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作者でも分かるとまと同人誌情報コーナー
とまと白騎士もしもの日常Ver2020 第1巻経過報告:01(サンプルあり)(2021/2/13)


古鉄≪というわけで、コロナ過でいろいろありつつも同人活動を再開。まぁ一発目はリハビリ気分で、もしもの日常Ver2020の同人版となります。
ただまぁご存じの通り割と新しめなため、そのまま出しても差異が少ないということで……今回は諸事情あり、私とマスターはクワトロさんやアムロ的立ち位置。
新主人公の希沙良さんとヴァイスリッターを主軸に、コロナ過でいろいろある機動六課の様子を描きたいと思います≫


(大まかな序盤ダイジェストは、とまとパイロット版:02にて掲載しております。

とある魔導師と白騎士と機動六課のもしもの日常Ver2020・パイロット版 第1話 『Vははぐれ迷う/始動』
『http://m-pe.tv/u/m/novel/?uid=korutata&id=1&act=viewPage&PID=1469&CID=49&p=7』)


古鉄≪イメージソングは鈴木このみさんの『歌えばそこに君がいるから』。
女性主人公で経歴も特殊ですし、ふだんよりライトに行く予定です≫

恭文「今回は、そっちよりもうちょい踏み込んだいろんな様子を見せていきたいなーと。」

古鉄≪具体的には才華さんの変態具合とか……≫

才華「変態じゃないよぉ! わたしはただ、いちさんが好きなだけなの!」

いちご「…………だから、お互い別居でいようって言ったでしょ?」

才華「帰る家は……わたしが決める!」

いちご「ほんと懲りないなー!」


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


――午後九時……もう訓練も終わりだけど、きーちゃんは止まりません。


≪ワンツースリーフォー、ファイブシックスセブンエイト……≫


迷惑にならないよう、隊舎の裏手で……音楽を流しながらステップを踏むきーちゃん。

さざなみも響くほどに海が近い中、二つの月が輝くのも構わず、練習着に汗が染み込んでいくのも構わず、髪を振り乱し、踊り続ける。


それで最後は……一回転して、右手で天を指差しながら決めポーズ! …………よっし!


≪うん、OK−! きーちゃん、大分なじんできている!≫

「ありがと。でもまだまだ……途中の、三分頃のステップ、ちょっと遅れた」


きーちゃんは近くに置いてあったステレオデッキをぽちぽちと操作。

自分で駄目だって思ったところを聞き直し、乱れた呼吸を整えながら、ざっとステップを踏む。


「なので」

≪……じゃあ、あと一回だけだよ? 明日もあるし、しっかり休まないと≫

「うん」


――こんな感じで、ミッドに来てからもきーちゃんは頑張っています。というか、特にダンスを頑張っています。それも未来のため……夢のためです。


「精が出るな」


するときーちゃんの左手……影の方から、ロングポニテの女性が出てきた。その人は尉官クラスの制服を着こなし、片手に何かを持って……。


「シグナムさん! ……っと、ごめんなさい。うるさかったかな」

「いや、出勤前に通りがかっただけだ」

≪あぁ……交代部隊の勤務開始時間でしたね≫

「こちらもこちらで初顔合わせの挨拶が中心となるがな。まぁ明日からはそれなりに忙しくもなる」


――じゃあ簡単に説明しようと思う。


現在機動六課は、二十四時間勤務が基本となっている。これは隊舎に三十分以内で戻れる場所にいるようにというお達し。

もちろん睡眠や食事、急速も含めた待機時間≪オフシフト≫はあるけど、それ以外は隊舎でお仕事なり、訓練なりで、ぶらっと街に出かけることもできない。一応私ときーちゃん、スバルちゃん達もその待機時間中。

交代部隊っていうのは、スバルちゃん達やなのはさん達が待機時間中や、隊舎に前線メンバーがいないとき、部隊内のことを預かる控えの方々。


シグナムさんはそこの部隊長さん……筆頭責任者。ロングアーチのグリフィスさんもその補佐役として名を連ねている。今のところレリック事件は進展らしい進展がないけど、それでも備えておかなきゃって感じみたい。


