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†ロイエド*奥の間†
『軍服―夜』…軍服フェチなお話。
「エドワード…?」

夕飯を好きなだけ食べたエドワードはソファで倒れるように眠っている。
マスタングは仕方なくその体を抱え上げ、寝室へと運ぶ。


今日は軍の式典があったから自分は正装をしていた。
滅多に見ることのない姿を、エドワードがあまりにしげしげと見つめていたのでからかってみたのだが、どうやら図星だったらしい。

『私の軍服姿が好きだろう』

マスタングは寝室のベッドにエドワードを静かに寝かせ、ベッドサイドの照明をつけた。

「…本当に眠ってしまうとはな」

少し寂しかった。

『軍服のまま、しようか?』

そう言ったときのエドワードの怒ったような赤い顔は、期待だと思っていたのに。
はあ、とため息をついて穏やかな寝顔のエドワードの頬に軽く口付けてマスタングは着替えるために立ち上がろうとした。

「…?エドワード…?」

不意に引き止められる感覚に振り返ると、困ったような顔できゅっと唇を閉じたエドワードが薄目を開けてこちらを見上げていた。
マスタングの長い上着を掴んで物言いたげな口元をして、エドワードはまるで行かないで欲しいというように上着を握る手に力を入れる。

「…起きたのか。どうした、着替えるから少し待っていなさい」
「…」
「ん?」

イヤ、と、唇がつづった気がして、マスタングはそれは自分の願望かな、と心の中で笑い引かれるままベッドに腰を降ろした。それを待っていたかのように、エドワードが擦り寄る。

「眠いのか…?」

ごねる子どものように顔を押し付けてくるので、マスタングはその意図を汲みながらも少しはぐらかしてみる。こんなふうに自分から体を寄せてくることなんて奇跡に近いから、逃さないように、それでも少しの意地悪を含ませてエドワードの髪をすく。

「…っ」

エドワードが声を出さずに一瞬震えたのを見て、マスタングは目を見張った。

「…エド…?」
「…っん…」

もう一度髪をすく。

「…ぅん…」

明らかに自分の指の動きに反応している。
マスタングは自分の手元を見て、ああ、と少し納得して、顔をシーツに押し付けているエドワードの髪を何度もすくい上げてパラパラと舞わせる。

「…手袋か…?」

くす、と笑うとエドワードがぎく、と体を強張らせた。
レストランで食事を取った時は上着も手袋も取っていた。軽くアルコールを飲んだエドワードの為に車を手配して帰ってくる頃にまた無意識に手袋をはめていたようだ。正装のときはどうしても手袋がないとしっくりこない。
車の中でも眠そうに揺れてマスタングにもたれていたのを、特に不思議には思っていなかったのだが。やはりこういうことか。

「…」

では、遠慮なく約束を果たさせてもらおうか。

マスタングの笑顔が、薄暗い部屋の中で相応しく色を帯びて変っていく。

「エドワード、こちらを向きなさい」

耳元で優しく囁いて顔を向けさせる。
マスタングはゆっくりとベッドから立ち上がり、わざと腕組みをして子どもをたしなめるような態度で首を傾げた。

「…何」

マスタングの憮然とした態度に、エドワードは先程の指の刺激に緩く紅潮した顔で少し体を起こす。
あのまま、いつものように進むと思っていたから、マスタングには見せたくない期待を見透かされるようで不機嫌な顔をするしかなかった。

「…そんなに、この姿が好きか?」

端正な顔に嫌味な笑みを浮かべ、問うように眉をあげてマスタングがこちらを見下ろしている。青い、軍の正装に、白い手袋。
それを上から下まで、ゆっくりエドワードは見つめ改めてマスタングの顔を見ると、ぞくり、と背中に走るものがあって、思わずちっと舌打ちをしてしまう。

