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小説(魔法少女リリカルなのは:二次小説)
第34話 『Stars strike・Remix』



恭文「前回のあらすじ。なんとかどうにかで、トーレとセッテを撃破した僕とフェイト・・・・・・なんだけど」

フェイト「突如現れた謎のメカに追い回されるギンガとシスター・シャッハにヒロリスさんとセインと彼女。
少しずつ・・・・・・だけど、何かが確実におかしくなっている。そんな中、物語は・・・・・・進みません」

恭文「いや、ごめんなさいね? 普通に他のは放置プレイも考えてEDも考えたんだけど、せっかくのRemixでそれはないのよ」





(というわけで・・・・・・)





フェイト「時間を少し巻き戻して、ここからは廃棄都市部やゆりかごで戦っているみんなの様子を、描きます」

ヒロリス「・・・・・・ちょっと待ってっ!? じゃあ、私らはどうすんのさっ! 普通に追いかけっこの最中なんだけどっ!!」

恭文「残念ながら、それが片付くまではずっと追いかけっこです。というか、ループですね。
時間軸が何回か巻き戻って、個人個人でかなり細かく書きますから」

ヒロリス「ふざけるなぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ! なんでそうなるっ!? 色々おかしいでしょっ!!」

フェイト「と、というわけで・・・・・・魔法少女リリカルなのはStrikerS・Remix、始まります」

ヒロリス「始まらないよっ! というか、私のRemixを始めてよっ!!」

恭文「だが、断る」

フェイト「ヤスフミ、断っちゃだめだよっ! というか、あの・・・・・・あぁ、ヒロさんも泣かないでくださいっ!!」




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「・・・・・・ザフィーラの旦那」

「なんだ」



目が覚めてから、ちょうど2時間。ここは、聖王教会の医療施設らしい。

ただひたすらに天井を見つめながら、考えていた。



「俺ぁ、どれくらい寝てたんですかい?」

「一週間だな。我はお前に付いていて欲しいと、アルトに頼まれた」



あぁ、それでこれか。しっかし・・・・・・また俺はズタボロだよな。

もう包帯だらけのガーゼだらけだし。これ、笑っちまうくらいおかしいって。



「そりゃまた、ずいぶんぐっすりですね」



とにかく、俺は起き上がろうとする。・・・・・・痛い。でも、泣き言言ってらんない。俺は、止まれない。



「六課のヘリなら、アルトが居るぞ」

「足りないでしょ。てーか、それだけじゃないです」



で、俺はベッド周りを見渡す。そして、棚に置いてあったストームレイダーに手を伸ばす。



「戦う、つもりか」

「えぇ」

「何のためにだ。・・・・・・色々と聞いた」





一瞬だけ、動きが止まる。ただ、それでも・・・・・・俺は、身体を動かそうとする。



誰だよ、話したのは。シグナム姐さん・・・・・・は、ないか。



なら、アルトだな。間違いなくアルトだ。あの野郎、おしゃべり過ぎるだろ。





「お前はもう、前線の人間ではない」

「んなの、関係ありませんよ。・・・・・・俺、坊主に言った事があるんですよ」



もう一ヶ月半前になんだよな。なんか、あっと言う間だ。

あれのせいで、後悔だったり自分への罵りだったり、色々感じたなぁ。



「『被疑者を殺した事を理由に、六課から逃げるな』・・・・・・って、偉そうに説教ですよ」

「主はやてから、少しだけ聞いている。・・・・・・感謝している」

「されるほど、俺ぁ大したことはしてませんよ」



ゆっくりと、痛む左手を伸ばして、ようやくストームレイダーを掴む。

掴んで、引き寄せる。引き寄せて、手の中で優しく握り締める。



「旦那が聞いた通り、俺は身内相手に、情けないミスをしたことがありましてね。
俺ぁそん時、逃げたんです。いえ、今も逃げ続けてます」





あぁ、逃げた。妹が人質に取られて、それを助けるために狙撃をして・・・・・・目を片方、奪った。

非殺傷設定ってのは、便利だが絶対的な万能さはねぇ。

目みたいな、身体の柔らかく弱い箇所に当たると、普通に傷つける。



いわゆる、ミスショットってやつだな。あぁ、俺もティアナと同じでやらかした人間なんだよ。





「それが原因で、ヘリパイロットに転属・・・・・・だったな」

「えぇ。もちろん、元々ヘリやらが好きだってのが大きいです。そうじゃなきゃ、乗りませんよ」

「そうか」





もう、5〜6年前の話だな。あれから、妹・・・・・・ラグナは俺が撃った左目が、白い眼帯で覆われた。

その白く、光を全く通さない眼帯を見る度に、俺は思い出す。

妹を傷つけた事を。取り返しのつかない傷を負わせた事を。思い出して、自分が怖くなる。



だから、魔導師をやめた。だけど、大事な相棒は捨てられなかった。それでこの状態だ。

だから、ラグナと離れて暮らすようになった。そうしなきゃ、怖さで潰されそうになるから。

だから、ラグナとの距離が開いて、関係が微妙になった。いつぞやの坊主とフォワードみたいにな。





「・・・・・・実に可愛らしい娘だった。お前の妹とは、想像出来ないくらいにな」

「え?」

「昨日の事だ。見舞いに来たぞ。どうやらアルトから聞いたらしい。そこに生けてある花は、彼女の見舞い品だ」



白く、可愛らしい花。地球にある、百合って言う花と似たような形だ。

前にたまたま立ち寄った花屋の店員が、教えてくれた。ミッドでは、一般的なお見舞い用の花だ。



「じゃあ旦那、色々聞いたってのは」

「ラグナからだ」



いや、どうし・・・・・・あぁ、待てよ。俺はラグナにもシグナム姐さんだったり、旦那の話はしてる。

もしかしたら、それで大丈夫と判断したのかも知れない。アイツ、ちょっと世間知らずだしよ。



「・・・・・・お前と、以前のように仲良くしたいと、悲しげな顔で話していた。
それともう一つ。彼女の目は義眼ではあるが、もうすぐ眼帯も要らなくなるそうだ」

「そう、ですか」

「だが・・・・・・お前にとっては、何も変わらないな」

「えぇ」



何も変わらない。いや、変わるわけがない。俺は・・・・・・逃げて、何もしようとしてなかったんだから。

逃げて、逃げて、逃げ続けてよ。そうして、忘れようとした。でも、忘れられなかった。



「旦那」

「なんだ」

「俺、今度もまた逃げたんです。撃つのが怖くて、怖くなって。
なんとかしなきゃいけない現実から、俺ぁ逃げたんです」





その結果が、これだ。俺は、フラグブレイカーになれなかった。

まぁ、生き残った時点でブレイクしてるかもしれないけどよ。

・・・・・・相棒を握りしめたまま、俺はゆっくりとベッドから降りようとする。



うまく動かない身体を、必死に動かしながら・・・・・・ゆっくり。





「目が覚めてから、色々考えたんっすよ。そりゃあもう、短い間に色々と」



自分でも、こんな思考が働くもんだとは思わなかった。もう、俺はビックリだって。



「そうして考えて、お前は何を見出した」

「そんな大層なもんじゃないですよ。ただ、俺が世話になった部隊の隊長が、こんな事言ってたんです」



叱られて、殴られて、そして酒を奢ってもらって・・・・・・ムチャクチャ世話になってる人だ。

今でも、ちょくちょく連絡を取り合って一緒に飲んだりしてる。最近も一回会った。



「『人にあれこれ言うなら、まず自分がそれを出来るようになれ。それが、人に分かってもらう一番いい方法だ』・・・・・・って」





ようするに、言うだけの人間にはなるなってことだな。言論の自由だとか抜かすバカも居るが、それは勘違いだ。

言うだけなら、誰にだって出来る。そして、そんな奴の言葉は薄っぺらいし軽い。そんな言葉は、誰にも信用されない。

隊長曰く、そんな奴は無視されて当然だとも言い切ってた。昔気質な人だからな。まぁ、俺が何を言いたいかと言うとだ。



俺も、隊長と同じで・・・・・・そんな奴は嫌いなんだよ。





「つまりは、そういうことです」

「・・・・・・そうか」

「えぇ、そうです」





坊主は逃げなかった。逃げずに、今も六課の一員として戦ってるらしい。

そしてティアナもだ。逃げずに、一皮剥けた。内心嬉しく思ってた。

あと・・・・・・エリオだな。アイツは一度逃げた。自分から逃げて、フェイト隊長達からも逃げた。



だけど、それでも・・・・・・今も、あの時と同じように、逃げずに戦ってるらしい。

ザフィーラの旦那が、どこか嬉しそうに教えてくれた。で、それを聞いて色々考えた。

俺はこのままでいいのかと。俺の言葉で、逃げないことを決めた奴が居るにも関わらずだ。



結論は・・・・・・もう、言うまでもないよな。なんつうか、男がすたるんだよ。



ここでまた逃げちまったら、俺は・・・・・・マジでタマナシだ。そんなの、俺は嫌なんだよ。





「仕方あるまい。・・・・・・行くぞ」

「旦那?」

「我にも、成さなければならない事がある。行き先はお前と同じだ。問題はあるまい」

「・・・・・・へい」

「私的には、大ありなんだけど?」



その声に、俺と旦那は身体を震わせる。そちらを見ると・・・・・・白衣を身につけた鬼が居た。

普段なら、温和でとても親しみやすい人だ。でも、今は違う。俺達の発言に怒ってるから。



「シャマル先生っ!? いや、あのこれは・・・・・・!!」

「全く・・・・・・ヴァイス君? あなた、自分で自分の状態を分かってるわよね?」

「まぁ、一応」

「それで動くためには、回復魔法を必要以上に重ねがけするしかない。まずは、それからよ」



そう言って、俺の傍らに来る。呆れたような、困ったような視線を俺に向ける。



「・・・・・・いいんですか?」

「本当は、止めるつもりだった。でも、ちょっとだけ話を聞いちゃってね」



シャマルさんが、右手の指輪に軽くキスをする。そして、俺の身体を翡翠色の光が包み始める。



「無茶・・・・・・しないでね」

「・・・・・・はい」

「それと、こういう手を使うとどうなるか。あなたなら当然知っているわよね?」



俺は、シャマル先生の言葉に頷いて答えた。・・・・・・えぇ、知ってます。

これでも、魔導師の端くれっすから。どうなるかくらいは、知っていますよ。



「後のリハビリも、ちゃんとやること。もちろん私も手を貸した以上、六課解散までに完治するように頑張ります」

「はい。シャマル先生、ありがとうございます」

「いいわよ。・・・・・・それじゃあ、三人で頑張りましょうか」

「うっす」




















魔法少女リリカルなのはStrikerS Remix


とある魔導師と古き鉄と機動六課のもしもの日常


第34話 『Stars strike・Remix』




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



・・・・・・フェイトさんとギンガさん、恭文がスカリエッティのアジトに向かったのと同じ頃。

私達も、当然のように行動を起こしていた。その目的地は、作戦通りに廃棄都市部。

ようやく降下ポイントへと到着したアルトさんの操縦するヘリの中で、最終確認の作業中。





今回は、隊長達の助けも期待出来ない。だから、マジで頑張らないといけないので、一応ね。










「・・・・・・いい? 作戦を説明するわよ」



私は、ヘリの中でスバル達の前に、モニターを開く。それは、地図。

上から、廃棄都市部を見た図面。それに、三人は視線を向ける。



「まず、私達はここに降り立つ」



そこは、地上部隊の防衛ラインの前。ぶっちゃけ、最前線もいいところ。

そのそして、それに向かってくる赤い矢印が出てくる。これが、連中。



「そうして、防衛ラインの前に出て、私達が壁になって、敵の戦闘機人や召喚師を引きつける。
その理由は、出発前のミーティングで言った通りよ。地上部隊の戦力は、私達とは違う」

「対AMF戦や、戦闘機人戦に慣れていないから・・・・・・ですよね」

「そうだよ。それで、私達のラインと、地上部隊の防衛ラインが通過されたら、あとは中央本部まで一直線」



スバルが、引き継ぐようにナックルを装備した右手で、敵の侵攻ルートを人差し指で辿る。



「その間には、市街地もあるもの。当然、街の人達も居る。
市民の安全と財産を守る局員としては、絶対見過ごせないね」

「「はい」」

「で、アンタ達も話は聞いたわよね。例の召喚師・・・・・・ルーテシア・アルピーノ」



一応、概要だけは聞いてる。スバルのお母さんの同僚だった人の、娘。

まぁ、その可能性があるというだけで、確定じゃないけど。



「その子は、優先的に保護よ。どうも、スカリエッティに利用されてる感じだしね」

「ただティアさん。僕が思うに・・・・・・普通に難しいですよね。
彼女が利用されてるにしても、どうしてそうなったかも分からないですし」

「・・・・・・そうなのよね」

「例えば、この間の僕と同じだとします。だとしても、まずは誤った認識の解除から始めないといけないはずです」



色々と、自分のあれこれにエリオはあの召喚師を重ねてるみたい。

感情移入というよりは、冷静に現状を把握しようとしている。



「魔法、薬物、催眠的なもの・・・・・・その類は、いくらでも手段があるしね。
もしかしたら、現状の私らじゃ対処出来ない可能性もある」

「下手に力ずくというのも、危ないですよね。
もしかしたらそれがトリガーで、あの子の人格が崩壊という可能性もあります」

「キャロ、よくそんなの思いつくわね」

「えっと、恭文さんが持ってきていたアニメディスクで、そういうのがあったんです。私、ちょっと借りてて」



アイツ、一体何持ち込んでんのっ!? 隊舎を絶対遊び場か何かと、勘違いしてたわよねっ!!

てゆうか、普通にキャロにそんなヘビーなもん見せんじゃないわよっ! この子、まだ10歳だっていうのにっ!!



「もしくは・・・・・・何かあるのかな。あの子が、スカリエッティに従うような事情が」

「なら、その辺りは考慮ね。言っておくけど、真っ向から彼女の話を否定するのは、絶対だめよ?」



洗脳・意識操作にしても、何かがあるにしても、事情込みなら、そこは絶対。

感情的になられて、召喚獣で大暴れでもされたら、マジで対処が難しくなる。



「基本、話して説得。それで、様子を見てみる。ただし、それだって出来る状況ならよ?
力ずくでどうにかする必要があるなら、そうしなきゃ自分が死ぬなら・・・・・・躊躇わないで」