◆◆◆◆◆


≪――それより時間がありません。仕事の話を≫

「そうですね。まず……機動六課の背後関係は、こちらでも調べています。でも相当にきな臭い」

「なんにも分かっていないのに?」

「分かっていないからこそですよ。うちの調査網すらはねのける……それくらいの“何か”がある」

「とんちだなぁ……」


まぁそういうの、希沙良も嫌いじゃないけどさ。でもはやてさん達にはお世話にもなっているし……ううん、ここはびしっとしよう。しろちゃんとも約束したし。


「なにより去年の騒動でハラオウン提督やら執務官がやらかしたのに、そのまま核の一つとして収まっている辺りがどうしても引っかかるんです。
実際本局内部でも、問題提起の兆しがあるそうですから」

≪恭文さんも言っていました。ヴェートル事件絡みで、政変の兆しもあると。
でもそこはレリックやガジェットの脅威度……その予測される背後関係があってもですか? 時間がなくて他の人員を当てはめられなかったとか≫

「今のところはそういう見方もできますね。なにせそうなると、隊長陣全員や顔見知りのスタッフがアウトになりますし。
……ただ、調査部の主任さんがこう言っていたんですよ。これもとんちだけど、他に後見人がいるんじゃないかと」


他の……確か後見人は三人だよね。問題のリンディ・ハラオウン提督と、その息子でフェイトさんのお兄さんであるクロノ・ハラオウン提督。

それと、聖王協会の……えっと、カリム・グラシアさん。管理局内では将校権限も与えられている偉い人。希沙良は顔も知らないんだけど。


「実際先進技術開発センターへの根回しなども相当強く行われていました。
本来であれば既存のAMC装備も、一部限定的に提供される予定だったそうですよ」

≪実際はそうならなかった……去年の事件が原因ですか? なのはさん達なら使用実績の面からも妥当な判断ですし≫

「とにかく急に手の平返しとなりました。“うち”にも協力しないようにと、管理局の上から直々に通達が下ったくらいですし。
……本来ならそのままの流れで、責任追及して追いやられる……そういう瀬戸際に追いやられたみたいです」

≪まぁそうですよね。洗脳されて圧力だけならまだしも、その後で迷惑をかけた相手に対して無礼を働きまくったんじゃ……というか、なんでそんな判断に乗ったんですか≫

「そこは希沙良も疑問かも。そもそも向こうが証拠を提示したら、あっさり覆されちゃうもんね。実際お兄ちゃんの行動でそうなったし」

「リンディ・ハラオウン提督としては、娘であるフェイトさんの将来に陰りが出るのを恐れた……ただその一心だったんでしょう。
彼らを管理局に誘ったのも、ようは罪滅ぼしですよ。手柄を奪うならせめてものフォローをと、タカを括った」

「それでフェイトさんも、そんな気持ちを否定しきれずに……かぁ。優しそうな人だもの」


でもそれが明確に欠点でもあると、希沙良は知っている。優しいだけじゃ、奇麗事を尊ぶだけじゃ、たどり着けないステージだってあるから。……それがまた悲しいんだけどさ。


◆◆◆◆◆


『どれどれ…………うわぁ、なにこれ……』

『……………………は?』


いや、その前に……ログインしたかのように入ってきた才華さんといちごさんだ! 特にいちごさんは……絹盾課長は…………!


『………………』


なのは、そんな目は本当に、熱の入ったシグナムさんくらいしか見たことがないよ! 芸能活動をしている人が……女性がする目じゃないよ! まさしく神刀アイズだよ!

す、すぐに説明しなければ……そうじゃなくちゃ殺される! 間違いなくそんな未来が実現する! なので挙手! 名乗り出て説明をすぐに……今すぐに開始−!