「そんな顔をされると、困るな」

うずうずする口元を手袋の指でなでながら、マスタングはことさら嬉しそうに微笑む。

「このままでして欲しいかい?」
「…別に」
「そうか。…なら着替えよう」

意地を張ったエドワードに、さらっとマスタングが手袋を取ろうとしてエドワードが、あ、と小さく声を上げる。

「ほら、このままが、いいんだろう…?」

語尾が含む焦らす感じにエドワードは唇を噛んでそっぽを向く。

心臓の音が鳴り止まない。

答えなかったらマスタングは着替えを始めるだろう。
でもそれを引き止めたら、負けてしまう。
そのままでしたいのはマスタングの方だと、思ってくれなければとてもこの先には進めない。でも。でも。

「……」

エドワードの頭がアルコールの余韻でくらくらと揺れてはっきりと言葉が出てこない。
だって。
その軍服からは流れるようなマスタングの色気が触れてくるようで。

「恐ぇよ…」
「ん?」

ギシッとベッドを鳴らしてマスタングが膝を乗せる。ほのかな灯りの中でエドワードに影をおとしこちらを向かないエドワードの顔を覗き込んで、ちょっとだけ考えるように親指を口に当てると、マスタングは手袋の指の腹でエドワード首筋を撫でた。

「―っ」

小さく震えるのを確かめ、指で耳元から髪に通し、結わえているエドワードの髪を解く。その間ずっと声を殺すエドワードの姿は、マスタングを高揚させて独占欲をかきたてた。

「このままがいいと、素直にいいなさい。強情を張ると着替えてしまうぞ」

どうしてもそんなことを言える気がしないエドワードは、大きく息を吸い込んで高鳴りを静めようとする。

「…ぁ」

首筋に触れた袖口に、エドワードの声がもれ、マスタングは今度はそれが触れるように髪を撫でつづける。
息が震えるような感覚に、エドワードが喉を鳴らし手元のシーツを掴む。

「エド…」
「…ふ…っ」

マスタングの低く甘えた声が鼓膜を揺らし、エドワードの意識が浮き上がる。
思わず掴んだマスタングの手に、エドワードはゆっくりと顔を寄せてくる。

「…」

恥ずかしさを隠そうとする瞳は、警戒を見せながらもマスタングを誘うように薄明かりに揺れて見つめる。
唇を手袋をはめた手に押し当て、エドワードが目を閉じる。

「…あ…っ」

する、とマスタングの手が頬を撫で、エドワードがはっきりと声を上げた。マスタングの体を熱い欲情が走る。

「恐いんだよ…」
「…恐い?」
「どうなるか…」

ストイックさが恐い。規律めいたものが恐い。その正装を許された地位が恐い。権力ではなく彼の歩んできた道程、それに抱かれる事が恐い。そして、恐いから、惹かれる。体は正直で本当はそれを望む自分を隠してくれない。見透かされていることが嫌だ。
でもそれを煽るマスタングの言葉と声はどうしたって自分を捕らえてがんじがらめにする。

「…ではこのままで」
「…?」

恐い、と言いながらも自分の手に寄せた顔を紅潮させるエドワードに、マスタングは止めようかという気持ちを捨て去る。これだけ感じている相手をみすみす逃しはしない。

「っ大佐…!待て…、まだ…」

了承してない。
マスタングの腕は有無を言わせずにエドワードを包む。

「ぁぁ…っっ」

力を入れて抱きしめられ、一気にエドワードの体が熱くなっていく。
肌の露出した部分に当たる固い布の感触が肌をわきたたせ、エドワードは息が止まりそうになった。

「好きなのだろう?軍服の感触が。そんなに震えて」

首を振って逃げ出そうとするエドワードにからかうような声でマスタングが笑う。
エドワードからしたら笑い事ではない。反動で服のめくれ上がった腹にまで擦り当てられるともう体が動かない。波打つような肌にするするとマスタングが手袋をした手を這わせ上半身を半分ほども肌蹴させられてしまう。

「…嫌だ、とストップ、はなしだ」
「な、に…が?」

すでに息の上がるエドワードに、マスタングが耳元で囁く。

「君の好きな姿で抱くのだから、嫌だ、やめろは聞かない」
「何言って…!」

好きにさせろということか。

いつだって自分のやめろが通ったことなどないのに、ここで聞くということはマスタングが何かたくらんでいる証拠だ。

「だ、誰もそのかっこが好きだとか、それで抱、抱いてくれなんて言ってないだろ…!何だよ!」

慌ててエドワードは抵抗を試みる。これ以上何なんだ。

「そうか?体はそう言っているだろうに。…ならその口に言わせるまでだな」
「…は…!?」

どん、とベッドに倒され、機械鎧の手も足もギチッと押さえ込まれる。ジャケットを脱いでいた上半身に肌蹴たタンクトップをめいっぱい上までまくりあげ、マスタングはベルトとボタンを外して腰骨ぎりぎりまでそれをずり下げる。ジッパーがその動きで下がりエドワードがびくん、と反応する。