『・・・・・・了解』





一応、自分にも言ってる。普通にさ、フォン・レイメイ戦みたいなことは、ごめんだもの。

いや、ありえないでしょ? ここまで私達、実戦だと色んな意味で負けっ放し。

ここでまた負けるなんて、私は絶対に嫌だ。・・・・・・うん、嫌なのよ。



そんなことじゃ、私は恭文に認めてもらえない。フェイトさんにも勝てない。

もう、押え切れないから。本気だから。だから、この状況をしっかりクリアする。

出来る女は、仕事もプライベートも充実させるものだって、シャーリーさんが言ってたもの。



私、そういう女になりたいもの。だから、今目の前の仕事をきっちりやる。うん、それだけ。





『みんな、降下ポイントに到着したよっ! ハッチ、開けるねっ!!』





アルトさんが、コクピットから声をかけてくれた。そして、ヘリの後部ハッチがゆっくりと開く。

私達四人は、そこから見える青い空を見る。風は、ちょっと荒れ気味。

砂ぼこりが舞って、普通に決戦って感じの空気をかもち出してる。



・・・・・・覚悟を決めろ。もう、逃げられない。負けられない。だったら・・・・・・勝つだけなんだ。





「それじゃあみんな、行くわよっ!!」

『了解っ!!』





そのまま、私達はヘリから飛び降り、降下した。・・・・・・風を切り裂きながら、落下していく。

一応、着地用の衝撃吸収用の魔法があるから、これで潰れてぺちゃんことかは、ない。

ないけど、やっぱりこれは慣れないのよ。空中では、普通に私は飛べないし。



だから、あれよ。たまに思うの。こういう時に、敵から攻撃があったら、アウトだなって。





「・・・・・・うぉりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」



そう考えたのが、きっと行けなかった。見覚えのある黄色い空の道が生まれ、こちらに急接近する。

私は、反射的にクロスミラージュを構えて、急速接近してくる2Pカラーを狙い打つ。



「シュートッ!!」





放たれるのは、12発の弾丸。だけど、2Pカラーは突進しながら、左手を上げる。

腕の周りにウィングロードと同じ色の光弾が6発生まれて、放たれる。

そして、私の弾丸を撃墜した。私達を隔てるように、爆発が起こる。



それだけじゃなくて、下から突き上げるように、弾丸が打ち込まれる。

下を見ると・・・・・・赤髪アップが居た。私の残りの弾丸も、それで撃墜。

爆煙を突き破るようにしながら、2Pカラーはスバルに飛び込みながら、両足で蹴りを入れる。



スバルは、両腕でそれをガード。だけど、足場生成が間に合わなかったらしい。

そのまま、吹き飛ばされた。2Pカラーは、飛ぶように少し落下してから、ウィングロードを再生成。

一気に走って、ここから離脱し、吹き飛ばされたスバルの後を追う。・・・・・・私の攻撃する前に。



とにかく、その間に私達は都市部のハイウェイに着地。くそ、いきなり離されるって・・・・・・まずい。





「アルトさんっ!!」



その考えに行き着いたのと同時に、キャロが声を上げる。というか、フリードを巨大化させて一気に飛び上がる。

飛び上がりながら、フリードに口元で炎を生成させる。ある方向を右指で指し示しながら、声をあげる。



「ブラストレイッ!!」





放たれた炎の砲弾は、真っ直ぐに飛ぶ。そして、撃墜した。

・・・・・・アルトさんのヘリに向かっていた、攻撃を。

その攻撃を行なったのは、例の召喚師。左手をかざして、紫色の衝撃波を放っていた。



それだけじゃなくて、U型のガジェットのミサイルも乱射してた。

それに一安心・・・・・・出来ない。後ろに、気配が生まれた。

私はそのまま振り返り、反射的にクロスミラージュをダガーモードに変形させる。





≪Dagger Mode≫










銃身が上方に向けて、グリップとの境を軸に回転。そして、オレンジ色の刃が生まれた。

ダガーモード。クロスミラージュの、近接戦闘用のモード。まぁ、私はその辺のスキル低いから、補助よね。

そして、二刀を交差させて・・・・・・受け止める。襲いかかってきた、赤い二振りの刃を。





私の背後を取ったのは、栗色の長い髪と、赤色の瞳をした、無表情な女。

コイツ、確か・・・・・・あぁ、そうだ。隊舎を襲ってきた組の一人だ。

名前は、ディード・・・・・・だっけ? 正直、そこの辺りがちょっと曖昧なのよね。





空戦適性持ちで、瞬間的なマニューバで背後に回っての攻撃が得意。

だから、よね。すごい力で押し込んで、そのまま刃を振り抜いた。

斬られこそしなかったけど、普通に私は後ろに吹き飛ばされる。





クロスミラージュの刃と、ディードの刃が摩擦を起こし、私達の前で火花を上げる。

その中を突っ切るように、ディードが二刀を振るう。私は、それを捌いていく。

というか、捌くのが精一杯。右から来る斬撃を、クロスミラージュを盾にして防ぐ。





今度は、刃を返し斜めから。後ろに跳んで避けた。でも、そこからまた踏み込む。

踏み込みながら、二刀の切っ先を私に突きつけて来る。左に身を捻り、避ける。

そこから、右の剣を持つ手が僅かにブレた。咄嗟にクロスミラージュを盾にする。





次の瞬間、凄い衝撃が襲ってきた。・・・・・・これ、いわゆる平突きよね。

刀身を平行にしながら突く事で、薙ぎ払いの追撃を即座にするって言うもの。

かなり、危なかった。だって、訓練でアイツから受けてなかったら、きっと反応出来なかった。





とりあえず防御は出来た・・・・・・だめっ! むしろ、さっきより危ないっ!!

私の身体が、宙に浮いた。そこを狙って、左の刃が動いていた。

狙うは、がら空きな私の腹。そのまま、突き入れるつもりらしい。





躊躇いも、迷いも感じさせない瞳に恐怖しながらも、私は弾丸を生成。

数は4発。生まれた場所は、今狙われている私の腹部。

それを見て、ディードが目を見開くけど、気にしない。私は、トリガーを引く。





私は、トリガーを引きながらも両腕を動かす。そうして、ディードの刃を弾くようにして、飛んだ。

一気にディードに向かって、弾丸が射出される。至近距離で、爆煙が生まれる。

後ろに飛びながら、なんとか距離を取る。・・・・・・って、だめだから。これは生存フラグって、言ってたし。





とにかく、爆煙が晴れる前にその場から離脱して、みんなの状態を確認しようと思ってた。

でも、だめだった。後方に、また気配が生まれた。そして、先ほどと同じように防御。

・・・・・・でも、そこからが違った。ディードは、そこから更に押し込んで突撃してきた。





私の身体は、その勢いに圧されて後ろ向きに倒れる。そこを狙って、ディードが刃を打ち込む。

踏みしめるものもない私の身体は、そのまま後ろに吹き飛ばされた。そして、ビルの壁に激突する。

痛い・・・・・・けど、大丈夫。ちゃんとフィールドでダメージは軽減した。とにかく、すぐに立ち上がる。





立ち上がって、ビルから出ようとした。したけど・・・・・・だめだった。

世界が、色を変えた。薄暗く、今までいた世界を隔てるように。

それを見た時点で、気づいた。これは・・・・・・閉鎖結界だ。





どこかに、向こうのバックヤードとして結界・索敵担当のスタッフが居るんだ。

そいつが、私達の位置を調べて、あんなタイミングで攻撃を仕掛けてきた。

そして、ヘリに・・・・・・いや、違う。多分、戦力を分断するためだ。





ヘリ自体は、撃墜出来なくても構わなかったのかも知れない。

大事なのは、全員の目が作戦ではなく、別々のものに逸れること。

現に、スバルに逸れ、ヘリに逸れ、ディードに逸れ・・・・・・そう、逸れまくった。





数で言えば、向こうの方が多い。2Pカラーに赤髪アップ。ディードに、召喚師に、バックヤード。

というか、能力もだ。戦闘機人は、特化能力だけならオーバーSにも匹敵するって言うし。

やばい、普通にやばい。私達、いきなり戦力分断されてる。





この調子でいくと・・・・・・誰かが一気に狙われて、潰される。




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



青い空を埋め尽くすように、爆煙が幾つも生まれる。

そして、それよりも大きな船がうちらの目の前にある。

その名はゆりかご。色々と勘違いしとるネーミングの戦艦。





これがゆりかごやったら、赤ちゃんは日中ずっと泣きっぱなしや。ありえんで、それ。










「・・・・・・隊列、乱したらあかんよっ! しっかり狙い定めて、撃ち込むんやっ!!」






前線で、航空戦力に指示を飛ばしつつ、うちは迎撃にゆりかご内部から出まくっているガジェットを、潰していく。

でも、大きい。マジでリアルマクロスやんか。こんなの、超伝導超電磁砲レールガンとか使わん限り落とせる気がせぇへん。

少なくとも、通常の魔導師戦力じゃ無理や。・・・・・・外からはアウト。なら、狙うは中やな。



甲羅の固いもんほど、中身はやわやわなんが常識・・・・・・なんやけどなぁ。



普通に戦闘機人とガジェットの軍団が居るって考えたら、それはないわなぁ。





『・・・・・・こちらスターズ!!』



なのはちゃんから、通信が来た。というか、ヴィータと一緒や。



『西側の突入隊が、突入口の確保に成功したっ! アタシとスターズ01は、そこから内部に突入するっ!!』

「了解。スターズ01も02も、気をつけてな」

『『了解っ!!』』










そのまま通信は切れる。で、うちはもう一度見上げる。大きな影を作る、絶望を呼ぶ船を。

・・・・・・次元航行艦隊が到着するのは、ゆりかごの起動ポイント到着予想時刻の7分後。

それだけの差があれば精密爆撃は撃てるし、狙いを定めるだけでも詰みや。





ミッドの人間全てを人質に取られたら、管理局はマジで太刀打ち出来ん。そこでこの鬼ごっこは、おしまいや。

チビスケがたまにやる人質無視なんて、局には出来ん。いや、これはさすがにチビスケにも出来ん。

・・・・・・くそ、腹立つなぁ。ゆりかごの事、もう襲撃事件直後から分かってたはずやのにこれや。





たった7分。その原因は、うちらや局の対応の遅れ。次元航行艦隊出すのかて、手間がかかるんや。





この7分は、色々な積み重ねと組織の怠慢が生んだラグ。これ、どないして取り戻せばえぇんよ。




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



突入口から、内部に入る。位置としては、ゆりかごのちょうど真ん中。

ゆっくりと、薄暗い無機質な作りの床に向かって降りていく。

ある程度降りたところで突然、足元のアクセルフィンが揺らいだ。





揺らいで、消えかけるの。私は集中して魔法を維持する。





それで、なんとかヴィータちゃんと一緒に着地。










「・・・・・・AMFだね」

「あぁ。それも相当に高濃度だ」





通路の形は、ちょうど三角形。床に黄色い大きなラインが引かれている。

そんな通路を見渡す。・・・・・・もしかして、全域でこれ・・・・・・なのかな。

完全キャンセル状態ではない。魔法は、魔力の体内運用を活用すれば使える。



使えるけど、何時完全キャンセル状態にされるかと不安は残る。ここは、敵の手の平の上なんだから。

うぅ、私もあのベルトとか作ってもらおうかな。というか、イライラする。普通にイライラする。

まるで、それをしなくても私達に勝てると言われているように感じている。私もそうだし、ヴィータちゃんも。



だから、表情が険しい。もちろん、そこまで濃度を上げる手間もあるけど、それでもなんだよ。



その手間をかければ、私のようにその辺りの対策を立てていない魔導師なんて、脅威じゃなくなるもの。





「私達も、ベルト作ってもらえばよかったね」

「だな。・・・・・・くそ、マジでアタシもキャラなりとかしたいぞ。
それでアンロックってすれば、空飛べるんだろ?」

「だめだよ、ヴィータちゃん。気持ちは分かるけど、それはだめ」





恭文君は、シオンやヒカリを戦いの道具みたいに扱われるのも、言われるのも嫌なんだから。



だから、キャラなり出来るようになっても、基本使わないって言ってたしね。



まぁ、女装した状態で、身体乗っとられて戦うからなんだけど。うん、見ていてすぐ分かったよ。





「分かってるよ」



だから、ヴィータちゃんもすぐに納得する。

・・・・・・なお、そこは触れないようにしているのは、納得してね?



