飲みの席にエドワードは女物の華やかな着物を着て場を彩った。
それを帯が解けるほど布団でぐだぐだとしたのだろう。ロイは優しくエドワードの頬を撫でた。

「う…ん…」

ぴく、とエドワードが身体を揺らしてうっすら瞳を開ける。
ロイを確認したのか、ゆっくり手が伸びてきてロイの袖をとらえた。

「旦那…お帰り…」
「どうした…疲れたのだろう?眠っていて構わないぞ」
「うん…」

それでもエドワードがひっぱるものだからロイはくすくすと笑いながらこの宿場でもまぁ、上等だろうという宿の布団に横たわるエドワードの上に覆い被さった。

エドワードが身請けの話を承諾したのは、そのアルフォンスの恋男に身請けの金を無利子でロイが貸し付け、エドワードと共に郭を出られるようにする、という条件を提示された時だった。
身請け話が出てからゆうに十月は経っていた。

ようやくロイの屋敷に迎えられたエドワードとアルフォンスはまず最初に遊郭出の者であることで店の奉公人だけでなく声の届く限りの近所の者から不審さと好奇の視線と言葉を嫌というほど浴びせられた。
ロイはエドワードを嫁として娶る気で身請けしたのだが、ロイは大店の跡取りだ。子どもの生めないエドワードがそう簡単には受け入れられるわけがない。
ロイはまったく気にもしなかったし、ロイの幼馴染の番頭ヒューズがエドワードとアルフォンスの面倒をよく見てくれた。それでも店を手伝えるわけでもなく、エドワードは鬱々とした日々を送っていた。
そんな時、ロイが泊まりで商談に赴くという。
せめて接待の席で何か役に立てばと思って無理を言って付いてきた。

「う…んん…旦那…?」
「なんだ、嫌か…?」


ロイが整えてやったはずのエドワードの着物の裾を広げて身体で膝を割る。
エドワードは接待の席での疲れと旅の疲れとで押しのけるだけの力など残っていない。
されるままにロイに首元をさらしてのけぞる。

「ふ…うん、あ…っ」
「ほら、足を上げて」

無造作に置かれたままの布団に転がるように突っ伏していたエドワードに覆い被さったロイは一組の布団がまだ畳まれたままの上にエドワードの上半身を乗せて足を押し上げた。エドワードは眠さに緩む思考のとろけそうな気分でロイの黒の瞳を見上げている。自分のいる場所すらはっきり認識できていない。そんな中で染み付いたロイからの刺激に素直すぎるくらいに身体が反応して、すでに下肢は固く反り返っているはず。ただ、ロイの身体に押さえつけられているだけでもその先にもたらされる事とロイの息遣いを耳元で感じるだけで微温湯につかるように全てが朦朧としてくる。
普段ならこんなに簡単に組み敷かれてはくれないからロイとしてはどうにも止めようがなくなってついエドワードを煽ってしまう。

「もうこんなに溢して…いけないな、エドワード」
「あ、う…っっああ、ふ、うん…っっ」

耳から熱い吐息が流れ込む。
そのまま低く囁かれて浮き上がりながらロイの手に墜ちた敏感な個所を締め上げられた。

「そんなに声をあげたら、…まぁ、いいさ。お前は本当に、可愛いよ…」
「旦那…そんな締めんな…っっや、駄目だってば……あっっ」
「眠さと疲れは最高の…媚薬だな…もう限界だろう?震えているじゃないか」

うわ言のようにエドワードの唇から漏れる吐息が大きくなる。もう意識は混濁して、聞こえるロイの言葉が頭を廻ってたまらなくなる。下肢を強く刺激するロイの手を掴んでその動きを体全体で感じると眩暈のように悦楽は広がった。柔らかい布団の心地よさとロイの意地悪な喉の奥からする笑い声にエドワードはどんどんと上り詰めて行く。

「あう…っっい、あ、は、ぁっ…う、ああ!」

エドワードがびく、と大きく身体を揺らしてロイの手の中で果てる。
余韻の中でうっすら開く瞳には愛しそうに見つめているロイの笑みが映り、エドワードはロイの体を引き寄せ唇を寄せた。
触れるだけの唇にエドワードが不満そうにロイを見ると、ロイは濡れた手でエドワードの下肢の奥を探りながらからかうような声でエドワードを煽る。

「こちらの口が先におねだりして欲しいんだがね…」
「…や…や…っっ」

回りをひと撫でしただけでロイがぐい、と指を押し込み、エドワードが腹まで折り曲げた足を衝撃に揺らした。

「…力を抜きなさい。ほら、もう一本…」
「あっつ…っ旦那…きつ、い…っ」
「お前が吐き出したこれは私を受け入れるためのものだろう…?中まで塗り込めないとお前の方が辛くなる。…ん?どうだ…?」
「く、あ……!!」

エドワードの言葉を無視して抉る指を増やして奥まで押し込む。それを中でぐい、開いて弧を描くようになじませて行く。
エドワードは濡れた感触と粘着質な音が下肢から上がってくることに次第に飲み込まれる。ただでさえ達した後の身体は敏感で、そこをロイの長く節のある指で刺激されるのは抗えない快感を呼び起こす。違和感や異物感などあっという間に消え去ってロイの動きに合わせて自然と身体は揺れた。
エドワードの反応にロイは満足してようやくエドワードの唇を塞いでやる。

「う、んん…ふ、…ん…ぅ」

エドワードがロイの首に両腕を回して自分から舌を絡ませてくる。ロイが下肢を慣らす動きに身を捩りながら渇きを満たすようにロイの唇を吸う。ロイはエドワードの髪を数度撫でその手をエドワードの片膝の裏に当てるとより体へと押しやり、布団のせいで一段高い位置であらわにされたエドワードの秘所へ自身の猛る反り返りをあてがった。
びく、と一瞬だけエドワードが怯えるように震えたが、ロイの口付けに酔う中ではそこから逃れられない。睡魔と手を組んだ淫魔に押え付けられたらエドワードの身体はロイへの愛しさで絡め取られてしまう。