「さぁ…?言ってもらおうか」
「い、言わねぇっつーの…」
「どうかな?」

体が触れる前に軍服の上着が腹の筋肉をなぞる。

「―…っっ」

ざらりとした感触にエドワードは唇を噛んだ。

「ほら…?」
「…っっ。んん…っ」

首筋から鎖骨を通り、舌とは違う布ごしのマスタングの手の平は胸元をいとおしそうに撫でてゆく。

「あっっや…っ」

ぐん、と頭をそらしたのはまだ柔らかい胸の突起に触れた瞬間。
指で触れられるのとは違うざらつきが、小さな感部には刺激が大きい。

「布越しがいつもと違って、いいんだろうな」

ふふ、と笑うマスタングの声にエドワードは羞恥が体を走りなおさら体を敏感にしてしまう。

「あ、あ…、は、ん…っぁぁ…っ」
「いつもより、…反応がいいのが自分でわかるかい…?」
「ん、や…っ。やだ…っ」
「嫌、はなしだと言っただろう?」

指の腹で突起を転がすとエドワードの抵抗の声が変わる。

「ふ…っ。う、く…っんふ…ぅっっはぁ…ん」

空いている手でそれを押し返そうとしても、それにさえ当たる布にうまく力が入らない。
素肌に触れる軍服は、エドワードにとってはくすぐったさという感覚を持ち合わせずにすべてが刺激となって声を上ずらせる。

「手を放すから、暴れたりしないでくれよ」

確認をしてからマスタングがそっと手を放す。胸を上下させて息をするエドワードは、暴れるなんて考えてもいなかったのだが、自由になった体をぐりんと返してマスタングに背を向けた。

とても耐えられない。

「はぁ、はぁ、はぁ」

息を切らし、体をちぢこめようとする間もなくマスタングに後ろから腕を差し込まれる。

「こら、逃げたら駄目だろう」
「…っんんーっああ…っっ」

両手で胸元を探られて思わず仰け反って嬌声を上げた。

「やめ…っ。あ、あんっっ」

その声にマスタングがごく、と息を飲む。
エドワードの頭がアルコールのふらつきで、いつもはこらえるような刺激にいきなりあらぬ声を上げてしまったから、本人の方が慌ててバッと手で口を覆った。

「…エド」

かわいい声だ、とマスタングが後ろから抱きかかえて体を起こさせその手をそっと放させる。

「もっと、聞かせておくれ…。少しは私のわがままを聞いてくれてもいいだろう」

この状態がすでにわがままし放題だろうが、とエドワードは背中にぴったりと体を寄せるマスタングに呆れながら、先程の自分の声で自分自身の強い欲求に気づいて少し動揺していた。

軍服が好き。
そうじゃないんだけど。

「…軍服…」
「ん?」

エドワードの微かに震えたままの肩に顔を埋め、再び胸の突起へと手を伸ばそうとしたマスタングがストップした。

「…嫌いじゃ、ない…」
「ああ…」

呟いたエドワードに、嬉しそうな声をもらしてマスタングがエドワードを抱きしめる。

「…」

すれる布にエドワードはぶるっと体を震わせ、マスタングの手袋に触れる。
この感触が、好き。
この手袋をはめた彼の手が好き。
青の軍服を着た姿が、好き。

「…あ、ん…は…っ」

エドワードの手が触れているまま、マスタングが腹から下へと手を這わせ、もう片方で胸を撫でて突起をきゅ、と摘む。
軽く仰け反るエドワードの体から、マスタングの与える刺激への期待が立ち上る。