「・・・・・・さて、どうするかな」





ヴィータちゃんが、自分の前に空間モニターを出す。その画面に映るのは、ゆりかごの地図。

ユーノ君が、頑張って調べてくれた。おかげで、紙とペンを片手にマッピング作業なんてしなくて済む。

・・・・・・突入口は、予定よりずっと早く確保出来た。これは、実に幸運。でも、問題もある。



問題は・・・・・・内部を制圧するための戦力が、絶対的に足りないということ。





「まず状況整理だね。・・・・・・本局からの増援部隊は、あと1時間しないと到着しない」



ゆりかごはアースラなんかよりも、ずっと大きい船。これを、私達二人だけで制圧は、絶対に無理。

だからこそ、本局も増援部隊を出してくれた。でも、それはまだ来ない。



「あぁ。だけど、地上の戦力はもう空きがねぇ」



航空戦力は、外のガジェットの相手で精一杯。廃棄都市部の方も、相当に騒がしい。



「そこから突入部隊編成も、かなり難しいぞ」

「うん、分かってる」





ここで、現状を持たせるのが私達の仕事。だから、のうのうと増援を待っているわけにはいかない。

なら・・・・・・どうしよう。ガジェットも、今サーチした限りでは相当数居る。

戦闘機人も、待ち受けてるに決まってる。・・・・・・あのチンクって子からは、情報を引き出せなかった。



だけど、そこは確定。こういう場合、対処法は決まってくる。これは、制圧戦なんだから。

数に任せて、ゆりかご内部を突入隊の隊員で埋め尽くす勢いで圧すのが基本。

いわゆる、一気呵成というものだね。それが制圧戦の基本戦術なんだけど・・・・・・それは、無理だもの。





「ま、この場合は考えるまでもねぇよな。・・・・・・なのは、お前は玉座に行け。アタシは、動力炉を潰す」

「ヴィータちゃんっ!? ちょ、ちょっと待ってっ! それはいくらなんでも」

「バカ、時間ねぇだろうが。てーか、データは目を通したんだろ?」





私は、頷くしかなかった。・・・・・・確かに、時間がない。今分かっているゆりかごを止める手段は、二つだけ。

玉座・・・・・・王の間に居ると思われるヴィヴィオをなんとかするか、動力炉を潰す。この二つが一番効果的。

ううん、理想的なのはその二つを同時に進行して、達成すること。というか、最低条件になるのかな。



次元航行艦隊の到着に7分のロスがある以上、この突入に失敗は許されない。

成功条件はこの船の無力化・・・・・・最悪、ゆりかごの進行速度を低下させること。

そのためにも、この二つの条件をクリアする必要がある。





「片方だけでも止まるかも知れねぇし、止まらないかも知れねぇ。
ユーノの調べでも、そこは分かってないんだ。だったら、両方行くしかないだろ」

「でも、ヴィータちゃん一人では無理だよ」



突入する前までに、かなりの勢いで戦闘していた。つまり、相当消耗している。

フロントアタッカーは、後衛を温存させるのも仕事だから。



「バカ。アタシが誰か、忘れたのか?」



ヴィータちゃんは、グラーフアイゼンを私にかかげるようにして見せる。見せながら、笑う。

不敵に、自信満々に。私に、大丈夫だと言い聞かせるように。



「アタシの二つ名は、鉄槌の騎士だ。そして、バカ弟子の師匠だ。
破壊は、アタシ達師弟の専門分野。こころがアンロック出来なくても、負けやしねぇよ」



そのまま、ヴィータちゃんは歩いていく。止めようと思って手を伸ばすけど、途中で止まる。



「だから、お前はヴィヴィオをとっとと助け出せ」



ヴィータちゃんの言ってる事が、正しいから。だから、止まってしまった。



「アタシは余裕で動力炉叩き潰して、すぐに合流するからよ」

「・・・・・・絶対だよっ!?」



伸ばせなかった手の代わりに、私は声を届ける。

大切で、大好きな友達に、沢山想いを届ける。



「絶対、無茶とかだめだからねっ!? 約束だよっ!!」

「バカ、それをお前に言われたくねーし。んじゃ、行ってくるわ」










そして、ヴィータちゃんはそのまま左手で振り返らずに私に左手を振りながら、進んでいった。





私は、それを振り切るようにして、飛び立つ。目指すは、玉の間。





ヴィヴィオ、待ってて? 私・・・・・・絶対、助けるから。




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



・・・・・・あの人が突き抜けていくのは、ゆりかご内部の通路。

こちらへ、かなりのスピードで近づいてくる。

私の右側のモニターに映るのは、例の特務部隊の分隊長。





そして、あの小さな女の子の、お母さん。・・・・・・らしい。

少しだけ、迷った。あんな小さな子にひどいことをして、そこまでしていいのかと。

私達が目指している『すばらしい世界』に、そこまでの価値があるのかと。





だけど、私は首を横に振った。迷いを、振り切った。

考えても、仕方ない。もう、私達は戻れないんだ。私達は戦闘機人。

だから、創造主であるドクターの夢を叶えるのが、仕事であり、存在意義。





ここで何も出来なかったら、私は・・・・・・生まれた意味がない。










「・・・・・・IS」



思えば、この時に気づくべきだったのかも知れない。そのためのチャンスは、きっと有った。

でも、この時の私は引き金を引いた。自分ではなく、他人の世界に変革を求めた。



「ヘヴィ、バレット」










私が構える巨大なキャノン。それからオレンジ色の砲撃が放たれた。





そして、それは・・・・・・この通路に入り込もうとしていた一人の女性を捉えた。




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「・・・・・・なのは?」



・・・・・・・・・・・・って、駄目だ駄目。普通にこれ、死亡フラグじゃねぇかよ。

てーか、マジ気をつけねぇと。さっきからアタシ、フラグ踏みまくりだしよ。



「アイゼン、動力炉までは」

≪もう少しです≫

「そっか」



なのはと別れてから、全速力で駆け抜けた。ガジェットをちぎっては投げ、ちぎっては投げ。

・・・・・・訂正。殴ってはちぎり、殴ってはちぎり・・・・・・それで、ようやく工程の半分程。



「カートリッジも、充分ある」



歩きながら、辺りの気配に注意しながら、アタシは左手を開く。

その手の中には、赤いカートリッジ。それを、アイゼンにリロードしていく。



「でもよ、アイゼン」



1発、また1発と入れていく。なお、アイゼンの最大装弾数は4発。



≪はい≫

「マジで、ベルト作ってもらうわ」



そして、3発目を挿入。右手の平を動かして、最後の弾穴を上に向ける。



「てゆうか、アレだな。ローラーブレードとかよくね?
ほら、こういう移動の時に便利そうだしよ」

≪ナカジマ二士のような感じでしょうか≫

「そうそう」



で、歩きつつも最後の1発を挿入。そして、アイゼンのヘッド部分が収納された。



「よしっと」



ザシュッ!!



「・・・・・・え?」





襲うのは衝撃。後ろから襲ってきたそれに身体が前のめりになり、帽子が飛ぶ。

アタシは一瞬、何が起こっているのか分からなかった。

そして、分からない思考はすぐに別のもので埋め尽くされた。



それは、痛み。焼けるような熱さにも感じる痛みが、アタシの胸元から発生していた。

胸元を見る。そこは、アタシの血で濡れた刃が見えた。だけど、変だ。

刃が・・・・・・透明なんだ。血が付いてるから、視認出来るだけの話で。



だから、痛みに顔を顰めつつも、アタシはゆっくりと振り返る。そして、ソイツは姿を表した。

黄色い二つの瞳に、銀色の細長い頭と首と胴体。蜘蛛とかみたいな感じの形状で、四足。

その足の一つ一つが刃になっていて、それにアタシは貫かれていた。



そして、アタシはソイツに見覚えがあった。・・・・・・8年前。バカ弟子と会う4ヶ月とかそれくらい前。

アタシは、なのはとある管理外世界の調査に出かけた。その時に、なのはは例の重症を負った。

で、その時交戦した正体不明の機械兵器が居るんだよ。なのはは、そいつらの攻撃を受けて堕ちた。





「う」



そいつらは、コイツらと全く同じ外見だった。



「うぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」










アタシは前に踏み出す。踏み出す事で、刃を無理矢理に引き抜き、振り返る。





振り返って、ありったけの力でアイゼンを唐竹に打ち込む。そうして、コイツを潰した。




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「・・・・・・そのまま、ジッとしてなさい」



危なかった。というか、普通に反応を消してたのには、ビックリした。

やっぱり、居るね。電子戦特化の戦闘機人が。



「すぐに突入隊がやってきて、あなたを安全なところまで護送する」





私に向かって放たれた砲撃に、私は抜き撃ちのエクセリオンバスターで対抗した。

でも、拮抗して・・・・・・押し切るために、使ってしまった。ブラスターを、1までだけど。

以前、ヘリを狙って砲撃を撃った子だよね。うん、間違いない。同じような感じだったもの。



その子は、私がかけたバインドにぐるぐる巻きにされて、倒れている。虚ろな瞳で、私を見ながら。





「・・・・・・この船は、私達が停止させるから」





そのまま、私は飛び上がって、再び玉座の間を目指し始めた。

あの子は、大丈夫。武器も封印処理を行ったし、バインドもかけてるもの。

・・・・・・200メートルほど飛んで、気づく。レイジングハートを握る左手から、血が流れてる。



やっぱ、反動大きいか。うぅ、こんなところで使いたくなかったのに。





”マスター”



飛びながら、レイジングハートが声をかけてくる。・・・・・・大丈夫、大丈夫だよ。



”それよりもレイジングハート、W・A・Sはどう? さっきから、結構な数をばら蒔いてるけど”

”時間はかかりそうです。やはり、これだけの大きさですから”

”そっか。でも、出来るだけ急いで。お願い”

