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†ロイエド*奥の間†
『何事も経験』



エドワードとしては、この状況をどうしたらいいのか…。

「……あ、れ…?」

起きた場所はどう考えても、自分の宿じゃない。
ベッドに両手を付いて上半身を上げたまま、ぐる、と見渡す。
極力落とされたベッドサイドの明かりが部屋全体を照らしているから、そう明るくもない。

「…んん?」

首を捻って記憶を辿る。
確か、いつものようにマスタングに報告しに行って、夕飯はどうだ、と言われて、アルフォンスが少尉たちと食事をするからと言うのでマスタングと街に出た。

「メシ食ったのは覚えてんだけどな〜…」

腕を組んでうーん、とうなってまた記憶を辿る。
たしなめられながらもマスタングのワインを一杯だけ、とか言って飲んだな、確か。
結局一杯ですむわけもなかったけど。

エドワードは意外とアルコールが好きだ。
顔には出ないし、気分もよくなるから知らない間に飲み過ぎて酔っ払う。
たいていはマスタングに車に乗せられて宿まで送ってもらってアルフォンスに引き渡される、のだが。

だけど、どう見てもここは今朝出掛けた宿ではない。

「えー、と。…あ?」

思い出した。

トコロで、エドワードがいきなりカッと顔が熱くなる。

そうだ、店を出て酔い覚ましに公園を通って散歩をしたのだ。
つまづいてよろけて、呆れ顔のマスタングに引っ張り上げられた。

その時。

つい悪戯心でマスタングに言った言葉。

『よく、我慢してんのな。なぁ…したいんだろ?』

首に腕を回して抱え上げられながら言う言葉としては、かなり挑発的だったのではないか。

その時の声と、酔いの回った表情は、自分が今思い出してもドン、と頭が爆発しそうだ。

「な、なななに言ったんだ…俺」

エドワードが口元を手で覆って、眉を何度もしかめた。

男同士の基本的なコト。
それをなんとなく理解したくらいの自分がそんな生意気な事を言ったのを、マスタングはすぐに笑って軽くキスで返してきた。

「で、…あれ?」

軽いキスだったんだよな。

「んん?」

エドワードが少し焦りを感じて考え込む。

最近はキスだけで考えれば、結構お互い、なんだ、その…。

はは、とエドワードが空笑いする。

軽くはなかったか、な。

『…いいかげんにしないと…知らないぞ』

とか言われたような。

『知らなくないだろ。こっちもその気になるもんだぜ』

「〜〜〜〜!?」

ああ、自分の馬鹿さかげんに嫌気がさす。

エドワードはその時の、マスタングの感情を押し込めようとして真顔の瞳に浮かぶ男のそれに、ゾクゾク、としたものを感じて言葉が止められなかった。

『…そろそろ、限界、なんだろ…?』

クス、と自分が笑う。

『…知らんぞ』
『うん?ああ、そう』

「―――!!」

思い出しただけで自分の誘う姿にクラクラして頭を抱えた。

酒だ、酒。
酒のせいだ。

「……」

いや、あながちそうでもない。
思わずため息をついてがしがしと乱暴に髪をかく。
健全な男子としては、行為自体、興味はある。でもそれはあくまで女性との関係で、でも自分がお付き合いしちゃってる相手が男で、それも14も年上の、いろんな意味で手練手管を心得ている奴なもんだから、自分の妄想が追いつかないったらない。

「!」

そんでもしかして、此所ってここって…?