「あ、あ、あ…」

焦らすように下腹部をゆっくりなぞる指にエドワードは高鳴る心臓に耐えられないようにギュッとマスタングの手を握りもっと下へ、と促す。
背中をすべてマスタングに預け、広げた足の膝を緩く折った体勢で、エドワードは少し腰を引くほど待ちわびる手の動きに焦れた声を出す。

「んん、大…佐…、大佐…」
「このままでいいかい?…このままが、いいかい?」

その口で。
そう言ったのは遊びではなく。

「は…う、ん」
「ん?」
「んあ…っっ」

ズボンの上から足の付け根をぎりぎりで通り、内腿をぐいとさすられてエドワードが根負けする。
大きく仰け反ってマスタングに頭を押し付け声を絞り出す。

「この、まま…がいい…っっ。軍服の…ままで…っ。だから…っあ!」
「いい子だ」

ズボンの上からマスタングが辛そうなエドワードの下肢を軽くなで上げてそのまま下着の中へ手を差し込む。

「あ、ああっ。あっあっああっんっ」

ビクっと体を跳ねさせて背中をマスタングから離すと、手の動きに合わせてエドワードが前のめりに声を詰まらせる。

「ワインを飲んだから、体も熱いだろう。頭がくらくらしてるんじゃないのか?いつもはそんなに声を上げないのに」
「ぁあっ、ダメ、も…や、ううん…っ」

前かがみに刺激に耐えるエドワードに体を寄せ、マスタングはクスクスと耳元で笑って煽る。
本当に、頭がくらくらする。

アルコールのせい?
そんなんじゃない。

「大佐…っ。大佐、もう…イ、イキそう…っっ。止めて、やだ…っっ」
「止めたらイケないだろう」

それでも強く首を振るエドワードを一度ギュッと握って放つ寸前を耐えさせると、エドワードが肩で息をしてその手を離させようとする。

「っ汚れる…」

手袋が。

「…心配しなくても、替えはあるから…」

そんな事を心配したなんて、どれだけ軍服に執着があるのだろう、と思いながら宥め、そっとこちらをうかがうエドワードの潤んだ瞳にマスタングはふ、と笑みをこぼす。

「あ、や…っ」

再度差し込まれた手にエドワードが跳ねるようにマスタングの方へ背中から倒れ込む。

「ほら、自分の手元をみてごらん」
「んん…っやだ…っや、はぁっ。もう…っイカせ…ろってば…はぁんっっ」
「仕方ないな。嫌、はなしのはずなのに」

それでも引きつりそうな媚声を上げて顔をすり寄せるエドワードの顔を覗き込み、マスタングは手袋をはめた手を揺らす。

「あ、ああ、大佐…っあ、ん、うん…っ」

エドワードの先端が溢す緩い液体でしっとりとした布は先程のざらつきを無くし、逆に吸い付くような密着感を持ってエドワードの張り詰めた下肢を絡め取る。濡れた布の出す音はエドワードの耳に熱く響いて媚声に変えた。

「エド…」

開いた口元に軽く口付け、マスタングはその表情をうっとりと見つめた。
この表情をさせているのが自分であることの至福。

「…いいよ、イキなさい。見ていてあげるから」

その言葉にエドワードは一瞬息が止まりそうに口を閉じ、ふぅ、と吐息を漏らす。自分の腰に当たるマスタングの体も、この姿に煽られている。確認しなくてもわかる固く張った彼に、エドワードは唇を震わせた。
せり上がってくる欲望がエドワードの羞恥を快楽へと変える。
彼の名を呼ぶことで、与えられる刺激が誰からなのか自分に刻む自己満足。