”了解しました”










飛びながら、私は桜色の魔力球をばら蒔いていく。ばら撒きながらも、飛ぶ。





途中で襲い来るガジェット達をケチらしながら、ただひたすらに前に進んでいく。





そして、数分後。ようやく・・・・・・本当にようやく、玉の間に到着した。




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



≪マスター!!≫



アイゼンの声・・・・・・大丈夫、しっかり聞こえる。正直、普通の人間なら致命傷だよな。

自分の身体に感謝するハメになるとは、思わなかった。今までずっと、嫌いだったのによ。



「だい・・・・・・じょうぶ、だ」



くそ、なんでだ? カートリッジ入れ替えしちゃあいたが、周辺は警戒してた。

アイゼンだって・・・・・・あぁ、そうだよな。気づかないよな。姿消してたんだしよ。



「それに」



そう、それにだ。アタシの目の前一杯に、同じ奴らが出てきた。



「休んでる暇、なさそうだ」



・・・・・・アタシは、めっためったに打ち付けてスクラップと化した蜘蛛野郎を見る。

アタシ、冷静になれ。こんな調子であの数やってたら、普通に動力炉到達前に潰れる。



「なるほど、大体分かった。・・・・・・アレは、お前らの親戚ってわけだ」



アタシの目的は、コイツら潰して過去の憂さ晴らしをする事じゃねぇ。

動力炉を潰して、ゆりかごを止める。最悪、進行速度を落とす事だ。



「で、スカリエッティがあの件に絡んでるってわけだ」





言いながら、アタシは一歩踏み出す。右手のアイゼンを、しっかりと握り締めながら。

・・・・・・動力炉を潰せば、それが実は二つあったとかじゃない限りは、進行速度は落ちるはず。

てーか、よくよく考えたらその可能性はこれで、限りなく100%に近くなった。



これを仕向けた奴は、きっと恐れてる。壊される事を、アタシ達に負ける事をだ。





「だったら、ちょうどいい。お前ら潰して、ゆりかごも止めて」



アタシは、アイゼンを振りかぶる。そしてそのまま・・・・・・前に踏み込んだ。



「お前ら作った奴らに、嫌がらせしまくってやるっ!!」




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「・・・・・・うぉりゃぁぁぁぁぁっ!!」



ハイウェイの路面の上。私に向かって飛び込んで来るのは、一人の女の子。

私やギン姉と技能や戦い方が似ている子。その子は、飛び込んで足のローラーブレードのブーストを加速させる。



「いい加減、沈めっ!!」



独楽のように回転して、私に対して左から蹴りを打ち込む。だから、私はナックルを握り締める。

マッハキャリバーで突撃しながら、カートリッジを2発ロード。そのまま、その子の突き出された足を狙う。



「悪いけど」



・・・・・・リボルバァァァァァァァァッ! キャノンッ!!



