[携帯モード] [URL送信]

作者でも分かるとまと同人誌情報コーナー
幕間第二十三巻経過報告:01(サンプルもあり)(2014/07/03)



古鉄≪はい、というわけで現在書いている幕間第二十三巻の経過報告です≫

恭文「いよいよひぐらし編もラスト。そうして生まれるのは当然地獄。さぁ、惨劇の始まりです」


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


『こちら雲雀! 対象の一人を発見――Rは視認できず!』


きたか。思ったよりも早かったので、流れがこちらに傾いているのを感じた。……いや、待て。

早すぎないか? この場合蒼凪恭文ではなく、ガキどもの誰か……考えに耽っていると、三佐が素早く指示を飛ばす。


「人質にできれば十分よ! Rがいなくても捕らえて!」

『鶯、聴こえるか! 近隣の班を回して、退路を断て!』

『鶯了解、バックアップする』


そこで響くのは、地鳴りでも起きたかという轟音。思わず三佐と一緒に耳を塞ぐ。


『くそったれ……! 雲雀4、攻撃を受けた! くそ、逃がすな!』

「どうしたの、状況を報告なさい!」

『丸太を山ほど転がしてきました! 雲雀6と5が骨折、裂傷で追撃不能……残りで追撃する!』


早速トラップ……だが、丸太だと? さすがは第一種忍者、やる事がえげつない。

しかし問題は、対象の一人がそれを避けつつ逃走している事。あぁ、避けている――つまりトラップの位置を把握している。

だがどうしてそんな事を。蒼凪恭文が教えたにしても、戦力として動かさない限りは基本無意味。


逃走に備えてというなら分かるが、それにしても見つかるのが早すぎる。

そういうのはギリギリまで隠れて、もしもの時に備えるものだ。なのにここで出してくるという事は。

……そこで頭をよぎるのは、最悪の可能性。蒼凪恭文だけに気を取られすぎていたのだろうか。


いや、普通は考えられるはずもない。相手は武器も持たないただの子ども。

いくら地の利を理解していても、踏んでいる場数はこちらの方が上だ。油断さえしなければ十分勝てる。

もしや、それすら油断だったのか? もう作戦は変えられない……できる事なら、外れていてほしいと神に祈りたい気分だった。


『――雲雀11、トラップによる攻撃を受けた! 雲雀12・13が多分……脳震盪だ! あんなの、当たりどころが悪かったら死んでるぞ!』

『ひ、雲雀16……! トラップにやられた、銅線が足に絡まって脱出できない。
ナイフじゃ切断不能……番線カッターを持ってきてくれぇ! 足が、足が切れるぅ!』

『鶯10より本部! くそったれ……井戸を偽装した落とし穴だ! 隊員二名が閉じ込められ、救出不能!
応援を遅……うわ、あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!』


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


恭文「一応サンプルなので、本編はまた違う可能性もありますがご了承を。しかし……ひどい」

古鉄≪不意打ちとかではなく、地の利もあって待ち受けてる形ですしね。
ここからは前巻で言った通り、部活メンバーのターンとなっています≫


(というか、ここをやらないと意味がない)


恭文「そしてあのイベントも当然盛り込んでいます」


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


「雲雀13だ! 一人を――北条沙都子を広場みたいなところで追い詰めた! 捕まえてやる、捕まえてやる!」

『こちら、鶯3――お前の後ろで足を吊るされている男だ。そいつは少女じゃない、少女の姿をした悪魔だ。
……そいつの後を追えば、地獄まで誘い込まれるぞ!』

『本部より雲雀13。それで十分だ、応援を待て。今そこに最寄りの隊員を向かわせている』

「おーほほほほほほほ! どうなさいましたの? わたくしを捕まえたければ、あと十メートルは歩く必要がございましてよ?」


そう、十メートルだ。たったそれだけで、このクソ小生意気な小娘の首根っこを掴めるんだ。

だが十メートルをどれだけで走破できる。適当に十歩と見繕っても、それだけトラップを踏む危険と戦わなきゃいけない。

銃を使って威嚇するか? そうだ、それでいい。相手は俊敏とは言え子ども。それに、三佐からも命令でR以外は。


「そうお思いなら、遠慮なく銃を使えばよろしいですわ」


そこで息が詰まる。コイツ……俺の思考を読んでいる?