カタン

「―ぃっ」

扉の向こうでした音に、エドワードがびくりとしてズササ、と後退さる。

いっそ、何だったら、酔いの覚めないうちにコトが済んでいたら。

ああ、それも何だかショックだし。

「……」
「…鋼の?起きたのか」

予想通りのマスタングの声に、エドワードがあわあわとベッドに潜り込んだ。

カチャ

ドアが開いて、マスタングが入ろうか躊躇している気配がする。

「……」

エドワードは息を止めて、爆発しそうな心臓にぎゅう、と胸を押さえた。

カツ、…カツ…

一歩いっぽ、こちらの様子をうかがうようにゆっくりとした歩調でマスタングが歩く。近づくたびにその音を消し去るようにエドワードの心臓は音を大きくしていく。

カツ…

「―っ」

背後で足音が止まる。
エドワードの心臓も一瞬、止まった気がした。

「…鋼の…」

毛布の上から、エドワードの頭に軽く触れる。
ビクッと揺れた体に気付かれたくなかったが、反射的なそれは隠しようがなかった。

「…眠っていいから。アルフォンスには宿に伝言を頼んだ。明日の朝、食事をしたら…送ってあげるよ」
「……」

努めて穏やかな物言いに、エドワードは唇を噛む。

自分で誘って、勝手に眠って、勝手にびびっている。

マスタングだって、少しは期待したんじゃないか?
あれだけ自分が誘う様子を見せたら。
でもやっぱりアルコールのせいだと、最初から諦めていただろうか。

心臓の鼓動に、吐く息までが揺れる。

「…おやすみ、エドワード」

もう一度マスタングの手が頭に触れた瞬間、自分の思考が動く前にエドワードの体が動いた。

「…っ」

毛布を跳除けて、マスタングのその手を掴んでいた。

「―っ。…エ、ド……?」
「…あ、いや……」

目を見張ったマスタングが、エドワードの一瞬の躊躇に、ふ、と視線をそらす。

「…どうした…?…気分でも悪いのか…」

マスタングがエドワードの手をそっと掴んで放そうとする。

「―っ」

エドワードが思わず首を振って手に力を入れた。

ちょ、…待った。

エドワードの頭の中では自分の行動に待ったを掛ける声が響き渡っている。

待て待て待て…ッ

手、掴んでこれからどうすんだよ…!?

マスタングの口元が、言葉を見つけられずに微かに引きつっている。
明らかにエドワードの行為に困惑しているのがわかって、エドワードは居たたまれない気分になった。

「…エド」
「…ぅわっっ待った!!」

ほんのわずかに近付いたマスタングに、エドワードがまぶたをぎゅっと閉じて手を掴んだまま叫んだ。

「……」

マスタングの手に、エドワードの緊張が震えとなって伝わる。
力一杯掴まれていることに少し顔をしかめながら、マスタングは小さくため息をつく。

「…もう、寝なさい」

宥めるようなマスタングの声に息を止め、エドワードはゆっくりまぶたを開ける。
見えるのはマスタングの膝辺りだけ。視界が狭くなるほど、苦しい。

いつも、お互いに煽るだけ煽って、逆に先に進む事を避けているから、こんなに意識することがなかった。
マスタングがかわしてくれるのがわかっていたから、自分は安心してフザケていられた。

「……」

エドワードが、自問自答する。

ススンデイイノカ…?

ススムノガコワイノカ?

「…恐いん、だ、正直…」

エドワードが下を向いたまま呟く。
口を開くと心臓が飛び出してしまいそうで、出た声は思ったより小さかった。

「………」
「相手が…あんただって、いうのもある。頭で知ってるのと、じ、実際が、違うんだろうって…思うから…」
「…」

マスタングが、頷いて静かに、エドワードが飛び退いたりしないようベッドに腰を下ろす。

「…っ」

うつむいたままのエドワードの手を軽く握り、そっと片方の手で髪を撫でる。
エドワードが奥歯を噛み締めて落ち着こうと眉をしかめた。触れられている場所が熱を持つようで、緊張で頭がうまく働かない。
その様子にマスタングがふ、と苦笑いをもらす。

「…私も、こんなに緊張するのは、…始めてだな」
「……」
「今日は、眠りなさい。…何も急ぐことはないんだから」

少し体を寄せ、マスタングがエドワードの髪に唇を寄せる。それはおやすみの挨拶のつもりだったのだけど。

「……う…っ」
「……?」

エドワードがビク、と体を揺らして小さく声をもらしたことに、マスタングが驚いて片眉を上げた。
エドワードは、すでに頭で整理しきれない気持ちに、自分の中の『待て』が鳴らす警鐘をバン、と消し去った。

「…エド…?―ッ」

ベッドに腰掛けているマスタングを、エドワードがぐい、と引き寄せて首に両腕を回す。いきなりの動きにマスタングが目の前で揺れた金色の髪に目を見張って言葉を失った。

「……っ」
「…ぅ、んん…っっ」

勢いでわずかに歯が当たる音がしてエドワードがマスタングの唇をふさぎ、眉根を寄せて、ぐ、とマスタングの唇を割る。
下から押されるマスタングが、驚いて宙に浮いた手を一瞬軽く握り締め、背中からベッドに倒れ込みながらエドワードの体を受け止めて抱き締めた。

「ん…ん、ん…ふ…」
「……ん……」

マスタングを押し倒した体勢で、エドワードは音を立て深く舌をくぐらせる。
マスタングの手のひらが髪を撫で、口付けに角度をつけるように導いてエドワードの舌を追う。
お互いの息に混じるアルコールの香は冷静さを奪うには十分な量。

背中に回されたマスタングの手が背筋から脇腹を探るように動き、エドワードはくすぐったいような刺激にピク、ピクと跳ねながらマスタングの唇に舌を這わせる。

「ん…、う…っ」

離れた口元から、エドワードが息の上がった声をもらし、困惑気味に眉根を寄せ軽く身を捩る。
マスタングが、その表情に、自分の喉が鳴るのを眉を寄せて見つめた。

今なら、まだ…。

自分が止めれば。

「大佐…」

マスタングの中で葛藤する感情を読むかのように、エドワードが紅潮した顔で睨む。

「…大佐…」

エドワードの顔は、初めてを恥じらう女性のそれではなくて。

「…勝手に…止めんなよ…」
「…エドワード…」

マスタングは引きずられそうになりながらも一瞬、冷静な角度から自分を見定めた。
進めていいのか。

今、無理に止めるのは、エドワードを傷付ける。ただ、自分でストップが掛けられる範囲も、相手がエドワードでは…、どこまであるか自信がない。

マスタングは唇を引き結んでこちらの様子を伺うエドワードを見上げ、負けたようにその体をギュッと抱き締め体を反転させると、エドワードをベッドに倒し、存在を主張する互いの心臓の音が重なるようにゆっくりと体を寄せる。