「無理だよっ!!」



拳と足がぶつかり、衝撃と火花を撒き散らす。まき散らしながら、どちらも引かない。



「うっせぇっ! ガタガタ言わずに」

「そっちこそ、ごちゃごちゃ言わずに」



ほぼ同時に、力を込める。込めて・・・・・・零距離から、撃ち抜く。



「潰れてろっ!!」

「止まってよっ!!」



接触部を視点に、衝撃が爆ぜる。爆ぜて、私は吹き飛ぶ。あの赤い髪の子も同じ。

そのまま、ハイウェイの路面を踏みしめる。いや、回転しながら後ろに下がりつつ停止。



「マッハキャリバー」

≪はい≫



だけど、また踏み込む。・・・・・・私には、恭文みたいに色々な事が出来るわけじゃない。

ティアやなのはさんみたいな射撃が出来るわけでもないし、ウィングロードがなかったら空も飛べない。



「いくよっ!!」



だから、これしか出来ない。突撃して、拳を打ち込むことしか。でも、それでいい。

狙うは、ただ一点。その一点を貫くために、ブーストをかける。



「はぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」



廃棄都市部のハイウェイの路面とマッハキャリバーのローラーの接触部から、煙が上がる。

一瞬のラグの後、私は飛び出した。それを見て、同じように着地していたその子は、左手を構える。



「バカの一つ覚えがっ!!」



私は、それをジグザグに走行しつつ避ける。距離は・・・・・・200メートル程度。

左の道路際に走って、そのままウィングロードを生成。



≪Wing Road≫



乗り上げるようにして、私は空の道を走る。走って、あの子にそのまま突撃。

カートリッジが、先ほどと同じ数ロードされる。そして、その子も動く。



「うぉりゃぁぁぁぁぁっ!!」






私に対して黄色いウィングロードを発生させて、突撃する。そして、また跳ぶ。

跳んで、私に飛び込んで来てまたブーストさせる。身体を先程よりも多く、独楽のように回転させながら。

構わずに、拳を叩きつけた。あの子は、その私の拳に対して蹴り。もう、何度目かの衝突。



でも、一歩も引かない。引く理由もないし、止まる理由もないから。だけど・・・・・・今回は違った。



その子はブーストの出力をさらに上げる。だから、私は吹き飛ばされた。

その子が追撃をかけてくる。空の道を走りながら、全速力で。

私も、ウィングロードを生成して、踏みしめて止まる。その子の足が、僅かに動いた。



私は左手を上げて、魔力の盾を生成。





≪Protection≫





次に来る衝撃に備えた。でも、来なかった。その子は、上に跳んだから。

私を飛び越すくらいの勢いで跳んで、身を捻って頭を下に向ける。

それで、ローラーブレードのブースターに火が灯った。私は、目の前のプロテクションを解除。



でも、あの子の方が少し速い。ブースターに加速された足が、あの子の身体が、反時計回りに回転する。

狙って来るのは、私の後頭部。そう、バリアの展開領域の外。・・・・・・私より速く、マッハキャリバーが反応した。

青いオートバリアを張って、その子の蹴撃を一瞬だけ止める。でも、本当に一瞬。バリアは、すぐに砕ける。



砕けたバリアの破片を吹き飛ばすように、その子の蹴りは私を襲う。

でも、マッハキャリバーが稼いでくれた一瞬で充分だった。

私は、両手を盾にして、局所的にプロテクションを発生。あの子の蹴りを受け止めた。



襲うのは、腕が折れちゃうんじゃないかって言うほどの衝撃。それに耐えるように、私は足を踏みしめる。

踏みしめて・・・・・・ブーストが途切れたその一瞬を狙って、その子の足を掴む。

掴んで、やることは一つ。ただひたすらに・・・・・・ぶん投げる。





「いっけぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!」




身体を勢い任せに回転させて、地面に叩きつけるように投げ飛ばす。

あの子は、受身も取れずに廃棄都市部の一角に身体を突っ込ませた。

投げてからすぐに、私も動く。ウィングロードを下に発生させながら、全速力で。



その間に、すぐにカートリッジをリロード。それから、また3発ロード。





「マッハキャリバーッ! ギアセカンドッ!!」



マッハキャリバーのマフラーから出る排気が、より激しくなる。そして、私の速度も上がる。

突撃しながら、起き上がろうとしていたあの子に突撃。私は拳を打ち付ける。



「沈めぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!」



その子は、私を見て目を見開く。見開いて、咄嗟に動いた。



「く・・・・・・!!」



バク転するように身体を動かし、両足を開きながら蹴りを見舞う。

ブースターを点火させ、右足で私の突き出された拳を狙う。

拳に蹴りが入り、私の軌道は逸らされた。でも、それだけじゃない。



左足も、同じように動く。それが、私の横腹に入った。痛みが一瞬で身体中に駆け巡る。

私の身体が、蹴りの衝撃で一瞬だけ浮いた。・・・・・・その子は、自分の手の前に黄色いウィングロードを発生。

それに手を当てて、腕の力だけで私に飛んだ。飛んで、引いていた両足で思いっ切り蹴る。





「はぁっ!!」





私の身体は吹き飛び、都市部の地面を転がる。転がって・・・・・・10数メートルの距離が出来た。

すぐに起き上がるけど、蹴られた脇腹が痛い。・・・・・・大丈夫、まだやれる。

その子は、荒い息を突きながらこちらを見る。それで、左腕を構える。腕の周囲に、6発の弾丸。



それが一斉に放たれた。私は、それを左に跳んで回避。そこで、その子とにらみ合う。





「お前・・・・・・しぶてぇんだよ。普通に倒れてろ」

「嫌だよ。というか、あなたこそしつこいよ。しつこい女の子は、男の子に嫌われちゃうよ?」

「いきなりなんの話してんだ、テメェはっ!!」




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



≪Short Buster≫





閉ざされた入り口を狙い、私は砲撃を放つ。

放たれるのは、桜色の魔力の奔流。それが、入り口を破壊する。

その爆煙の中を突っ切り、私は床を滑るように着地。



部屋の中は、大きめの長方形で今までの内装と、全く違っていた。

正面には、赤い玉座。それに座るのは、気を失っている様子のヴィヴィオ。

そして、その左隣に居るのは・・・・・・あぁ、やっぱりなんだ。



この子が、ゆりかごをコントロールしてる。もう、間違いない。










「あらぁ、意外と早い到着ですねぇ」

「・・・・・・大規模騒乱罪の現行犯で、あなたを逮捕します」

「あら、お仕事熱心ですねぇ。でも、これを見てもそう言えるかしらぁ?」



その子の周りに、沢山のモニターが展開される。展開されるモニターの中には、みんなの姿があった。

ティアに、スバルに、エリオとキャロ、それに恭文君とフェイトちゃん。みんな、苦戦してる。



「あなたのお仲間は、神に反逆しているわぁ。全く、ムダとも知らずに」

『・・・・・・さぁ』



それは、彼女が気にもかけていなかった、一つのモニターから聞こえた声。

その言葉が飛び出た次の瞬間、放たれるのはオレンジ色の力強い斬撃。



『お前の罪を数えろ』



画面の中の青い女性は、その斬撃をまともに受け、もう一つの力に吹き飛ばされながら、爆煙に包まれた。

それを見て、ナンバーズの子が固まる。驚愕の表情を浮かべているようにも見えた。



「・・・・・・・・・・・・ふん」

「何が、おかしいのかしら」



鼻で笑ってしまった。だって、おかしいもの。動揺を隠そうとしてるみたいだけど、無駄。