「小娘相手に物騒なものを使い、踏み出す事もせず威圧すればいいですわ。プロの山狗さん? おーほほほほほほほ!」

「く……くそぉ!」


踏み出す……最初の一歩はどう踏み出す? あの草むらはいかにもなにかが潜んでいそうだ。

むき出しの土も……切り株の上に逃れるのはどうだ? いやいや、それこそ向こうの狙いだ。

先進の汗が踏み出さない。くそったれ、たった十歩なんだ。俺達は地獄の訓練をくぐり抜けてきた山狗だぞ。


それが第一種忍者ならともかく、どうしてこんな小娘相手に緊張を強いられなきゃいけないんだ!


『雲雀13、鶯3だ。ここから見る限り切り株上は安全そうに見える、切り株だ』

『よせ雲雀13! さっき根っこで足を縛られていた、鶯16だ!
切り株はきっと罠だ! 辺りは切り株だらけというのが胡散臭い!』

『聴こえるか、雲雀13! ブッシュは危険だ、草むらは踏むな! むき出しの土もやばい!』


仲間達よ……感謝はする。いや、しているんだ。でもな、それなら俺はどこを歩けばいいんだよ! 空でも飛んでいけってか!


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


恭文「なら僕はいけるね」

古鉄≪そうして引っかかるフラグですね、分かります≫


(カルト的人気を誇る、雲雀13登場です)


恭文「そしてサリさんもやっぱり活躍」


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


「あ、あの……それってなんでしょう。イカスミが入っているとか、黒いスープで味付けしてるとか」

「いや。確かに赤羽根君が言うようなものもあるが、俺が言っているのは……八王子の裏名物だったブラックチャーハン。
これはな、炒飯に黒胡椒をひたすらぶっかけて、黒くするというとんでもアレンジだ」

「なんですかそれ! 美味しい以前に食べられるんですか!」

「食べられた。元々とある中華店で出していたものなんだが、二十年近く前に大ハマリしてな。
ただ店自体もう閉店していて、今となっては幻のメニューだ。先日響ちゃんに炒飯講座をした時、たまたま思い出してな。
店は閉店しているから話には出さなかったんだが、それ以来どうしても頭を離れない」

「あぁ、分かります。もう食べられないって分かっていると、思い出した時に引きずっちゃうんですよねー」


小鳥ちゃんがうんうんと頷いてくれるのが嬉しくなりつつ、右手の指を鳴らす。


「でだ、もやもやしてても仕方ないから、自分で作ってみようと思ったんだよ」


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


恭文「あの人、また765プロに」

古鉄≪仕事どうしたんでしょうか。まぁこんな調子で話はまだ続きます≫


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


「俺には行きつけの天ぷら屋があるんだが……みんなも知っているお店だ」

「私達も? となるとミッドとかにあるのじゃなくて」

「あぁ、ワンコイン天丼で有名な『天丼てんや』だ」

「てんやですか。私もあそこは大好きで、よくいくんですよねー」


小鳥ちゃんが右手で頬を撫で、嬉しそうに笑う。そういやこの近所にもてんやはあったなぁ。


「てんやは現在、天丼チェーンとしては独走状態でな。まぁ最近はカツ丼チェーン『かつや』系列の、『天丼あきば』なんてあるが」

「独走状態……確かにそうですね。俺も天丼のチェーン店となると、あそこくらいしか。でもあきばなんてお店あったんですね」

「チェーン店と言っても、現在は東京新橋と神奈川溝口の二店舗しかないからな。
だがメインとなる天丼にはエビ二本が入っていてな、なかなかのクオリティだ」

「あと天丼のチェーン店というと、私が小さい頃ケンタッキーが出してました」

『ケンタッキー!?』

「天ぷらっとだな」


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


「でだ、そんな天やなんだが……この間の昼時、ちょっとした事件が起きた。いつものように天丼を食べていたら」

「……いつものように、ですか。サリエルさん、俺の思い違いでなければ、確かあなた異世界人」

「そこは気にしないでくれ、さっき言った通り有給消化も兼ねてるからさ。
そうしたら、やたら決まった……剣豪みたいな空気を出したおやじが入ってきた。
ソイツは席につくなりメニューも見ずに、こう注文した」