「…少し…進んでみるか…?」
「…」

マスタングの声に含まれるかすかな色に、エドワードは少し間を開けて、頷く。
まだためらいが消えたわけではない。

「…言っておくが…」

マスタングがエドワードの顔の両サイドに肘を付いて額を合わせる。
エドワードはピク、と眉を上げてマスタングの言葉に耳を向けた。
視線が合わせられない。
何が、どう進むのかだって、はっきり想像もできないし、流されるほどには酒の勢いは残っていない。

「……私がこれ以上は駄目だ、と言っても君が聞かなかったら……」
「…」
「保証はしないからな…?」
「……わかってる」

マスタングが顔の脇に付いている肘とか体を跨ぐように乗り上げている膝とか、エドワードを囲い込むようなそれにちら、と視線を回せば、く、と緊張が心臓から頭へと抜ける。
マスタングの言うところの彼のストップは、どこだろう。

「……ッ」

ファサ、とマスタングの髪が頬をくすぐる。思わず顔を上げると、少し困ったような笑みを浮かべた男の瞳が細められ、見惚れる間には唇を奪われる。
先ほどのキスで湿気を含み柔らかく色づいていたエドワードの唇を、マスタングは軽く触れ合わせると、エドワードがぴく、と反応しながら息を飲むのを感じ大きく息を吸い込んだ。
エドワードの体の端々まで張った緊張が手に取るようにわかる。
いつも戯れて抱き合うのとは違うそれはマスタングの緊張を煽りながらも愛しさを募らせた。

互いの気持ちを確認しあうまでに、どれだけ時間がかかっただろう。
この唇を自分に向けさせ、ただの興味ではなく愛情を表すためのものとしての口づけを覚えさせるのにどのくらいの労力を裂いたか。
それすらもエドワードをこの腕に抱きしめているという至福の時間ではあったが。

「……た、大佐…」
「ん……」

何度かすり合わせるように重ねる唇にぴくぴくと小さな反応を示しながらもその先を進めようとする様子のないマスタングに、エドワードは緊張の限界を感じて思わず声をかけた。
マスタングがエドワードをベッドに押し倒している事の幸せに浸っている間、ずっとエドワードの頭の中は色々な想像とそれに対しての自問自答が続いているのに、動く気配のないマスタングに、もうだったら進むか止めるかして欲しいのが本音で。
耐え切れなくなる。
自分の脈拍はいっぱいまで上がったままで、なのに相手は余裕こいて、まるで今日煽った自分をただからかって後悔させようとしているようで。

「…し、しないんだったら…退けよ…っ」

ぐ、と手を握り、エドワードはマスタングの肩を押した。

「………」

そのままふい、とそっぽを向くエドワードに、マスタングは肩を押す手をそっと掴んだ。
エドワードのまだ緊張したままの横顔を見つめ、マスタングがその少し強張った手のひらに頬を寄せるとエドワードが、く、と眉をしかめた。

「…私も、…緊張しているんだよ…」
「……」

そして何度か手の甲に口付けを落とし、今にも頑なに握り閉じてしまいそうな指に唇を寄せる。
その間もエドワードはこちらを見ることなく視線をかすかに伏せていた。
くす、とマスタングは自分の中のどうしようもなく意地の悪い気持ちに笑みを浮かべる。

ああ、どうしてこんなにも愛しいのに。

マスタングはエドワードの金色の髪が掛かる彼の耳元をくすぐるように唇を寄せる。

愛しいから。
手に入れる事が至上の喜びだから。

「…すまない。どうしても、私は君を苛めてしまいたくなる。それでも、君は応えてくれるのか、気になるよ…」
「―――っ」

カッとエドワードの瞳が開いてより頬が染まった。

「構わないのかい?…あんなに自分が下になるのかどうか気にしていたのに。このままだと私は君を……」
「う…っうるせーな!まだどっちが下とかき、決まってねーだろうが!今は…っ」
「ほぉ…。どう見ても今の君は初めて男を知る少女のようだが…?」
「てん、めー…っ」

今までの緊張と心臓の働きを返せ寿命が縮む、と心底思いながらエドワードがぎりぎりと奥歯を鳴らしてぶん、とマスタングに掴まれている手を引き抜いた。

「帰る!」
「駄目だな」
「んな…っ」

マスタングを突き飛ばして体を起こしたエドワードの腕を、マスタングがすかさず掴み力いっぱいに引っ張った。
エドワードに突き飛ばされた勢いでベッドに腰を下ろすのと同時にエドワードを引っ張ったマスタングの力はエドワードが突き飛ばした力との相乗効果でとてもエドワードが振り解く事ができない強さで、エドワードは抗う間もなくどすん、とマスタングの胸に飛び込んだ。