「だ、んな…っっああ!うっっふぅ…うっっ」

切っ先が割る勢いに瞬間きゅ、と身体をちぢこませたが、エドワードの意識は相変わらず夢とうつつを行き来していて力が抜けてしまう。その隙を見てロイはエドワードの体に乗り上げるようにして自身を押し進めた。飲み込んでいくエドワードの内の熱にロイはドクドクと心音を上げ、エドワードを侵食する己の悦に背筋を震わせた。

「は…は…は…ぁ…」
「熱いな…いい感触だよエドワード」
「う、や…」

エドワードは自身の淫らさを指摘されそれに欲情するロイにいっそう煽られる。

「さ、…これからだ」
「うあ…!」

ロイがエドワードの膝に腕をひっかけ布団に手をつくとぐい、とより奥までロイの身体がめり込みエドワードがすがるようにロイの腕を掴んだ。

「あ、あ、あ、旦那…旦那…!ああっはう…!!」

エドワードの体が布団ごと揺り動かされ律動が始まる。十分に慣らされた個所はロイの大きく揺さぶる動きを難なく受け止めて奥へ奥へと悦を導いて行く。
エドワードが搾り出すように声を上げて必死でそれに耐える。

「エドワード…もっと、声を聞かせてくれ…」
「や…っあ、んんん…!!あ、ふ、あう!ああ!ああ!!あ!ん!!」

組み敷いたエドワードを熱に濡れた瞳で見下ろし、ロイは動きを強める。エドワードが耐え切れなくなって呼吸なのか嬌声なのかわからないまま声を高く上げる。ロイは荒く息を吐きながらそのエドワードの絶頂への表情を逃さず見つめた。
締め付けるエドワードの身体にロイはわずかに声を漏らしてエドワードの頭を抱きかかえ共に果てるために動きを早めた。エドワードもぎゅうとロイの体に抱きついて身体を丸めロイが最奥まで満たしてくれるよう願ってロイの艶やかな黒髪をかき乱す。

「旦那…!!ああ!はぅ!…っあ、ふ、ああ…!!あ、はぁあ…っっ!!」
「…く…っ」

淡いうつつの中で一瞬先にエドワードが熱を放って果て、うねるようにロイの身体を締め上げた。どん、とロイが大きくエドワードの体を突き上げ、同じように果てた。エドワードの望む通り、最奥までを熱で満たして。

「は…っは…っん、は…ぁ…」

エドワードがぐったりと力を抜いてそれでもロイの着物を握ったまま布団に倒れる。泥のような疲れはこのまま眠ってしまいそうに心地よい疲労に変わった。
ロイはゆっくりとエドワードから身を引き、汗の浮いた額をエドワードのそれに当てて鼻先に口付ける。
くすくすと堪えきれぬように笑うロイに、エドワードはいつもなら気恥ずかしさで枕をぶつけるところだが、とにかく今は眠気の中で抱かれた夢から抜け出せずにロイの身体に腕を回して甘える。それが愛しいと思いながらもロイはつい、この可愛い嫁を苛めずにはいられない。

「…よくまぁそれだけ喘ぐ声が出るものだな…可愛いよ、他の部屋の泊まり客には刺激が強すぎだがな」
「……へ…」

くっくっと笑いつづけるロイに、エドワードが数秒遅れてその言葉の意味を理解した。

「あ!!!」

エドワードのうつつに戻った驚きと悲鳴にロイが声を上げて笑い出す。

「て、めぇ…!!!!」
「こらこら、自分の旦那をてめぇなどと呼んではいけないよ、エドワード」
「知っててやりやがったな!っ汚ねぇぞ!!」

エドワードが羞恥と怒りで真っ赤な顔で身体を起こし、思い切り手元の枕でロイの頭を殴りつけた。それでもロイは枕を膝に乗せ、口の片端を上げてにやにやと嫌な笑いを浮かべる。

「お前があまりに素直に応じるからつい調子に乗ってしまったよ。睡魔とは類稀なる淫魔を引き寄せるものだな」
「うるっせ!!他、他の客に聞こえるのわかってて!!」
「ああ、まぁ、…宿場の壁などあってないようなものだ」

軽く流され、エドワードは頭から湯気が立ち上るかと思うほどの怒りで目尻を吊り上げた。

「信じらんね―――!!!」

客として店に来ていた頃から確かにロイは意地悪なところがあるのをエドワードは感じ取っていたのだが、体を重ねるにつれ、どうにもこの旦那の悪い癖に最近頭を悩ませていた。

『お前がそうされるのが好きだからだろう?』
といって意地悪をする。
いや、絶対に自分がそうなのではなく、ロイが苛めるのが好きなのだといくら言っても聞き入れてくれない。

もう、これでは明日の朝だって泥棒のように回りの客と顔を合わせないようにして宿を出るしかないではないか。
エドワードはしれっとしたままのロイに煮えたぎる怒りを見せ布団を勢いよく引っ被ってふて寝を決め込む。

もう、絶対、泊まりの仕事にはついて行かない。

そう決意するエドワードと味をしめたロイの考えがまったく平行線のまま賑やかな宿場の夜は更けていく。























→ え〜と(^^;言い訳はないです。
単に江戸の宿場の壁なんてあってないようなもの。
知ってて苛めるマスタングが書きたかっただけです。
エドワードも男の子なので、眠い中では気持ちよかったらそっちに流される〜かな??って。
MAGU


[*前へ][次へ#]

[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!