大事なところなので、右指を鳴らしみんなに注目してもらう。


「天丼一つ――タレ抜きで」


そこでみんながガタっと立ち上がる。想像できないだろう、そんな注文は……俺も実際、掴んでいたエビを丼に落としてた。


「タレ……どういう事なの! プロデューサーさん!」

「いや、俺に聞かれても困りますよ! そこサリエルさんでしょ! そ、それは受けてもらえたんですか! タレなしだとほぼ味が」

「ないな。だが注文は受け付けられ、天丼が来るまでの間店内は緊迫状態へ突入だ。
俺だけじゃなくて、客のほとんどがその剣豪に注目していた。みんなそんな注文がアリだとは思わなかったんだろ。
……そうして天丼が届いた。剣豪はおもむろに卓上から塩の瓶を取り、天丼へパラパラとかけた」

「塩天丼ですか! ……あれ、でも不思議はないのかな。ぼく、前にテレビで天ぷらに塩をつけて食べるところを」

「だがそれはもうちょいお高いところだ。それをわざわざ、てんやでやるというのは思考になかった。
剣豪はざくざくとエビかじり、静かに微笑んだ。それで俺達は察する。この塩天丼は」


そこで時計回りに三回転。そうして全員をビシっと指差す。


「笑みが浮かぶほどの美味さなのだと!」


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


恭文「さぁ、みんなも剣豪になろう!」

古鉄≪こうして広まるわけですね、軍師道が≫


(軍師の道は奥深い)


恭文「そして今回はこんなお話も収録しています」


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


一九八九年・ドイツ――その山間部の奥深く、雪と見えない結界に守護された城が存在していた。

その名はアインツベルン城。魔術師の御三家に名を連ねる、アインツベルン家の本家。

その一室で僕は、ただ窓の外を見ていた。左横の天幕付きベッドでは、妻と生まれたばかりの娘がいるというのに。


ただ吹雪く雪ばかりを見ていた。そうして生まれる雪を、ただ静かに見つめていた。


「かわいい。小さくて、繊細で。目元なんてあなたにそっくり……ほら、キリツグ」


だが僕はなにも答えない。いや、答えられるはずがない。この子がこの先、どんな運命に巻き込まれるかを考えたら。

本当にひどい父親だと思う。我が子の誕生を素直に喜べない。そんな僕に、父親の資格はない。


「アイリ……僕は、君を死なせるハメになる」


目も逸らさず、妻――アイリにはそう告げる。それでもアイリは呆れた様子も浮かべず、いつもの穏やかな表情で僕を見守ってくれていた。


「分かっています、それがアインツベルンの悲願。そのための私。
あなたの理想を知り、同じ夢を胸に抱いたから……だから今の私があるんです。
あなたは私を導いてくれた、人形でない生き方を与えてくれた。
……あなたは私を暇なくていい。もう私はあなたの一部なんだから。だからあなたは」

「僕に」


アイリの言葉を止め、右拳を強く握り締める。そこに刻印された、赤い十字架……いや、そう見える紋様を憎たらしく感じる。

更に強くなっていく感情で手が震え、それを押し殺すように強く握り締めた。


「その子を抱く資格は、ない」

「……キリツグ、忘れないで。誰もそんな風に泣かなくていい世界――それがあなたの、衛宮切嗣の夢見た理想でしょ?
あと八年、それであなたの戦いは終わる。あなたと私は理想を遂げるの。きっと聖杯があなたを救うわ。
だからこの子を――イリヤスフィールを抱いてあげて。胸を張って、一人の……普通の父親として」


それは僕がアイリに語った、夢想に近い話。しかしそれを現実にできる手段が、そのための道筋がある。

自然と二人を見た。アイリは二つ分けにした銀髪を揺らしながら、やっぱり僕に笑いかけてくれていた。

彼女の言っている事は無茶苦茶だとも思う。なぜなら僕は、いずれこの子から母親を奪うのに。


それでも今ある幸せを確かめ、それを未来の糧にしろ。アイリが言っているところの本質は、こんなとこだろうか。

……なにより、僕の奥さんは強情だ。諦めたように肩を竦め、小さくも脆い我が子を優しく抱き上げた。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


恭文「はい、拍手でもやっているあの話です。まぁアニメ見ながら書いてるので、本編寄りなシリアス展開多めになりますけど」

古鉄≪そして最初の話は、八神のあの人がほとんど出ないという罠≫

恭文「位置的には桂さんと同じだしねー」


(『呼んだか、蒼凪殿。ところで……藤咲なぎひことはそろそろ決着をつけたいと』)