「やめ…!」
「もう無理だよ、エドワード」
「何が!」

ストップ掛けるとか何とか言ってたくせに、勝手に。

エドワードが抱き込まれるのを体全体で抵抗する。

「もう、ストップを掛ける時間もない」
「勝手な事言うな!俺が聞かなかったらっつってたろうが!この…っ嘘つきが…っ」
「わかるだろう?…無理なのが」
「―――!」

ぎゅ、と抱きしめられ、エドワードが自分の下腹部に当たるマスタングの体の反応にびく、と固まる。

「…や…っ」
「エド…」

思わず体を引いたのはそれが自分の中でまだ理解できないものだったから。
でもマスタングが囁く自分の名前に体が震えたのは、それが自分の中にもあるものだから。

背中に回されたマスタングの腕が、抵抗する手首を掴む手の力が、エドワードを泣きそうなほど悔しい気持ちにさせる。

熱い。

熱を帯びたマスタングの身体に抱きすくめられたい衝動はエドワードの動揺を煽る。

「エドワード…」
「…ぅわっ」

がっちり膝で囲い込まれ、鼓膜を揺らすようにその声を聞かせられたらまた突き飛ばしてしまいたくなるような色気が漂いぶわ、とうぶ毛が逆立ちそうだった。

「……大丈夫だから。無理強いはしないよ…」
「……」
「ほんとに…」

負けた気がするのはどうして。
エドワードはまだそれを素直に聞けないけれど、今のマスタングの言葉が嘘だとは思わなかった。止められないかもしれないくせに、それでも、自分が本当に嫌だと言ったら、止めるんだろうと、思わせる。

ずるい。

なじりたいようで、でもそれは言葉にはならなかった。
ふう、と息をついてエドワードはマスタングの肩に額をつけた。

「……なぁ」
「ん?」

ぐり、と額をすりつけ、エドワードは惚れた弱みというのを初めて思い知った気がして自分に呆れた。
結局、自分は何を言っても、この男には適わないのかもしれない。今だって、もう自分が下になるかもしれないこんな状況を受け入れてもいいかもしれないなんて思っているのだから。

「…いつか俺が襲ってやる」
「……そうか」

ち、とエドワードの舌打ちを耳元で聞いたマスタングがクスクスと笑う気配。
口を曲げてそれを聞くエドワードはため息をつきながらマスタングの肩に両腕を乗せむかつく唇を塞いだ。

「…仕切り直し」
「よかろう」

にや、とマスタングの唇が笑みを作るのを閉じる瞳の端に見てエドワードはぎゅ、とマスタングの頭を抱え込んだ。



「……ん、…んんぁっ」

くい、とマスタングの指がエドワードの顎を優しく掴んで唇を開かせる。もう十分過ぎるくらいに与えられた口付けをより奥まで貪られるように深くまで追い込まれる舌に、エドワードがマスタングのシャツを握り締めた。
息苦しくて、それでも逃れられない執拗な唇は噛み付いてやりたくなる。
普段どれだけ深く唇を重ねても、その先を自然と避けるからこんなに追い詰められるような気分にはならない。
余裕なんか微塵もないのに、ふと、こんなキスを他の誰かとしていただろうマスタングに、エドワードはちり、と胸の痛みを感じてしまう。

エドワードが時おり睫毛を揺らして身体を捩る様に、マスタングの理性は約束を守れないかもしれないヒビがピシピシと走って行くのを感じていた。
くぐもったエドワードの息すら吸い取るように重ねた口元から湧き上がる独占欲でマスタング自身、目眩がしそうだった。

「エド、…エドワード」
「ふ…ん…っ」

愛しい名を呼べば腕の中の恋人はふる、と震えて応える。
ジャケットを肩口まで脱がし、鎖骨が浮くようにのけ反るエドワードに顔をうずめた。
エドワード自身は気づかないだろう身体の反応にマスタングが急く気持ちを抑えつつタンクトップをズボンから引き抜いて首元まで捲り上げると、一瞬外気に触れた胸がびくりとする。

「……」

視界の下で微かに色づく胸の粒にマスタングは瞳を細めた。
エドワードがよりまぶたをきつく閉じているのすらマスタングの欲望を掻き立てる。

「そんなに期待されると…困るよ」
「き…期待なんかするか…っ馬鹿や、ろ…ぅあ…っ」

抗議の声を上げようとして顔を向けたエドワードが不意打ちにマスタングの瞳と視線がかち合い、肌を滑る相手の手のひらの感触に思わぬ声を上げて抗うはずだった手で口を押さえ込んだ。
くすぐったいようででも確実に違う感覚を誘う術を知っている指先が自分も意識していないような箇所に触れてくる。
それがエドワードを混乱させ口をつく声がおかしくなってくる。