そんなのじゃ、隠せないよ? あなたは恭文君があの人に勝ったのを、驚いてるんだから。



「さっき言ってたよね。これを見ても、そう言えるのかって。
その言葉・・・・・・そっくりそのまま、返してあげるよっ!!」

≪Short Buster≫



放たれた砲撃は、あの子を貫き、進行方向の壁を吹き飛ばす。

だけど・・・・・・あの子は消えた。まるで、ティアの幻影を貫いた時みたいに。



『・・・・・・全く、知能指数の低い下等生物の相手は疲れるわぁ』

「知ってる? 下等生物は同じ下等生物のことを、そうやって見下すんだって。つまり、あなたも下等生物なんだね」





なお、本当にそうかは知らない。というか、絶対に違う。普通に『ごめんなさい』だよ。

前に恭文君が同じような挑発返しをしてたので、真似てみた。

・・・・・・でも、これで確定だ。ヴィヴィオが発見された時に出てきた、あの大量の幻影ガジェット。



全部、あの子の仕業なんだ。そうすると・・・・・・この近辺には居ないね。多分、相当深くて簡単には来れない所だ。





『まぁ、いいわ』



どこからともなく、あの子の声が響く。どこか苛立ちを感じさせるトゲトゲしい声に聞こえた。



『せっかくだし、いいものを見せてあげる』



どこからともなく、あの子の声がまた響く。そして次の瞬間、ヴィヴィオが叫び声を上げる。

それだけじゃない。ヴィヴィオを包み込み、吹き上げるように凄い量の虹色の魔力が生まれた。



「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」

「ヴィヴィオっ!!」



虹色の魔力が、衝撃波を巻き起こす。それにより、私は・・・・・・近づけない。



『・・・・・・その子はもう、あなたの知っている存在ではないわ。
ゆりかごとリンクし、無限の魔力を手に入れた究極のレリックウェポンよ』



すぐ側に居るのに。こんな距離、普通なら縮められるのに。



『陛下、聞こえますかぁ? 目の前に、女が居ますよねぇ?
そいつは、陛下のママをさらった、とても悪い女なんですよぉ』





ヴィヴィオの身体が変化を始めた。身を包むのは、黒色のタイツ。

その上から、紫色のジャンパーを羽織る。腰には簡素なベルトと装甲。

だけど、おかしい。ヴィヴィオの身体が、どんどん大きくなっていく。



急速的に成長していく。そういうのが素人の私から見ても、異常なほどに。





「マ・・・・・・マ・・・・・・!!」

『そうです。だからぁ、サクっとこの女をぶち殺しちゃってくださいねぇ?
そうすればぁ、すぐにママに会えますからぁ』





体格や胸は、私やフェイトちゃん以上に大きくなり、髪が私と同じサイドポニーになる。

紫色の、小さめの爪の装飾が付いたガントレットを装備した両拳を、しっかりと握り締める。

そして、目を見開いた。少し釣り上がった、凛とした瞳で、私を見る。



その瞳には、敵意が込められていた。私に対して、強い怒りを向けている。





「・・・・・・ママを、返して」



いつものヴィヴィオの声じゃない。大人になった体格に見合った、成長した声。

だけど、それでも分かる。この子は、ヴィヴィオだ。



「ヴィヴィオ・・・・・・違うよっ! 私だよっ!! なのはママだよっ!?」

「あなたなんて・・・・・・ママじゃないっ!!」



・・・・・・うん、そうだね。だって私は自分に嘘をついてたから。そして、あなたを傷つけた。

私の『なりたい自分』は、あなたのママになれる自分。それが出来る自分に、生まれ変わりたかった。



『さぁ、偽物の親子同士で仲良く・・・・・・殺し合いなさい?』





そうだね、知ってるよ。今の私は、ママじゃない。



そんな自分の気持ちを、ずっと誤魔化してたんだから。



だから・・・・・・!!





「レイジングハート、ブラスター2・・・・・・リミットリリースッ!!」

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」










桜色の私の魔力と、ヴィヴィオの虹色の魔力が、玉座の間の中で吹き上げる。





そのまま私は、レイジングハートを構えて・・・・・・戦いを、始めた。





















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



・・・・・・マズい。普通に私、ピンチだ。まず初っ端から分断されちゃうし、ティアは結界の中に閉じ込められちゃうし。

その上向こうの方で、白と黒の巨大生物が殴り合いとか始めちゃうし。というか、あれはなんの映画?

念話が傍受されちゃってるから、みんなの状態を知ることも出来ない。真面目に、目の前の事だけで精一杯。





それでこの子・・・・・・すごく、強い。ギン姉と私の二人がかりでもやっとだったから、もう分かってる事ではあるけど。

・・・・・・使うしか、ないのかな。でも、悔しい。結局スペック勝負に持ち込むしかないのは、なんか悔しいの。

うー、今さら言ってもどうしようもないし、仕方の無い事なんだけど、突撃一辺倒って駄目なのかなぁ。





私ももっと、色々勉強した方がいいのかも。恭文は、一人でも軽くあしらったのに。

まぁ、それはなのはさん達にこれが解決したら相談しようっと。・・・・・・大丈夫、迷わないで。

戦いは、ノリのいい方が勝つ。自分らしさを貫けた方が勝つ。なら、今の私の自分らしさはなに?





ギン姉から教えてもらって、なのはさんやヴィータ副隊長が鍛えてくれたこの拳。うん、これなんだ。










「それとさ、何度も言うけど、私はタイプゼロなんて名前じゃないよ?
・・・・・・私は、スバル・ナカジマ。それが私の名前」



気持ちを固めながら、私は構える。その子は、また左手の周囲に弾丸を出す。



「あなたにノーヴェって名前があるのと、同じだよ」

「・・・・・・お前、なんでアタシの名前を知ってんだよっ!!」

「だって、この間あの赤い髪をアップにした子が」

「黙れっ!!」



その子が、弾丸を放つ。私は左手を前にかざした。



≪Protection≫





6つの弾丸をプロテクションは防ぎ、それを境にして爆煙が発生。

うぅ、普通に気が短過ぎない? というか、名前の事に触れただけなのに。

・・・・・・でも、こっちの話にはなんだかんだで乗ってくれてる。



よし、この間にダメージ回復。少しでも休もう。本当に、少しだけになるだろうけど。





『・・・・・・あなたは本当なら、地面に倒れた時点で舌を噛み切るべきでした』



私が思考を固めた時、その子の隣に突然に空間モニターが広がる。

そこに映っていたのは・・・・・・恭文と、肩を貫かれて満身創痍の戦闘機人。



「トーレ・・・・・・姉っ!!」



というか、待って。この声ってもしかしなくても、アルトアイゼン?



『その通りです。私は、あなたに『死ね』と言っています。
というか、あなたに生きる権利なんてありません』



それは、考えるまでもなく目の前の満身創痍の戦闘機人に対して。

私も胸が貫かれる。だって、この子達と私は同じだから。



『・・・・・・マスターやフェイトさんは、あなたとは決定的に違うことがあります。
それは・・・・・・あなたのように自分の可能性を、殺そうとしないことです』



だから、最初は何を言っているのか理解出来なかった。あの子・・・・・・ノーヴェも同じ。

呆然としながら話を聞いている。そして私は、話を聞きながら分かった。



『・・・・・・これはあなたが自分の『存在』の確立をスカリエッティに全依存した以上、絶対に払うべき対価と言ってもいいでしょう。
いいえ、それは・・・・・・あなただけじゃありませんね。あなたの姉妹も、チンクさん以外はその対価を払うべき存在と言える』