「あぅ…う、う、ん、ん…っあぁっ大…佐…あ、ううん!!」
「…っ」

鼻を抜ける高めの声でエドワードが果てる。

「あ…」

そのままぎゅっと抱きしめられ、エドワードは余韻が消えていかぬうちにその腕の中で体を返してマスタングの首に腕を回す。

「ん?」
「…ん?」

同じように声を出すエドワードに、マスタングがふふ、と笑って口付ける。
立てひざで抱きついているエドワードに背中から手を滑らせ再び下着の奥を探る。

「ふ…っん…」

乾いた布の感覚が肌を辿り、エドワードの秘所にぐ、と押し当てられる。

「ぁ…、ふ、あ…」

すぐに中へとは進めずに擦るように指を動かされると、うずうずとした気持ちがエドワードを急かす。

「それじゃ…入んねーよ…」

潤いのない布では刺激が強すぎて痛い。
少し嫌がるようにマスタングを見上げると、マスタングがその手を離し、エドワードの口に指を当てる。

「な、に…?」
「なめて」
「え…っ」

少しはおさまっていた赤味がバッと、エドワードの頬に戻る。

「濡れていないと、痛いだろう?」
「だ、だって…」

もう片方の手が。
それはちょっと言葉にできなかった。
何で、濡れたかなんていわされそうで。
でもこんなマスタングの顔の前で舐めるなんてさすがに恥ずかしすぎる。

「ほら、口を開けて」

くい、と唇を割られ、優しい口調とはまったく逆の行動に、エドワードは戸惑ってされるまま手袋をはめたその指を口に含む。

「ん…っ」
「…もっと、ちゃんと濡らさないと、だめだろう…?」
「んんっ」

楽しそうなマスタングに、ぐっと指を増やされエドワードが抗議の声を上げて睨む。

「舌を使って、そう…私が君にするように舐めてごらん。舌はりっぱな性感帯だ」

言われる言葉がエドワードの心臓をびくつかせてマスタングの服をギュッと強く握り締める。
自分がされるように。

口でされるときのことを思い出してそのなまめかしさにエドワードが喉をつまらせてしまう。

舌は性感帯。
キスをして絡まる舌に感じることがその証拠で、エドワードは奥まで入れられた指にそれを思い出す。

確かに、これだけでまた下肢は微かに立ち上がりそうな気配を見せてエドワードの体を高揚させていく。

「んぅ…ん、ん…ん、あ…」

十分と判断したマスタングが指を抜くのを一瞬ためらったのは、エドワードの甘えた表情がたまらなくかわいいと感じたから。普段なら口付けでもこんなに素直に舌を絡めてこないのに、なんて色づいた目で指を咥えているのだろう。

「も…いい…?」
「ああ、大丈夫だよ」

その言葉にふる、と体を震わせるエドワードの期待を削がぬうちにマスタングが体を引き寄せ再度まだ閉じている秘所を探り当てる。

「…」

ぎゅっと服を握る手がそれを待っているのを感じ、マスタングはエドワードの顎を掴んで顔を上げさせると、声を上げるはずの唇を塞ぎ、焦らすことなくググ、と指を沈み込ませた。

「―ぅぅっっ」

濡れていても布の当たりは少しきつい。エドワードは塞がれた口元から声を漏らして少し身をよじった。

「…っ、んっぅん…!」

すぐにその布ごしの指が感部を見つけて中で動き出す。腰が引けるとなおさら潜り込む指がゆっくりと中を解していく。

「あ、は、は…、んっく…っ」

ずるずるとマスタングの腕の中を滑り落ちていくエドワードは、根元まで押し込まれた指の動きに息苦しいほどで、頬に当たる軍服に顔を埋めた。

「…こっちも、そのままでは無理かな…?」
「んんっっ」

指が増えて仰け反るエドワードに声をかける。

「…」

マスタングの意図がすぐにエドワードの頭を廻る。

この、体勢のままで…?

目の前でカチャカチャ、とマスタングのベルトが外れる。

「ぁ…」

エドワードが、吐息をもらす。
マスタングのズボンが肌蹴、エドワードの唇の前に差し出された。
ちら、とマスタングを見やると軽く眉を上げただけでどうとも言わない。

「や…っあっ」

指に突き上げられてエドワードが手をついた先のシーツを掴む。
マスタングのそれは、緩い液体をこぼしている。でもこのままでは無理かもしれない。エドワード自身の中がそれほど潤っていないのだから。

「…う…。……ん」

ごく、と喉を鳴らして吐いたエドワードの息は吐息。
ゆっくり、差し出されたマスタングの下肢を口に含む。

「ふ…」

わずかにマスタングの体が引く。それを追うようにエドワードが深く導いて舌で刺激する。
先程の手袋に持っていかれた潤いは、マスタングを飲み込んだことで湧き出してくるように増えてすぐに口元は水分のすれる音に変わる。