「んん…っんっんっ」
「可愛いな…、初めてでもここが気持ちいいと知っているなんて」
「んん!!」

親指が何度か胸の突起を擦り上げ、そのたびに身体全体で揺れるエドワードにマスタングが色のこもった言葉をかけるとそのまま唇をへそ辺りから胸の筋肉をたどるように這わせた。
タンクトップをめくられる前から張り詰めていたそれは衣擦れとは違う直接的な刺激に痛みを感じそうだった。

「ん…っんぁっは…、ぁ…」

口を押さえた手を噛むように声を抑えながらエドワードはちら、とマスタングの行方を追う。黒髪が揺れているのは自分の素肌の上で、のしかかられている体の重さがこのおかしな感覚を増幅させる。

「は…、んっ…ん、ん…」

膝を割るように押し付けられたマスタングの体に、ばれてしまいそうな下半身の反応にエドワードが歯を食いしばる。
別にそれでいいはずなのに、それでも知られるのは嫌だ。
こんな風に体を触られて、欲望が高まるなんて。

「ふ…ん…っっ」

マスタングの唇が胸元を上がり、つんと張ったそれを食み濡れた舌が当たり、エドワードはどくん、と心音を高鳴らせてなおのこときつくまぶたを閉じた。
きっとこれは行為の入り口でしかないのに、エドワードは生きてきた中でこれほど逃げ出したい気分になったのは初めてだった。出来ればすぐにでもベッドを飛び出して一目散に宿に帰ってしまいたいのに、身体は要らない力が入って自由がきかない。
するするとまたマスタングの指先が動き出し、ウエストからズボンのラインをなぞるようにくすぐりながらベルトを探し出す。

「……っっ」

あまりに歯を食いしばるエドワードをちらと視線でとらえたマスタングはそのままでは指でも噛み切りそうな力の入れように優しく髪を撫でた。
しゃくりあげそうな息遣いのエドワードが一瞬だけ瞳を薄く開き、マスタングの手のひらに頬を当てる。それにマスタングは応えるように何度か頬を指で撫でると、エドワードがようやく少しだけ力を抜いて歯形のくっきり残る手をマスタングの手に重ね顔を埋めた。
エドワードの熱い息が指を抜けていく感覚にマスタングがぐ、と眉を寄せる。
煽っているつもりなど一切ないはずのエドワードの仕草がこんなに自分を高揚させるなんて、どれだけ自分は彼にいかれてしまっているのだろう。
もう、止められるなんて思わない。
ストップをかける術なんて、今の自分は知らない。

「……」

こちらの手のひらに懐くエドワードのベルトを素早く外し、マスタングはぐい、と大きくジッパーを押し下げた。びく、とエドワードの膝がマスタングの腹を蹴る勢いで揺れ、固まる。

「………」
「………」

マスタングの動きも止まり、エドワードは吸い込んだ息を吐き出せずにいた。
マスタングの動向がまったく掴めないのに、視線の行方だけは確かに感じ取れる。それがどうしようもなく自分の気持ちを占めた。

「い…っ」

つつ、と指が這う感覚にエドワードがバッと瞳を見開いた。

「馬鹿バカばか!どこ触って…!!」
「…どこと言われても」

思わず大声を上げてエドワードが飛び上がり、マスタングは両手を顔の辺りで制止させて苦笑いを浮かべる。

どこって…聞かれても困るんだが。

マスタングはふう、と息を吐いて一瞬肩を落とす。
いい雰囲気になっていたというのに、やはりエドワードが相手ではそう簡単に事は進まないようだ。

「………」

うずうずする身体を抱えてマスタングはちらと視線の端で拳を握り締めているエドワードを見つめる。

「話しておいたつもりだったんが……?」
「だ、だからって…急に……触んな!!」
「触らなくてどうするのかね」
「え…っあ、う…う―…」

起き上がった体勢のまま、エドワードは言葉に詰まりうつむく。
まだ、マスタングの指の感触が残る。ほんの、寸の間だったと言うのに。

「……」

エドワードの戸惑う視線はベッドから床をゆらゆらと動く。
マスタングはエドワードの赤味を帯びたその視線を追いながらそっと身体を寄せた。びくりと全身で怯んだ相手に、マスタングは困ったような、でも嬉しいような笑みをこぼして視界に回りこむ。

「…エドワード…」
「………」
「……私を見て」
「………」

ぴく、ぴく、と目元が引きつるのはきっと困惑しているから。
エドワードは引き結んだ唇により力を入れて睨むようにマスタングを上目遣いに見た。そして一度マスタングから視線をそらし息を吸い込む。

「……お互い、なんだろ……」
「…ん?」

エドワードが呟いた言葉を聞き返しながらマスタングは頬に唇を寄せた。ちり、と甘い痛みのようなものが走り、エドワードの唇が息を吐き出す。

「お、俺だけ触られんの、…嫌だ」
「…そうか…」

そうだな、とマスタングの囁きにエドワードの心臓が早まる。
男のらしい抗議にマスタングがふ、と口端を上げ、シーツを掴んでいるエドワードの手を取った。
え、とエドワードが瞼を返す間にマスタングの口付けがそれを飲み込んだ。

