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【直感】BLゲーを四人でやってみた。
BLゲームをやってみた。 4

プレイヤー4:倖田


「よし、次は俺の番だな。さて、どれにするか……」

ずらりと並んでいる選択肢をスクロールしながら、倖田は考える。
急に何かひらめいたらしい倖田は、高らかに声を上げて宣言した。

「――俺の直感が、八番を選べと言っている。よし、これにしよう」

近藤や真田は当然、倖田の頭に響いている声のことは知らないので、いつもの口癖が出たとしか思っていない。
東野は「また始まった……」と顔を曇らせた。

『僕は、門を開けることを諦めた――そして猛然と、学園に背を向けて走り出した』

「えっ、こいつどこに行く気だ?」と、唖然とする真田。「何か、深い考えがあるのかもしれないな……」と、近藤は眉間にシワを寄せて考える。

『何か打算的な理由があって、走り出したわけじゃない。「ノープランかよ!」ただ、走りたいから走るのだ。「阿呆だ……」疾風のごとく山道を降り、とうとう麓の街に辿りついた。
僕を見かけた人々は、何か大切な使命があり走っているのだと勘違いしたらしく、沿道から温かい声援、美味しい差し入れをくれた。
更には、何か感銘を受けたらしい青年たちが、「俺も付いて行きます!」と宣言し、僕に併走し始めたので、もはやチャリティー番組の状態になった。……僕は走らないといけないので、誰か代わりに募金を集めてくれないかな?』

「一体どうなるんだ、この話……」と怪訝な表情で、東野は画面を見つめる。
「頑張れ、色太郎。どこまでも走っていけ!」と、倖田は熱く声援を送った。

『マラソン集団が百人以上になった頃、唐突に、自分が為すべきことを思い出した。
また猛然と山道を登り始めた僕に、彼らは全員付いて来てくれた。かつて僕を阻んだ、巨大な門の前に立つと、今では信頼のおける仲間になった青年たちを振り返り、僕は頼んだ――この門を、一緒に押し開けて欲しいと。
僕の入学のために、彼らは力を合わせてくれた。「ひらけぇごまぁー!」という百人合唱と共に、固く閉ざされていた門は鈍く動き出し、とうとう百人力で押し開けられ、ついに僕は学園の土を踏んだ……。
――百人の仲間を率いて門を開けた話は、後に伝説の始まりとして、学園史に刻まれた。
茨田の青春伝説はここから始まる――GOODEND:ぶっちぎりレジェンド』

「やったな、色太郎。入学おめでとう……!」

倖田は感動しきって、涙で目を潤ませていた。

「……本編が始まる前に、伝説になって終わったな」東野は遠い目になった。
「何というか、流石だな……」と、同じく遠い目をする近藤。

「目的を達成するまでのハチャメチャさが、なんか倖田っぽいよな……」
呆れを通り越し、いっそ感心するように真田は言った。


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あきゅろす。
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