【直感】BLゲーを四人でやってみた。
BLゲームをやってみた。 6
その後日――、
廊下ですれ違った宇田に、倖田はゲームソフトを返却した。
「――ということで、とてもいい「モエ」を味わえた。ありがとう、宇田君」
「ふむ……その様子だとおそらく、未だご理解いただけていないようですな。まあ、それほど楽しんでいただけたなら、よしとしましょう。
この「僕らの∞王道学園!」は、我々腐男子同盟が、腐力を結集して制作したものですからな」
「ほお、そうだったのか」
驚きつつ感心している倖田に、宇田は意味ありげに微笑んで告げる。
「このゲームタイトルのように、王道学園は無限に存在するのでして――
ほぼ同じ舞台で、どこか似通った人物たちが、やはり似た展開を繰り広げる数多の物語。
……であるにも関わらず、萌えは無尽蔵に生み出されますから、不思議ですな」
「ウヒョウヒョ」と変な笑いを浮かべなければ、かなりの美男子である宇田は、下から覗き込む形で、倖田に顔を寄せる――にやりと、狐のような糸目を細めた。
「……さて御仁は、どんな新しい王道学園BLを見せてくれますかな。心より、楽しみにしておりますぞ……」
そう告げると、妖怪のようなぬらりとした動きで、宇田は去っていった。
その背を、倖田はじっと見送っていたが――ふいに、背後から呼ぶ声がした。
「倖田先輩、」「……おお、少年か」
振り返ると、そこには特徴味が少ない少年が立っていた。
もう何度もあだ名を変えてきたが――さて、現在はなんだっただろうか。
「もうお昼が終わっちゃいますよ。お弁当持ってきましたから、食べましょう」
少年が赤いチェック柄の包みを手渡したとき――倖田は、己のBLを悟った。
「……弁当、ラブだ」
「はい? 変なこと言ってないで、早く温室に行きましょう」
案外辛口な後輩に連れられ、今日のBLを味わうため、倖田は歩き出した。
終
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