「では…君も私に触れればいい…」

どくんと心音が一際大きく跳ねるほど、マスタングの瞳は薄暗い部屋の中でもエドワードを酔わせる艶を帯びていてエドワードが喉を鳴らした。

欲しい。

思うのと同じ速度で身体が動く。

「…ん…っ」

声を上げたのは、自分の方だった。

「た、大佐……っ」
「お互い、なんだろう…?」

初めてのくせに生意気な事を言ったのを思い知らせるように、マスタングの声はいつもより意地が悪い。

マスタングのベルトを解いて触れる前にマスタングの指はエドワードの下着に滑り込んでいた。

「……んん…っ。ん…っ」
「エド…」
「――っ」

マスタングが、必死で声を抑えようとするエドワードの背中に腕を回して身体を引き寄せる。
身体を起こされて、エドワードは一瞬無防備にマスタングの胸に倒れ込み、その手のひら全体に高ぶりを捕らえられ息を止めた。
そんな一箇所で、身動きが取れなくなるなんて。

マスタングが手の動きを止め、エドワードの首筋に懐くように唇を寄せると、待ってくれているのだとわかる。
エドワードが緊張し切ったぎこちない動作でマスタングのズボンへと指先を進めた。瞬間、ほんのわずか、マスタングが唇を噛んだような気配がして、エドワードがうっすら瞳を開き黒髪しか見えない相手の反応を確かめるよう奥まで手を差し込んだ。

「……」

また微かにマスタングの肩が揺れた気がして、エドワードは首にかかる彼の息の熱さにぞくりと背筋を震わせた。
それだけで、今は満足な気がした。
この男は、自分に感じているのだ。
だから、自分の反応は、おかしくない。

エドワードは、ふ、と息を吐いてするりとズボンから手を引き抜いてそのままマスタングの首に両手を回した。

「エドワード…?」
「……俺の事、…好き、か……?」
「…………ああ」
「……」

互いの視線が絡むようで、マスタングの気持ちは突き刺さるほど強くて、エドワードは胸が詰まりそうだった。

「…っ」

唇が重なる。
マスタングがエドワードの背をぐいと強く抱き、今度こそ逃がさないと伝わる強さでエドワードを手の中で擦りあげ、エドワードも、ぎゅ、とマスタングを抱きしめた。
とたんに、マスタングは豹変するかのように手の内をさらす。
エドワードは立てた両の膝がガクガクと震え、マスタングのシャツを握り締めた。

「んう…っっ。んあ、あ、は……っっ」
「良い声だ…」
「や…っあ!」

幼い性などあっという間に飲み込まれてしまう。
手加減という言葉を知らないのかと罵倒する暇もない。出入りする息がすべていつものトーンを一回りほど上ずる声に変わっていく。
マスタングが背中から腰へと抱く位置を変え、がっちりと押さえ込まれてエドワードの熱は逃げ場を失う。

「あ…っっあぁっっ」

マスタングが指に緩く絡むエドワードの甘い先走りに満足げな笑みを浮かべ、こちらの動きにびくびくと肩口で跳ねるエドワードの止めようの無い声の高まりに酔いしれる。

「も……や……っっ」

瞳が潤むのを悔しそうに堪え、エドワードが強く首を振ってマスタングに抱きつくと、マスタングはそっとエドワードの髪を撫で耳元に唇を寄せた。

「……構わないよ、このまま…達っていい…」
「…く……っっぅう、んん……!!……あ……」

ぐん、と仰け反ったエドワードが手の中で弾ける。
開いたままのドアから差し込む光で浮かび上がる弓なりの肢体にマスタングが見惚れ瞳を細めた。
力の抜けたエドワードをゆっくりとベッドに横たえ、マスタングは悟られないようにキスを落としながら自分の準備に取り掛かる。余韻から目覚める前に進めなければまた突き飛ばされる、どころか蹴り上げられかねない。

「………エド…」

止められるわけがないのだから。
抵抗するのを押さえつけるような事はしたくない。
だから、流れを止めたら終わりだ。

「エド……」
「ん……」

軽く首筋に歯を当てると、エドワードがゆるりと瞳を開き口付けを強請るような仕種を見せた。そしてマスタングの背中に腕を回し、その圧し掛かる体躯を確かめるように手のひらを動かす。
ちょっと、マスタングが驚いたように眉を上げてエドワードを見下ろす。
こんな、色気のある動きをするなんて。
ああ、でもそれは自分が女性と事をなす時に相手の身体を端までなぞるのと何ら変わらないのかもしれない。でも、今のマスタングにはそれがとても新鮮で、愛しかった。

「エド……」
「ん」

降ってくる口付けを素直に受け止めるエドワードは、とりあえずマスタングの手がこちらの下着まで脱がそうとしているのは知らぬ振りをした。
ここまできて待ったを言うつもりはなかった。
だから、口付けに溺れる振りをして、任せるしかない。