「エド…」

マスタングの声が息を上げていく。
エドワードの耳に届くそれはエドワードの声を悩ましく染める。

「んん…っ、ぅん、ん、んんっ」

口腔を占められる苦しさと、下肢から上がってくる刺激にエドワードが体を震わせてくぐもった声を漏らしながもマスタングをしっかりと濡らしていく。自分の塗れた舌がねっとりと絡むマスタングの下肢が、これ以上ないほどに硬くそり返りきつそうに張り詰めている。そのことがエドワードの心音を高め、何度も深く角度を変えながら咥え込む。

「は…。…エド、もう…」

軽くエドワードの頭を押し、顔を離させると、ずる、と唇から濡れたマスタングを抜いて糸を引
く液にエドワードが唇を舐めた。

「おいで」
「んっっ」

指を引き抜かれる感覚に体を跳ね上げたエドワードを抱き寄せてベッドに横たえる。

「…待ちくたびれたか?」

小刻みに震えるエドワードの体にいくつも口付けし、その足を広げさせる。

「…大佐…」
「ん?」
「大佐…」

急かすというより甘えるような口調でエドワードがマスタングの名を呼ぶ。

「名前では呼んでくれないのかい?」
「軍服着てるじゃん」
「…そうか」

体を摺り寄せてくるエドワードの足を体の方へ折りながら、マスタングは昼の事を思い出してふふ、と笑った。

「…んっ」
「息を吐きなさい」

マスタングの先端がぐっと体を割る感覚に、エドワードが息を吐きながらマスタングの首に腕を回して自分に引き寄せる。

「好き…」
「…んん?」

体を進めようとしてマスタングが思わぬ言葉に止まる。


「軍服」

大佐の軍服が。

「あ、ああ。…ふ、そんなに好きか。軍人は嫌いなくせに」
「あっん、あ…っつ…ぅ」

矛盾したエドワードの言葉に笑みをこぼしながら、マスタングは意識して力を抜くエドワードに体を押し進めた。

「それほど好きなら…このまま最後まで飲み込んでごらん、自分で」
「あ…っえ…?…ぅわ…っ」

いきなり体を抱え起こされる。

自分でって。

思っているうちに、ベッドに腰を下ろしたマスタングが、自分の首に腕を絡ませているエドワードの両膝の裏に手を当て体を持ち上げる。

「あ…っ」

その、体が一瞬宙に浮く体勢に、エドワードが次の衝撃をさとってマスタングに抱きつく。

「あっう、ああああ!!!」

途中まで進行していたマスタングのきつく張り詰めた下肢を、エドワードが重力に引きずり落とされるのと同時に根元まで一気に飲み込む。

「あ、あぁ…っっ」

ずく、と体の奥がうずき、エドワードが強い余韻に支えられている足を震えさせる。

「ん、ちょっときつかったか」
「ちょ、ちょっとじゃ、…な…あ、動く、な…っっ」
「動かないでどうする」

くく、と喉の奥で笑うマスタングに抱きついたまま、エドワードが首をふる。

「や、あ、あ、だ、ダメ…っ擦れ…る…ぅっっ。んんっんっ」

ぎゅっと強く抱きつくエドワードの反応に、マスタングは軍服に当たるエドワードの下肢に気づく。

「ちょうどいいだろう…?」
「やぁ…っっあああっ。う、んっく…っ」

背を丸めて体を離したくても、深く挿入されたマスタングがエドワードの体をしっかり抱えて軽く上下に揺らしその余裕を奪う。

「…く…っ。そう締めるな…エドワード…」

体を貫く刺激と擦り上げられ痛みに似た感覚にエドワードの体がひくつき、マスタングをきつく締め付け動きを鈍くする。

「ぅぅ…っんぅ…っ」
「…仕方ない」

どうにも力が抜けないエドワードを抱えなおし、マスタングがまたベッドに倒す。

「は、はぁ…」

背をついて少しは楽な体勢になったエドワードの目元が潤んでうつろに見上げている。体はまだ熱を持ったままで、マスタングの腕を掴んで引き寄せてくる。

「エド…」
「ん…」
「動くぞ…?」
「…ん」

マスタングが体勢を整える。
ふ、とエドワードがマスタングの耳元に唇を寄せた。

「…動い、て…」
「……っ」

早く…と、いうような口元が強請るように口付ける。
マスタングの少し落ち着いてきていた気持ちが、エドワードの掠れた声に触発され、思わず奥歯を噛むほどの欲求が湧き上がった。