「あの、これは」

『説明は、してくれるんだね?』

「もちろんです! かくかくしかじか……で、希沙良ちゃんが檻から出られなくなりましてー! 今対処中です! 今解決方法を探しています!
決してやましいことはありませんでした! 七つに引き裂くべき敵はどこにもいませんー!」

『魔法でこじ開けるとか無理なの? 恭文くんなら転送魔法でしゅぱーって逃げられるし』

「故障原因を調べる必要もあるので、できればそのままとお達し……以前の問題なんです!
あの……魔法能力者が逃げないように、周囲はAMFが強烈に展開していて……!」

『そりゃそうかぁ。素人の私が考えることなんて、対策するに決まっている…………って、言っている場合じゃないんだけどなぁ……!』

『というか、ハラオウン執務官もいないよね。どうしたのよ』

「…………フェイトさんはコイツが使う前に檻を派手に落として踏みつけたことで、シャマル先生とリイン曹長から説教中よ」


そこで、空気が凍り付くのを感じる。それでまた、あの…………いちごさんが神刀を……!


『……じゃああっちは後回しになっているわけかぁ……』

「あっち?」

『こっちの話だ』


恭文君が気になることを言い出したけど、それは置いておこう。

それより問題は、やっぱり……絹盾課長の目線で! それが本当に怖くて!


『……ねぇ』

「お願いです……いちごさん、何も言わないでください」

『いや、無理だよ。明確に故障原因が判明しているよね。それで説教がされているよね。
しかも報告に謝りがあるよね? 私達が七つに引き裂くべき敵はちゃんと存在しているよね?』

「無力ななのは達を許してください……!」

『じゃあ実際問題どうするんですか。
私とマスターならそれくらい、希沙良を傷つけず真っ二つにできますけど』

「斬鉄もたやすく行えるのが、蒼凪の……トウゴウ先生の剣術であり、日本刀として高い完成度を誇るアルトアイゼンの力だからな。
……部隊長達の許可は必要だが、こうなれば私がやるしか」


そこでシグナムさんが、厳しい表情で首元のレヴァンティンを見る。

いや、確かにシグナムさんの腕なら、魔法なしでも斬鉄はできそうだけど……でも。


「大丈夫かよ、それ。日本刀とレヴァンティンじゃ、また違うだろ」

「とはいえ放置もできん。というより……」


あれ、シグナムさんが頬を引きつらせて、珍しく動揺して。


「シグナムさん?」

「これは、トイレなどどうするんだ」

『――――!?』


そのとき、誰もが凍り付く。自分も女性だから……そういうメンバーが大半だったから、一瞬で凍り付く。

檻の中はなにもない。トイレらしきものなんてない。だから、もしなにかきたら…………いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


古鉄≪果たして希沙良さんは牢屋の中でお花摘みをすることになるのか……鬼畜ですねぇ≫

希沙良「……お兄ちゃんは、希沙良をヒロインにしたいの? でも、もっと夢がある形にしてほしい」

恭文「全然違うわ!」

才華「これについてはフェイトちゃんに説教だね……! というか、私の残念シーンとかもないし、平和だし!」

恭文「あ、それはあります」

才華「はい!?」

恭文「話が前後しましたが……どうぞー」

才華「やめてー!」



◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


「いやいや……今日はまだいい方だよ? 才華さんも歯ブラシの色とか聞いてこないし」

≪あぁ……あったね……≫

「なにその質問!」

「ラジオの企画でやらかしたんだよ。で、自分のイメージカラーと同じ色で、歯磨き粉も同じのを使うって知って……これはもはや同棲しているって言っていた」

「気持ち悪すぎるでしょうが! そんなのカットしなさいよ!」


え、嘘……スバルがそんなこと言ってきたら、私速攻で逃げるわよ!? 同棲じゃないけど、ルームシェアは訓練校時代だから三年続いているのに!

それをそんな……才華さん、まだまともな人に見えたのに! やばい、ちょっと怖くてもう話しかけられない! というかいちごさんが凄く心配になってくる!