「んんっっ」

中途半端に下ろされた下着が気になってエドワードがもぞもぞしていると、マスタングの指が不穏な動きを見せ、エドワードはやっぱり我慢できずにぶんぶんと首を振った。

「や…っっ」
「し…っ。…大丈夫だから」

ぴた、と指の腹を唇に当てられ、エドワードがぐ、と言葉を飲み込む。
見た目もしなやかで長い指。その片方はこちらの抵抗をいとも簡単に抑え込み、一方では抗議の根源である行動を取る。
筋肉をなぞるように溝へと落ちていく動きに、エドワードは緊張で息が上がってくるのがわかった。口を塞がれた指の先を見つめ、エドワードは意識を他へと移す術を探した。それでも探るようにしていたマスタングの手がぐい、と後ろから足の付け根を開かせようとするとさすがにバッと顔をそらしてしまう。

「大人しくしておいで」
「う、うるせ…っっ」

くす、とマスタングの笑みが耳をかすめ、エドワードは舌打ちをしながらされるままに下半身の衣服を剥ぎ取られる。マスタングがエドワードの頭の向こうへと腕を伸ばしカタリと何かを手に取るのを感じても、頬に触れるマスタングのシャツにすら煽られるようにエドワードが深く息を吸い込んだ。

「力を抜いて」
「あ、…ああ…」

一瞬ひやりとした感触が体の奥にして怯むエドワードにマスタングが囁き、ふ、と瞳を覗き込むと、エドワードは不安を隠すように眉をしかめため息を噛み殺してどん、とマスタングの前かがみな膝に両足を乗せた。

「…進めよ、さっさと」

何もかもが初めてで、任せるしかないのに、この開き直りというか根性というか。
マスタングの方が軽く呆気にとられ、次にはつい笑ってしまいそうになる。

「いい子だ」
「子、 じゃねー!ぅわ…っっ」

くわっと口を開いたとたん、エドワードがベッドに沈んだ。

「…っっ」
「…痛いかい…?」

明け渡した両足の間に差し込まれた指の先がぬるりとした感触とともにエドワードの隠れた箇所を押す。
軽く首を振るエドワードに、マスタングはほ、と肩の力を抜き、上半身をエドワードへと倒した。

「ん…っっ」
「…傷をつけたくないから、しばらく我慢しておくれ…君は私の大切な蕾だからね…」

そう言う割にはあまり遠慮を感じないマスタングの声音に、エドワードがぎり、と掴んだ肩に爪を立てた。
違和感そのものとしか言いようのない進入なのに、痛みがほとんどないのは、マスタングが言っていた潤滑剤のおかげだろう。
執務室で使い慣れた万年筆でさらさらと書類を片付けていく時の手の動きを思い出し、エドワードは何となく可笑しくなった。食事をするとき、話をするときのあの手の表情。幾度となく見つめていたマスタングのその大人らしい手が、自分のあらぬ箇所を押し広げていく。

「う…く…っっ」

思わず身体を捩り、エドワードの足が揺れる。

「……」

根元まで沈めた指でぐ、と隙を作ってなじませる本数を増やしたマスタングが、エドワードのその反応に喉を鳴らして瞳を細めた。指を飲み込む中が脈打つように締め付けてくる。それは痛みを訴えているようには思えなかった。奥へと誘うような滑らかな内に、マスタング自身がどく、と大きく波打った。

「…男でも、感じる事はできるというのは、本当のようだな…」
「ん、え…あ…っっ」

ぐり、と抉るように身の内で動いた指にエドワードが仰け反る。自分でも何故マスタングのその動きでまた身体の中心が立ち上がりそうな感覚を覚えるのかわからなかった。でも染み込んでいく潤滑剤と指の違和感を無くしていくほど湧き上がるように腰が揺らめく。覆いかぶさるマスタングの息が顎から喉を熱く降りかかり、エドワードは甘くて強いアルコールに浸されているような気分になる。

「……そろそろか…。私の方が限界、だな…」

ふ、と自嘲するような笑みをエドワードが溶けそうな意識の中で聞くと、ゆっくり埋め込まれた指が抜けていく。

「エドワード…」
「大…佐…、ぅんん!!んー…っっ」

膝裏から両手で足を持ち上げられ、エドワードがより近づいたマスタングの瞳を見上げた時、熱いものが愛撫を失った箇所へと押し当てられる。ぐい、と身体が浮かぶ。

「む、無理……っっな…っっ」
「息を吐いて、力を抜かないと……っ」
「あう…!!」

マスタングの肩に乗せられた足がびくっと反射的に揺れ、エドワードは思い切りマスタングの身体を引き寄せた。エドワードの身体に流れる緊張の汗に、マスタングも今にも突き進めてしまいそうな気持ちを抑えてぎゅう、とエドワードを抱きしめた。エドワードが浅く早い呼吸を繰り返し、眉間にしわができるほどまぶたをきつく閉じる。

