【直感】BLゲーを四人でやってみた。 【直感】BLゲーを四人でやってみた。 1 【直感】BLゲーを四人でやってみた。 「――さて、全員揃ったな」 寮の自室に集まった、同学年の友人達を見回し、倖田は満足げに言った。 倖田を含め、その場にいる全員――東野、近藤、真田は、すでに寝巻き姿だ。 時刻は夜九時。晩御飯を食べ終え、一風呂浴びた後の、学園の生徒が最もリラックスしている時間帯だ。 仲の良い友人と談話室で話すもよし、出された課題を真面目に片付けるのもよし、自室に篭もり、ひたすら趣味に耽るもよし――窮屈な学園生活において、生徒たちが各々自由に羽を伸ばせる、大切なひと時なのだ。 「……ところで、なぜ俺達は、お前に呼び出されたんだ?」 と、東野はもっともな疑問を、倖田に投げ掛けた。 倖田は妙に自信ありげに答える。 「もちろん、このリラックスアワーをバラ色にするためだ。俺の直感が、このメンバーを部屋に集めろと告げた」 「意味がわからない……」 通常運転の友人に、東野はやれやれと肩を落とす。 東野の横にいる近藤は、難しそうに眉を寄せていた。 せっかくのリラックスアワーなのに、彼の眉間に深く刻まれたシワもまた、通常運転だった。 「さっさと本題を言え、倖田。用がないなら、俺は部屋に帰るぞ」 「そう急ぐな、近藤。部屋で一人寂しく過ごしていても、その眉間のシワは取れないだろう。 今のお前に必要なのは、この憩いのひと時を共に楽しく過ごす、仲間たちだ」 「……なるほど、確かにそうだ」 近藤を口八丁で納得させた倖田を、真田は感心したように見つめた。 「――で、どういうふうに、俺達は楽しく過ごす予定だ、倖田屋?」 「よく聞いてくれたな、真田君。 最近、自分の持っている漫画やゲームに飽きてしまったから、ゲームを借りてきたんだ。 内容は全く聞いてないが、ストーリーが面白いそうだ。せっかくだから、人を集めてやってみようと思ってな」 倖田が取り出したのは、無地のケースに入っている、怪しげなゲームディスクだった。……真田は、何やら嫌な予感がしてきた。 「へえ、誰に借りたんだ?」「宇田君だ」「……ああ、多分それ、やばいわ」 新聞部の記者であり、学園一のゴシップ通である真田は、宇田が「腐男子同盟」という地下組織の筆頭であること、彼らの怪しげな趣味の内容も把握済みである。 「宇田君がよく話している「モエ」について、これをプレイすれば解るらしいぞ」 「燃え……防災を扱ったゲームなのか。それは勉強になるな」 純粋にわくわくしている倖田、明らかな勘違いをしている近藤を見て、真田は彼らが少し可哀想になってきた――しかし、彼は小悪党である。 (こいつらのBLに対する反応を記事にしたら、面白いだろうな……) そう思ったので、アブない真実は伏せておくことにした。 かくして四人は、憩いのひと時をBLゲームに費やすことになった―― [次へ#] [戻る] |