恭文「飛んできた電波は華麗に流しましょう」

古鉄≪そうですね、相手にするとめんどくさいですから≫


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


「これだ」


ケイネスの奴が近く、極東で行われる魔術の競い合いに参加する。そういう噂があったんだけど、本当だったらしい。

聖杯戦争――それは二百年前、始まりの御三家と呼ばれる『アインツベルン家・遠坂家・間桐家』がきっかけ。

三家は互いに協力し合い、あらゆる願望を実現させる聖遺物『聖杯』の召喚に成功する。


だが聖杯が叶えるのは、ただ一人だけの祈り。協力関係は血を血で洗う闘争へと変化。これが聖杯戦争の始まり。

以後六十年の周期で聖杯は冬木の血に再来。それを持つに値する、七人の魔術師を聖杯が選択。

サーヴァントと呼ばれる、英霊召喚を可能とさせる。そのクラスは合計七種。


サーヴァントは七つのクラスに振り分けられ限界。七人のいずれが聖杯の担い手として相応しいか、死闘を持って決着させる。

……大体の事が分かったので、資料から手を離す。そうして嬉しくなりながら、椅子の背もたれに体重をかけた。


「聖杯戦争ってのは肩書きや権威も関係ない、正真正銘の実力勝負って事か。この僕に持ってこいの部隊じゃないか」


ほくそ笑んでいると、とある記述に目が引かれる。再び前のめりになり、そこを確認。


「なおサーヴァントの召喚には、触媒となる英霊の聖遺物を必要とする」


聖遺物……慌てて封じたままの届け物を開封。高そうな石箱に入っていたのは。


「……え?」


ハンカチを取り出し、中身を確認。表と裏もしっかり見てみるけど、特に変わったところはない。

ただしいて言うなら、『絵柄』が多少曇っているところだろうか。え、なんだよこれ。

これってバトスピ、だよなぁ。世界的に広まっているカードゲームで使うカード。ま、まさかこれが聖遺物?


そんなまさか。とりあえずカードを収め、外袋なども含めて素早く元に戻す。……どうしよう、すっごく不安だ。

しかし絶対なる幻造神ミトラ・ゴレムか。なんかシンボルたくさんで、強そうだったな。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

絶対なる幻造神ミトラ・ゴレム(とまとオリカ)

スピリット
10(0)/青/絶晶神
<1>Lv1 X0000

このスピリットカードは一切の効果を受けない。

Lv1
このスピリットは合体できず、このスピリット以外の一切の効果を受けない。

Lv1『自分のアタックステップ』
ステップ開始時、相手のデッキの上から20枚破棄する、
または相手スピリット/ネクサス1つを破壊する。

この効果で相手のデッキを破棄したとき、このスピリットの
BPは、この効果で破棄したカードの数×10000になる

シンボル:青青青

(名前の由来はペルシャ神話のミトラ。能力は「絶対破壊の神」)
なお、すべてフレーバーテキストが無いのはアマテラスと同じです。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


恭文「というわけで先行登場な青の絶晶神。アイディア、ありがとうございました」


(ありがとうございました)


恭文「なぜミトラ・ゴレムが聖遺物になっているかは、きっとどこかで明かされるはず」

古鉄≪ひーろーずとかですね。そしてウェイバーさんは≫


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


「ライダァァァァァァァァァァァァァァ!」


悲鳴を上げながら、木陰から飛び出す。すると奴は僕を見下ろしながら、なぜか不思議そうな顔をした。


「なにしてんだお前! なんでシャッター蹴破」


そこで警報……ですよねー! 慌ててライダーの手を引き、強引にその場から離れる。


「おいおい、いきなりなにをする。そんなに余が恋しかったのか」

「気持ち悪い事言うなよ! そうじゃないよ、犯罪だからなこれ! ていうか、なんで入る時みたいに霊体化しなかったんだよ!」

「本までは霊体化できんだろう」

「ふざけるな! それなら昼間でよかったじゃないか! なんでわざわざ泥棒してんだ!」

「全く……少し落ち着け。まるで盗人かなにかではないか」

「泥棒って言ったよな、今! ここは普通に本が読める場所なんだよ、それくらい知ってるよな!」


英霊ってのは召喚されると同時に、時代に合わせた一般常識も頭にインプットされる。

そう聞いていたはずなんだが……と、とにかく逃げろ! 急いで逃げないと、僕が泥棒にされる!