「うあ…!」

ぐん、と強く腰を引いて、マスタングが抱えたエドワードの足をより折り曲げるように一気に体を突き上げる。

「あうっ。あっああっ。は、は、ああっんっう!」

何度も続けて襲ってくる波に、エドワードが衝動のままに声を高く上げて跳ねる。

「そんな声を上げて。…アルコールのせいか?…軍服のせいか……?」
「やっああ…!んあ…っっ」

激しく揺さぶられて聞こえるマスタングの言葉は、アルコール以上の媚薬。
エドワードは自分の体を貪るように侵食するマスタングの高潮した表情に、少しの嫉妬を感じ取り、絶頂への坂の途中でマスタングをぐいと抱きしめた。

アルコールじゃない。
軍服だけのせいじゃない。

「ふ…っんんっっ…ちが…」
「ん…?」

動きを止めることなく、マスタングはエドワードの首筋に歯を立てて痕を刻む。

「何が…」
「大佐…の、せい…っうっああ…っっ」
「エド…、う…っ」

きつく締め付けながら自分を抱きしめてくるエドワードに、マスタングの腰に重く刺激が走る。
なんとこの体は自分を捕らえて甘く溶かすのだろう。

自分のせいだと…?

マスタングが責めるように深く感部を突き上げる。
体を壊されるようなその衝撃に足の先まで力を張ってエドワードがのけ反った。

「大佐の…っせ、いっだから…っっ全部…っっ。ぜん、ぶ…ぅんっはああ!も…、だ、めぇっっああ!」
「…っくっっう…!」

泣きそうな嬌声とともにエドワードが絶頂へ上り詰め、その締め付けで奥まで押し込んだマスタングが堪えきれずにもう一度ぐい、と突き上げて、自身を放った。

「んん…、あ…あ…ぅ…」

マスタングにしがみついたまま、エドワードが余韻に体をひくつかせて声をもらす。

「エド…」

夢うつつのままのエドワードの頬に、まだ荒いままの息で口付けて、マスタングが両手で顔を包み込んだ。

「…わたしの、せいか…?」
「ん…。そぉ…」

まだ体を沈まされたままの下肢から時折上がる刺激に、目を開けないエドワードは嬉しそうな低い声に答えて口付けをせがんだ。

「ん…」

柔らかくしっとりと重なる唇に安堵にも似た感覚を覚えて、エドワードはマスタングの髪に指を通して頭を抱え込む。

「…そうか」

くす、とマスタングが笑ってもう一度口付ける。
手袋を取って、ぐったりとした恋人を抱きしめる。エドワードがその感触にふう、と息を吐いてマスタングを見上げた。

「どうした」
「や。…やっぱ手袋ない方が」
「気持ちいいか?」
「つーか、安心する」

軍服姿はどうしても緊張を生んで、それが性的刺激を喚起するのだけど、こうして直に触れられる方がどれほど近くに感じられることか。

「たまに、がいいや」

はぁ、とため息をついてエドワードがこの強すぎる刺激はもう当分いらない、と思った。こんなのが毎日続いたらもたない。

「でもたまには、これがいいのか?」
「な…。エロオヤジみたいなこと言うな!」

ぎゃ、とエドワードが悲鳴をあげてマスタングの上着を引っつかむ。マスタングはそれに引かれるように耳元に唇を寄せる。

「あれだけ感じていたら、確かにもたないな…?私の方がくらくらしたよ、君のいやらしさに」
「――!!」

エドワードは真っ赤になって、がん、と思い切りマスタングを突き飛ばした。









→ 軍服フェチ、制服大好きな管理人の妄想爆発ですな。あはははははは。
いや、大佐の場合やはりあの正装はそそられるっしょ。
MAGU


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