『ちょ、待って待って! それはほら……わたしの色をいちさんが使っていて、わたしもいちさんの色を使っているから、両思いだなーって……ね!? ね!?』

「……どう足掻いても気持ち悪いです」

「というか、ほら……そこのバカップル二人だってそんなことは」

『あぁ、恭文くんとまいさんなら既にやっているから』

「え…………!」

『違う違う……僕と舞宙さん、青色が好きなんだよ。だから知り合う以前から、身の回りに青が多くてさ』


するとアイツが軽く手を振って、脇に置いていたらしいロイヤルブルーの水筒……じゃないわね。あれよ、タンブラーってやるよ。それを見せてくる。

それは舞宙さんも同じくらしく、デザインや大きさは違うけど、似たものを私達に見せてきて。というかよく見ると、部屋の調度品にもちょいちょい青が……名前繋がりかしら、それ。


『それでどれだけ青にしているかーって話になってさ。歯ブラシの色も聞いちゃっているの』

『あと歯磨き粉も……あたしが人前に出る仕事だし、それでこれがいいんだーってお勧めしたら、使ってくれるようになったの』

『僕はそういうのよく分からなかったので、凄く助けられました……』

「ま、まぁそういうのならまだ……分かるけど……あの、これってキャラ作りとかじゃなくて」

『才華さんについてはガチだ』

「…………スバル、聞こえているわね」


……それは理不尽かもしれない。

でも、でも……さすがに耐えきれないと、声を震わせながら、やばそうな相棒に刃を突きつける。


「この線は絶対に越えてこないで。もし破ったら……私、アンタを殺すと思う」

「ランスター二等陸士!?」


◆◆◆◆◆


『今朝舞宙さんが朝風呂中に、はやてと後見人のクロノ・ハラオウン提督から連絡がきたんですよ』

『クロノ…………あ、フェイトちゃんのお兄さん!』

『状況精査の軽い朝会議だったんですけど、実際出動があったとき、現場での権限はどうするかって話になりまして』

「現場権限? それは当然……」


恭文君は嘱託で正規局員じゃないし、分隊長でもない。だったらその辺りは……そうかそうか! きちんとする必要があった!


「もしかしてアレ!? 対テロアドバイザーとして口出しした場合、どの程度まで指示を通せるか……もっと言えば、私やスバル達に命令できるかどうか!」

『それ。おのれらはさっぱりでも、僕だけ危険性を察して……ってパターンもあるでしょ。でも逆の場合も当然想定される。
そこで現場が混乱しても問題だし、今のうちに決めておいた方がいいってことになったの』

『で、恭文くんは……フェイトちゃんより偉くなったの?』

『部隊長であるはやての次くらいには。ただ、きちんと論理立てた説明などなどやら、予習的な資料作成も頼まれましたけど』

「それも確かに必要だな。そういう齟齬があるとすれば、それはお前と我々との知識差が大きな要因だ」

『ただハラオウン提督と執務官は、去年のことやらを無駄に引きずり、すぐ僕や希沙良をナンパ男同然に勧誘して、断っても一切話を聞きませんからねぇ……』


え、待って。そこでその話を持ち出すの? それってつまり……。


『その辺りが部隊内で問題になると、六課もまた大変なことになるんじゃないかなーって話をしたら、クロノさんが感涙を流してくれまして。みんなのためにと、それくらい強い権限をくれたんです』

「蒼凪……お前はまた……!」

『それ絶対感涙じゃない……』


才華さんの言う通りだよ! 完全に脅したよね! “お前の妹や母親が何かやらかしたら、パワハラやらなんやらで訴えて六課の邪魔をするぞ”って脅したよね!

ほらほらほらほら……シグナムさんと才華さん達も頭を抱えたよ! 相変わらず悪党だって空気をばりばりに出してくれているよ! なのになんで笑顔なのかな!


『でもね、僕も反省したんですよ。そういうのは僕がわりと気安いせいではないかと……もうちょっと威厳が必要ではないかと。
とはいえいきなりひげをたっぷり生やすこともできないので、役職呼びの徹底からさせようかと』


完全に壁を作る構えだし! “フェイトちゃんとリンディさんに対して、お前らと仲良くつもりはないわー“って壁を作っているよ! 役職的に対応して全部スルーする構えだよ!

ただでさえ物理的距離が半端ないのに、この上更にという覚悟に戦慄するしかないよ!