ノーヴェの目が見開いた。今、アルトアイゼンは、自分にも『負けたら死ね』と言ってるから。

だから、拳を強く握り締めて、画面の中のアルトアイゼンを、そして恭文を睨みつける。



「ふざ、けんな」



その子は、震える右手で画面を閉じた。閉じて、私を見る。



「コイツら、殺す。アタシを・・・・・・アタシ達の居場所を、徹底的に否定しやがって」

「無理だよ」



だから、私はこう言う。そうして、止める。・・・・・・うん、無理だから。絶対に無理だから。



「というか、アルトアイゼンの言ってる事・・・・・・その、少し嫌な言い方だけど、間違ってない」



ノーヴェの目が見開いて、一気に踏み込んでくる。そして、右足で回し蹴り。

私はそれを当然のように受け止める。もちろん、これを使った上で。



≪Protection≫



青い障壁で攻撃を防ぎながら、あの子に声をかける。今なら・・・・・・今なら、伝わるかも知れないから。



「前に会った時、言ってたよね? 『戦う事が仕事で、存在意義を守れないなら生きてる意味がない』って」



足を踏ん張りながら、憎しみの表情で私に蹴りを打ち込み続けるあの子の目を見る。



「ノーヴェ達が進む道は、作る世界は、みんなそうなっちゃうって事でしょ? じゃあ、それが出来ない人はどうなるのかな」




そして、忌々しげに私を睨む。



「・・・・・・生きてる意味がないなら、死ぬべきなの?
でも、そんな世界で生きるってことは、ノーヴェも同じようにしなくちゃダメなんだよ?」



ノーヴェは睨んで・・・・・・叫ぶ。



「あぁ、そうだっ! それがアタシ達だろっ!? アタシ達は、そういう生き方しか出来ねぇんだよっ!!
だからお前も、あのプロジェクトFの遺産二人も、チビも・・・・・・アタシらを認めねぇ奴は、全員死ねばいいっ!!」



その言葉に、こみ上げるものがある。・・・・・・ごめん、キレた。



「それでアタシ達は」



そして、足を振り抜く。バリアは・・・・・・砕けた。



「『すばらしい世界』で生きるんだっ!!」



砕けて、私の左側頭部に足が迫る。私はほんの少しだけ下がって、それを回避。

一歩・・・・・・本当に一歩踏み込む。踏み込んで、私は攻撃直後のその子の顔に、拳を叩きつける。



「・・・・・・・・・・・・ふざけるなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」



そのまま、拳を打ち抜いた。魔力も、カートリッジも使ってない純粋な打撃。

それでも、今までで一番のダメージ。その子の身体は数十メートル吹き飛び、地面を転がった。



「そうやって、自分達と違うもの全部否定して、どうなるの?」



思い出すのは、この2ヶ月とかちょっとで仲良くなった男の子。私と同じ身長で、体格も同じくらいで、可愛い感じ。

でも、私よりずっと強い子。ちょっと意地悪でひねくれてる所はあるけど、それでも・・・・・・大好きな友達。



「自分達だけが認められる世界なんて作って、どうなるの?」



私とぜんぜん違うけど、それでも友達。誰でもない、私がそうしたいって決めたから。

私は、足を踏み出す。ゆっくりと、鼻を押さえながらも立ち上がるあの子を見る。



「確かに、私達は」



違うからいらないなんて、そんなの嘘だ。違うから怖いなんて、間違ってる。

だって、自分と人が違うのは当たり前の事だもの。私も、この子も、ただそれが普通より多いだけ。



「戦闘機人は、兵器なのかも知れない」



・・・・・・うん、私も同じなんだ。私とギン姉は、戦闘機人なの。この子達とはまた違う所で生まれた。

研究材料にされて、だけど母さんと父さんに助けてもらって、子どもにしてもらって・・・・・・ここに居る。



「創造主の望みを叶えるために、生み出されたのかも知れない」



数歩踏み出して、私は足を止める。足を止めて、リボルバーナックルのカートリッジを入れ替える。

それから右拳を引き、腰を落として・・・・・・見据える。



「でも、本当はそんなのどうだっていいんだよっ!!」



そうだ、私が怒ってるのはそんな理由じゃない。生まれの事とか、そういうのはどうでもいいの。



「私はただ、『自分と違う』からって、他人に『死ね』なんて言葉が・・・・・・許せないっ!!」





誰かと違う事が絶対的で超えられない壁だったら、ティアやみんなと友達になんてなれなかった。

私は、自分の力が怖いだけのままだった。どうして母さんが助けてくれたのかも、分からなくなってたと思う。

でも、それは『違う』。人とは違う身体を、力を持つから分かる。だから、言い切れる。



自分達と違うから、自分達を認めないから死ねばいい? 絶対違うよ。

他人どうこうの前に・・・・・・あなたは、他人と違う自分を認めてない。

だから他人を認めようともせず、頭ごなしに否定した。・・・・・・許せない。絶対、許せない。



あなたどうこうじゃなくて、そんな考え、私は絶対に許せない。





「そんな理屈、絶対許せないっ!!」



足元に、ベルカ式魔法陣が広がる。広がって、ゆっくりと回転する。だけどその速度は、すぐに速くなる。



「・・・・・・綺麗事」



その子も立ち上がる。立ち上がって、足元にテンプレートを展開。色は、黄色。



「抜かしてんじゃねぇっ!!」



あの子は叫ぶ。怒りと、苛立ちと・・・・・・私や、恭文にみんなへの殺意を滾らせた視線を、私にぶつける。



「アタシやお前みたいなのが生きるためには、これしかないだろうがっ!!」

「違うっ!!」



決めた。強くなるって。あの時逃げた自分を、覆すって。



「絶対に、綺麗事なんかじゃないっ!!」



ただ言うだけじゃなくて、敵も味方も納得させられるくらい、強くてハッキリとした形にするんだって。



「ううん、私が綺麗事にしないっ!!」



あの子から預かったものがある。想いがある。だから、ここは絶対。

私がありったけで通さなきゃいけない意地が、ここにある。



「もう・・・・・・絶対にしないっ!!」



だからこれだって同じ。こんな勘違いは壊す。壊して・・・・・・道を示す。



「・・・・・・マッハキャリバー、いくよっ! フルドライブッ!!」



戦う事はやっぱり怖い。傷つける事も怖い。出来る事なら戦いたくなんてない。

だけど、それでも決めた事がある。この手の魔法は、打ち抜いて守る力。悲しみも涙も、打ち抜く力。



≪Ignition≫



だから打ち抜くよ。こんな時間も、悲しい事しか呼び込まない世界も、自分を蔑ろにする選択も。

そんなの見てられないの。自分達が絶対的に正しいなんて言うつもりないけど、それでも・・・・・・嫌。



「ギア・・・・・・!!」



リボルバーナックルのカートリッジの最大装弾数は、6発。それが一気にロードされる。

そして、マッハキャリバーに翼が生まれた。翼は羽ばたき、青い羽根を舞い散らせる。



「エクセリオンッ!!」

≪A.C.S. Standby≫





足首の内側に左右合わせて2枚。外側に、大小合わせて4枚。

計6枚の青い魔力の翼が、生まれた。・・・・・・これが、切り札。

フルドライブ、ギア・エクセリオン。最終リミッターの解除と同時に追加されたモード。



なのはさんのエクシードと同じ、フルドライブ用のモード。・・・・・・結局スペック勝負とか、言わないでね?





「いくよ、マッハキャリバー」

≪はい、相棒≫



・・・・・・・・・・・・へ?



≪前にアルトアイゼンから、メンテ中に言われた事があります。
こういう時はこうやって返すのが礼儀だと≫

「あはは、そっか。なら・・・・・・行くよ」





私は少しかがむ。そして、一気に加速した。地面を削り、細かい石とか破片を弾き飛ばしながら、ひたすら前に。

ノーヴェも同じように突撃する。そして、跳んだ。跳んで、蹴りを叩き込む。私は当然拳。

一瞬・・・・・・本当に一瞬だけ、互いに交差した。接触点から火花が散って、衝撃も爆ぜる。



拳はあの子のローラーの先を砕いた。交差した瞬間に破片が舞い散り、あの子は顔をしかめる。

そして、私を憎らしげに見る。続けて黄色いウィングロードを発生。そのまま空に上がった。

私はそれを追いかける。向こうも最高速なのか、中々追いつかない。



先程戦っていたハイウェイを、近くの20階以上ある廃ビルを追い越して、私達はまだ上に上がる。

風を、空気を切り裂きながら・・・・・・そうして進んでいると、あの子が方向転換。

急降下して、私に向かって走りながら飛び込んできた。・・・・・・下降の勢いを活かして攻撃っ!?



ブーツのローラーののブースターが、火柱を上げるかのように激しく点火する。点火して、あの子は飛び込んでくる。





「つぶ」





何度も、何度も回転して、戦闘機人の身体でも持たないんじゃないかって言うくらいに回転して・・・・・・勢いを増して行く。

そして、その襲撃は私へと直撃した。私はそれを、オートバリアで防ぐ。



「れろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!」





その攻撃を受けながら、私は手を伸ばす。その手は、右手。

それに反応して、あの子のバリアも発生。バリアは、私の指の行く手を塞ぐ。

・・・・・・器用なバリアブレイクなんて、私には出来ない。だから、力ずくで壊す。


ノーヴェのブースターが、火柱を更に大きくする。あの子のブーツ、火花を散らして煙をあげてる。

それでも、ノーヴェはやめない。私を本気で殺そうとしてる。こんなの頭や身体に食らったら・・・・・・終わる。

そして、バリアが砕けた。砕けて、青いシールドの破片が舞い散る。そんな中、ノーヴェの右足が振り切られた。



ソニックブームって言うのかな。衝撃が吹き抜けて、身体が吹き飛ばされそうになる。

でも、それに耐えて・・・・・・私はしゃがんだ。しゃがんで、その蹴りを避けた。

・・・・・・機動が単調だよ。どんなに速くても、来るタイミングと方向が丸分かりなら、避けられる。



そのタイミングは、バリアが壊れる時。だから見計らって、こっちからバリアを解除した。

そうすれば、少なくとも私のタイミングで攻撃を『受けられる』から。こういうのも、手の一つなんだよ?