「エド……」

マスタングが伺うように髪を撫でると、エドワードは何も言わずに微かに頷いた。少しずつ、足の指先から力を抜いていく。
マスタングは身体の中心までエドワードの力が抜けていくのを確認し、髪を撫でる手を止めずにぐ、と身体を押した。

「んん!…う…ぁっっ」

先端の切り込みにエドワードが声を上げるのを遮るようにマスタングが最初の難関を越える。ぞく、とマスタングの背中を落ちていく震えを手のひらに感じたエドワードは全く余裕などない気持ちの中でも眩暈を覚えるほどの優越感が湧き上がる。支配されていくのは自分なのに、その支配欲を掻き立てているのは誰でもない、自分なのだということ。

「あ!…ああ…!!」

思ったのと同時に口から吐き出される自身の嬌声。マスタングの身体がエドワードを割り開く。痛みと苦痛だけならこんな事、受け入れられるわけがない。
薄くまぶたの隙から見上げたマスタングの表情はなんて愛しいのか。
一瞬だけエドワードが浮かべた笑みに、マスタングは諦めたように口端をあげた。

「……君は…ほんとに」
「ん!…んあ…っあっや…め…っっああ…!!」

すがるように伸ばされるその腕はまたマスタングの背を抱き、エドワードはマスタングの作り出す波へと身を任せた。

「愛してるよ…、飛び立てないように…羽根を折ってしまいたいほどに…エドワード」
「は…ぅうん…っっそれで、も…っっ」

飛び立ってしまうのか。
折られても構わないというのか。

そのどちらの答えも聞かないように、マスタングはエドワードの声を欲しがりエドワードは熱に浮かされるようにその名を呼ぶ。

「た…いさ…、た…ロイ……っっはぁ…っっ」








「……それでも君は、…飛ぼうとするだろうな」

マスタングは毛布にくるまって猫のように身体を丸めて眠るエドワードの髪を指で梳く。そのまま機械鎧の手のひらにそっと触れると、生身でなくとも反射的に感じ取るのか、エドワードがマスタングの手を軽く握った。

「…これも、君の気持ちだと、…信じているよ」

マスタングが少し複雑な笑みを見せ、エドワードの隣に身体を横たえる。
こうして抱きしめて眠る夜が来ることをどれだけ願っていただろう。その時間は長くなくとも。夢ではない、現実の彼を腕にしまいこむ。
華奢なのは身体ではなく、エドワードの心。
どれだけ堅い鎧に包まれていても、危うくてもろい部分を併せ持つ。その均衡が崩れたとき、この子に何が起こるかわからない。
マスタングは静かにため息をつきエドワードを抱きしめた。





* * * * * * * * * * * * *


「い、痛…!!エドワード!」
「痛いのは俺の方だっつんだよ!」

姫抱っこなんぞをされてエドワードはえらく立腹している。
だからといって、身体のあちこちが痛くてとても一人でバスルームに行けそうもないからマスタングが抱え上げてみたのだが。

「あーうー…もう、ぜってーもうやらねぇ!!」
「慣れだと言うがね…」
「慣れ!?慣れるくらいやる気かよ!この…!!」
「恋人の営みじゃないか…いった…!!」

マスタングの言葉に目をむいたエドワードが、ごん、とマスタングの額を機械鎧の拳で打った。
さすがに涙目になったマスタングが心底呆れたようにため息をつくとエドワードが一気に赤くなってふるふると震えた。

「今度はてめーの番だろうが!!」
「……いつになるやら…」
「ああ!?おわ…っっ」

エドワードを抱えたままマスタングがバスタブの縁に腰をおろしてザッとシャワーを出す。エドワードはその冷気に縮み上がってマスタングの首に抱きついた。
くす、とマスタングの笑みが聞こえ、抱きしめる腕がよりしっかと身体に巻きつく。

「何だね、まだ足りないかい?」

甘ったるい声とともに腿を滑る手のひらに、エドワードがぎくっとしてマスタングを睨んだ。ふふん、とマスタングが嫌味たっぷりな顔でにやにやと笑う。ひく、とエドワードの口元が引きつった。こんな顔をしている時は次にとんでもない事を言われると相場は決まっていた。

「何事も経験だろう?まだまだ教え込まないといけないことはあるのだから。まずはこの憎まれ口をたたく唇で私をいかせることを覚えてもらおうか」
「ば…っっか!!」

にっこりと爽やかに笑う口にはあまりにも似つかわしくない台詞に、エドワードが噴火した。






















→ここ様…。
すいません。お待たせした上に…大した物がかけませんでしたっっ(―.―;
ああっ。初めてって、難しいんですね((><)))!!
ほんとに、いつもうちの二人はぎゃーぎゃー言いながらえちしてるんで…。
初めての初々しさとか、面倒な事とか…、途中でがっくりしたり…自分の文章力のなさに…(T T)
こんなんでももらって頂ければ幸いでございます…。
懲りずにまたリク下さいまし…(^^;
MAGU

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