『いや、恭文君はひげなんて生えたことないよね。むだ毛もないし』

「ちょ、なによそれ! チートじゃない!」

「そうだよ! 希沙良だっていろいろ頑張っているのに……お兄ちゃんだけずるい!」

『やかましい!
……まぁそういうわけなのでハラオウン執務官、僕のことはこれから蒼凪課長と呼ぶように』

「ふぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」

「いや、なにさらっと課長になってんだよ! 六課の課長ははやてだからな!? せめて副とか付けろよ!」

『大丈夫だよ、ヴィータ……約束する』


恭文君、そんな聖者みたいに清い笑顔を浮かべないで!? 恭文君が振るっているの、悪魔もおののく怨嗟だからね!? というか……なにをこの状況で約束すると!?


『僕は深町本部長を見習い、みんなに“ぶっ殺せ”と命令できる上司を目指すよ。
僕の街を滅茶苦茶にするウジ虫どもは、全員ぶっ殺せと……声高らかに叫ぼう』


またとんでもないものぶっ込んできたぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!


◆◆◆◆◆



『昨夜……ミッド郊外で哨戒中だった魔導師と、ガジェットの少数が遭遇・戦闘になってね。それはなんとか鎮圧できたんだけど……そうしたらこんなのが入っていたんだ』


――そこで恭文君が見せたのは、回路基板? 金色のプレートがアップにされる。その隣には菱形の、空色に輝く宝石…………って!


「ジュエルシード!?」

『……やっぱりそうだよね。僕も見覚えがある』

「あのなのはさん、それって」

「私とフェイトちゃんが昔、探し集めていたロストロギアだよ! 願望実現器なの!」

「「「「えぇ!?」」」」

『実は十二月くらいに、地方の研究施設に貸し出されていたんだ。僕もコロナ過の前だったから、無限書庫のユーノ・スクライア司書長にガードを頼まれて……それ自体は無事に達成した。
でもその後、そこから忽然と姿を消していたそうなんだよ。捜索についてはその地方の管理局が行っていたんだけど……』

「ならこっちのネームプレートは!?」


書かれているのは、ミッド後による人盟……えっと、この綴りは。


「ジェイル……スカリエッティって書いているけど!」

『ハラオウン執務官が勝手に……上司や部署との連携もなく、こそこそ調べていた広域次元犯罪者だよ。
生態技術に特化した技術者タイプで、プロジェクトFATEやら、二五年前の“戦闘機人”の技術確立とかにも関わっている』

「プロジェクトFATE!?」

「……!」


スバルが小さく息を飲む。というか、それって……まさかと思ってフェイトちゃんを見やると、信じられない様子で打ち震えていた。

というかそれ、私達にも暗に警告しているよ! これがガチなら、スバル達も絡ませられないって!


『プロジェクトFATEは、おのれの母親……プレシア・テスタロッサが悪用し、ジュエルシードに絡んだ広域次元破壊犯罪を起こした理由でもあるよね。
姉とも言える実の娘であるアリシアを蘇らせるため、プレシアはスカリエッティと協力し、その基礎技術を打ち立てた……馬鹿な頓馬だよ』

『え、死者蘇生ってこと!? 魔法ってそんなことまでできるんだ!』

『できませんよ。……これは死者のクローンを精巧に作り、そこに後天的な記憶……人間が人間たり得る骨子を転写。そうすることで擬似的な死者蘇生を成り立たせるって方式なんですけど……失笑ものの理論です』


恭文君、やたら断言……できるよね! だってそういうの専門な子だもの! つまり……。


『そもそも異能・オカルト界隈で言えば、魂は固有情報。
身体や記憶が正解でも、一度身体から離れた魂そのものを高齢させないと無意味。その時点でできるのは似て非なる別人だ』

「だから待って! ヤスフミ……その話は、今は関係ないから。それで」

『大ありだよ。おのれはそのプレシア・テスタロッサのために、願望実現器であるジュエルシードを違法に……地球に相応の危機を持ち込むのも当然として、集め倒した犯罪者だもの』

「でも、罪なら償った! もう終わって……だから私は!」

『だとしてもおのれが加害者遺族なのは変わらない。人斬りがどこまでいっても人斬りなのと同じだ』


恭文君、そこぶった切るかぁ……! フェイトちゃんもプレシアさんの研究が、見る人から見れば“無駄足ご苦労様”って笑われる程度のものだと言われて、動揺しきりなのに!