「いや、大いに違う! 闇に紛れて逃げるのなら盗人! しかし凱歌にまみれて戻るのであれば、それは征服王の略奪だ!」

「お前それ警察に言ってみろ、一発で逮捕されるぞ! そもそも『征服王って誰?』って段階だからな!」

「おぉそうだったな。まずは聖杯戦争で勝ち抜き、この現代に征服王イスカ」

「真名をほいほいバラすなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


古鉄≪ミトラ・ゴレムをパクったばかりに、こうなってしまいました≫

恭文「……改めて見ると、この征服王自由すぎる」


(なお征服王、メルとま・りた〜んずに出てきたコリンズと中の人が同じです)


恭文「そして八神の僕も」


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


「……なに、これ」


薄暗いリビングで倒れている男女、更に脇には縛られて震えている男の子。年は僕と同じくらい。

二人の血と思われるもので、魔法陣らしきものが描かれていた。……やったのは、女性の脇にいる男か。

オレンジ髪の細身で、見るからに目がやばい。つい体が震えてしまう。


「あららー、いけない子だなぁ」


ソイツはまだぴくぴくと震える女性から離れ、血まみれのナイフをこちらに見せ近づいてくる。


「正義のヒーロー気取りかな? お嬢ちゃん」


その言葉でまた体が震える。それを見て、犯人はけらけらと笑った。


「しょうがないなぁ、じゃあちょっと静かに」


伸びた左手をするりと避け、懐へ入りながら左手で男の手首を掴む。そうして強化魔法発動――一気に握り潰した。


「僕は」

「ぐ……がぁ!?」

「男だっつーの!」


そのまま右薙に振るわれる刃を伏せて避け、跳躍。一気に身を翻し、男の顔面に右足で蹴り。

鼻っ柱を砕きつつ、向かい側の壁に思いっきり叩きつける。その拍子にナイフが男の手から離れた。

着地した上で右手をスナップし、落ちてきたナイフの絵をキャッチ。ついた血に腹が経ちながら、ブレイクハウト発動。


火花が走り、血ごと物質分解――さらさらと粒子となって地面に落ちていく。


「なん、だよぉ。このガキィ」


犯人は立ち上がり、フラつきながら右手で鼻を押さえる。でもその血を拭いながら、拳を握り。


「痛いじゃないかよぉ!」

「そう、だったら」

『痛さすら感じないようにしてあげましょうか』


いきなり響いた女性の声で、僕達の動きが止まる。そこで血の魔法陣が淡く輝き始め、光が中心部で収束していく。

更に右手から痛みが走る。殴ったりはしてないのにと思いながら見て、体が震えた。

なに……この、赤いアザ。いや、アザっていうか魔法陣の一種に見える。


『うーん、久々にピンときましたよー! 私好みなイケメン魂♪ ではお邪魔虫には』


収束した光は女の人へ変化した。はだけた着物を着た、狐耳の女性。髪はピンク髪のボブロングで、それを後ろで二つ分けにしている。

厚底シューズみたいな草履で着地し、一本だけの尻尾をふらりと揺らす。そうして右手人差し指と中指を立て、犯人に向けた。


「消えてもらいます!」


その瞬間、犯人はあっさり氷漬け。あんまりの事で僕も、縛られている男の子も唖然。

それでも女の人はすっきりした顔で伸びをし、こちらへ振り返った。


「ふむ、状況から見るとあなたのようですね、イケメン魂。
ちょいーっと幼すぎますけど、その分私が一から十まで……きゃー☆」


狐耳さんは両手で頬を押さえて、もじもじし始めた。あれ、僕がおかしいのかな。なんか空気が凄くおかしい事に。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


キャス狐(蒼凪荘住人)「というわけでご主人様ー♪ 今日も添い寝……いいですよね?」

恭文「いきなり出てくるな! ていうかテンション高すぎ!」

キャス狐「当たり前です! ご主人様のためなら私……きゃー☆」

古鉄≪あなたに任せますね。まぁこんな感じで幕間第二十三巻、進めています≫

恭文「Fate関連は設定とかパワーバランスとか大変だけど、できる限り分かりやすい感じにする予定だったよね」


(サーヴァント一人が戦闘機レベルだとか。よく分からなかったけど、ヤフってインタビュー記事を見つけ納得)


古鉄≪アニメの方が描写も丁寧なので、その辺りはなんとかなりそうですね。
一人称視点で細かく説明していくのもテンポが悪いですし、まぁ上手くやっていきましょ≫


(というわけで……目指せ全員生存エンド。
本日のED:LiSA『oath sign』)






[*前へ][次へ#]
[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!