しかものこの子、自分にも言っているよ!? 人斬り……人を殺める戦いを当然としたことも、その結果を出したことも変わらないって!


『……なら恭文くん、戦闘機人って言うのは? そっちもお母さんが絡む感じなのかな』

『簡単に言えばサイボーグです。クローン製造すら当然とするような精密な生命操作技術を利用し、強化骨格や神経ケーブル、各種センサーを埋め込んだ眼球……そういうものを埋め込んでも大丈夫な身体を作る。
その結果常人を越える身体能力を保有するだけじゃなくて、高い魔力資質やインヒューレントスキルという先天固有能力も発揮します。
……魔法とは違う、AMFなどに縛られない超能力の類いが』

『しかもこの生命操作技術……戦闘機人や、それで生み出された人造魔導師については、一時期局でも戦力登用が検討された結構物騒な代物でして。
まぁ倫理的な問題もあって、当然却下された話ではありますけど……そこで引っかかるのが一つ。奴は今までただの一度も、直接的な目撃情報が出ていないんです』

『捕まる以前の問題ってこと……!?』

『というかそれ、局の人がかばっているかもーって話になるよね!』

『そういうことも視野に入る相手なんですよ。で、そんな相手を……ソロで追い回していたわけですよ。正規局員の分際で』


そこで分際って言っちゃっていいのかなぁ! というか、恭文君もそれで無茶苦茶する方だからね!? 言う権利はないからね!


『ただ今回はそれが危ないって話じゃありません。
この阿呆は立派に加害者遺族であり、利用されただけだと判断されて無罪放免を謳歌する元犯罪者。
そんな奴の好き勝手を六課は許すのかと、他の機動課などから問題提起がされているんです』

「ヤスフミ、待ってよ! それは執務官としての仕事で……それに罪なら償った! ちゃんと裁判で結果も出ているの!」

『だからぁ……それすら当時の関係者も騙されたくちで、おのれはスカリエッティと何かしら繋がりがあったんじゃないカーって話になっているんだよ』

「な……!」

「おいおいおいおい……マジかよ! さすがに冗談の類いじゃ済まされねぇぞ!」

『さすがにこんな冗談はあり得ないでしょ……』


恭文君の言う通りだった。言うタイミングもあり得ない上、はやてちゃん達に確認を取ればすぐにバレる冗談だもの。部隊の活動方針にも差し障る問題だしさ。

それでこんなことを言うのは、さすがになぁ。恭文君も六課が相当きな臭くない限りはある程度合わせてくれるだろうし、さすがに意味がない。


『ただ一つ言えるのは……この件をはやてや、直接の上司でもあるクロノさんも知らなかった関係で、揃って赤っ恥をかいている最中ってことだ。
……もうそれだけで大問題だよ。部下の……それも正規局員で、分隊長兼捜査主任の動向すら把握していなかったって話になるもの』

「……それでは提督や部隊長の管理能力も疑われる……介入の理由になってしまうか」


恭文君もさすがにどうなんだろうと思っている一人らしく、渋い顔でシグナムさんに頷く。



◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



恭文「というわけで、僕がミッドに来られないからって、奴ら調子に乗って暴れてくれています」

古鉄≪馬鹿どもですねぇ……そのうち痛い目を見ますよ≫

舞宙「希沙良ちゃんは大丈夫なの、これ!」

恭文・古鉄≪「…………さぁ」≫

舞宙「さらっと流したし!」


(そこは今後のお楽しみです。次はあどべんちゃーを勧めなくては……末期的なレベルになっているから、あとは上げるだけだぞー)


舞宙「まぁそっちはいいか。……恭文君、バレンタインは期待していてね。めいっぱいの気持ちを送るから」

恭文「は、はい! 僕も返す勢いです!」

才華「いちさん……バレンタインの夜は、一緒に」

いちご「ソーシャルディスタンス!」

才華「距離を適切に取らないで−!」

古鉄≪歯ブラシがアウトだったんでしょ……≫



(果たしてリモート組の安泰は守られるのか。とまと同人版、再動ですがなにとぞよろしくお願いします。
本日のED:鈴木このみ『歌えばそこに君がいるから』)




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