まぁ、なのはさんが教えてんだけどね。・・・・・・そして、同タイミングで私はこの子のバリアを破壊。



引き剥がすようにすると、あの子のオートバリアが破片となって空に落ちる。そして、左手を動かす。

足を振り切って、体勢を崩しつつもそのまま第二撃を打ち込もうとするあの子の前に、左手である物を添える。

それは青い魔力スフィア。その周囲には環状魔法陣。右拳を、引きながら握り締める。



・・・・・・A.C.S.ってね、つまるところ瞬間的な突撃マニューバの事なんだ。





「一撃・・・・・・必倒っ!!」





突撃して、相手を叩き潰すためのムチャクチャなマニューバ。なのはさんの十八番の一つなんだ。

だから、それをちょっと応用した。相手に突撃し、衝突するでしょ? それで、相手の足を止められる。今みたいに。

そんな時に、左手で魔力スフィアを最大出力で生成。多少時間がかかるけど、私と相手は完全に足が止まっている。



だから、当てられる。例えそれが出来るチャンスがなくても、A.C.S.の突撃と威力はハンパじゃないもの。





「ディバイン・・・・・・!!」



目の前の子は、驚いたように目を見開く。それに構わずに私は、右拳をスフィアに向かって叩きつけた。



「バスタァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!」










生まれたのは、青い魔力の奔流。私が出来る最大出力での、零距離砲撃。

スフィアから生まれた奔流は、あの子が第二撃を加える前に目の前の子を飲み込む。

飲み込んで、吹き飛ばす。だけど、あの子の足がちょっとだけ私に届いた。



だから、私のはちまき・・・・・・違う、これはリボンだもん。誰がなんと言おうと、リボン。

リボンに少しだけ届いた。白いリボンは切れて、宙に舞う。私の額も、少しだけ切れて血が流れる。

吹き飛ばされたあの子は・・・・・・ハイウェイの上に落ちて、数メートル転がって止まった。



そして、そのまま動かない。魔力ダメージでのノックアウト、ちゃんと出来たみたい。





≪・・・・・・相棒、大丈夫ですか?≫

「うん、大丈夫。でも、最後の最後で、ちょっと失敗しちゃったなぁ」



傷、残るかなぁ。うぅ、それは困るよ。私だって女の子なんだから。



≪大丈夫でしょう。彼ならその程度の傷は気にしないかと≫

「・・・・・・マッハキャリバー? なんか勘違いしてるみたいだけど、私と恭文はそういうのないから」

≪冗談です≫










・・・・・・ならいいけど。というか、フェイトさん居るんだし無理だって。

まぁ、居なかったら・・・・・・そうなってたかも知れないけど。だって、私達年頃なんだし。

とにかく、仕事・・・・・・通せたね。まずほんの一つだけだし、何も終わってないけどそれでも。





さ、次はあの子の介抱だよ。ちゃんと拘束しないと、危ないもの。




















(第35話へ続く)




















あとがき:劇場公開記念CM あむ&ダイヤ・なのは&なぎひこパート2




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



ダイヤ「ついに公開されたわ。レイハ教布教のための劇場版が」

あむ「アンタ、いきなりそういう怒られるような事言わないでくれるっ!?」





(テロップ:そんな『自主規制』のような映画ではありません)





ダイヤ「あむちゃん、何を言っているの? レイハ教はこうやって、砲撃こそが至高だと訴えかけているじゃない」

あむ「訴えかけてないからっ! もっと他に見るべき所があるよねっ!!」

ダイヤ「砲撃こそが全て。砲撃こそが究極のコミュニケーション。砲撃こそが勝利の鍵。
感じる、感じるわ。この映画には、レイハ教・教祖の陰謀の影が」

あむ「あのさ、マジやめてよっ! マジであたし達怒られるからー!!」





(テロップ;この映画を見る際には、砲撃は万能ではないという事を踏まえた上で、ご覧下さい)





あむ・ダイヤ「「劇場版 魔法少女リリカルなのは The MOVIE 1st』、全国の劇場で絶賛公開中っ!!」」





(テロップ:『劇場版 魔法少女リリカルなのは The MOVIE 1st』)





ダイヤ「あむちゃん、私達も負けていられないわ。ダイヤ教を、更に布教していかないと。
こうなったら劇場版よ。セーラームーンやカードキャプターさくらのように」

あむ「だから落ち着けー! てゆうか、なんでダイヤ教のためにそこまでしなくちゃいけないわけっ!? マジワケ分かんないしっ!!」




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



なぎひこ「というわけで、公開された劇場版。みなさんはもうご覧になったでしょうか」

なのは「当然、私となぎひこ君はもう見たよ。・・・・・・さて、それで私とフェイトちゃんはどっちが良かったかな?」

なぎひこ「まだその話題続いてたんですかっ!?」





(テロップ:今回の劇場版、ヒロインは二人です)





なのは「だって、なぎひこ君全然答えてくれなかったんだもん。やっぱり気になるよ」

なぎひこ「いえ、ですから二人とも素敵で」

なのは「またそれ? もう、ちゃーんとハッキリしなきゃいけない時はしなかったら、女の子に嫌われちゃうよ?」

なぎひこ「そこは分かるんですけど、さすがに本人目の前にして言うのは辛いんですってっ!!」





(テロップ:二人の少女の活躍、是非劇場版でご覧下さい)






なのは・なぎひこ「「劇場版 魔法少女リリカルなのは The MOVIE 1st』、全国の劇場で絶賛公開中っ!!」」





(テロップ:『劇場版 魔法少女リリカルなのは The MOVIE 1st』)





なのは「あ、大丈夫だよ? あむさんには黙ってておくから」

なぎひこ「どうしてそこであむちゃんの名前が出るんですかっ! あの、絶対何か勘違いしてますよねっ!!」




















(本当に続く)




















あとがき



恭文「さて、スバルが頑張ってノーヴェがガシガシ動いたお話ですよ。
そして、師匠が戦い傷つき、ヴァイスさんが立ち上がり・・・・・・また時間が巻き戻るわけです」

りま「恭文、誰か忘れてない?」

恭文「え、忘れてないと思うけど。なんか有ったかな。うーん、思い出せないなぁ」





(外から『またそうやっていじめるー! 私の事を、ちゃんと女の子として優しくしてよっ!!』と叫ぶ声が聞こえる。でも、当然二人は無視)





恭文「さて、舞台は変わって廃棄都市部。そしてゆりかごでの激闘を描いた34話。
みなさんどうでしたでしょうか。本日のあとがきのお相手は蒼凪恭文と」

りま「真城りまです。なお、この時はこう・・・・・・色々有ったわ」

恭文「あぁ、りまはちょうどそれくらいだよね。で、そんな時にスバルは廃棄都市部で殴り合いですよ」

りま「というか、あのノーヴェって人・・・・・・何様? ただの子どものワガママと同じじゃないのよ」





(新Q、自分が子どもという事を忘れて言っているとしか思えない。青い古き鉄、それを見て苦笑い)





りま「自分の思い通りにならないで、考え方が違うから死ねなんて、おかしいわよ」

恭文「まぁ、僕達も言ってるから何も言えないけどね」

りま「恭文は違うでしょ? その道を選んだらどうなるか、どんな風にしなきゃいけないかを言っただけ。
これはあれかしら。『すばらしい世界』ってやつの盲信? そうよね、間違いなくそうよね」

恭文「うん、ぶっちゃけるとそうなるね。あれですよ、ノーヴェはトーレと同レベルだから。
あー、でもこれは頑張ったの。スバル対ノーヴェは、作者のやりたかったRemixの一つだから」





(だって、あのOPを見たら絶対こうなるって思うのが普通だと思うし)





りま「確かにそうよね。あのOPだと、絶対こう来るって思うわよね。現に、シグナムさんとゼスト・グランガイツはそうだもの」

恭文「あと、エリオとガリューにキャロとルーテシアだね。・・・・・・ということで、次もそんな詐欺をひっくり返すお話ですよ」

りま「ティアナさんよね。あれよ、作者がスバルさんより書きやすいってよく言ってる」

恭文「スバル、基本突撃して殴るだけだしね。それでは、本日はここまで。
次回のティアナの大活躍に、是非ご期待ください。お相手は蒼凪恭文と」

りま「真城りまでした。・・・・・・あ、そう言えばドキたまで出したクライマックスフォーム、そうとう気色悪いとか色合いがキツイとか言われまくってるらしいわよ?」

恭文「あぁ、拍手で届いてたね。でも、なんでだろ。かっこいいのに」

りま「・・・・・・そう思うのは、恭文だけよ。あれはひどいしダサいわよ。
二次創作界において、人外とかじゃないパワーアップ形態であそこまでひどいのはないわよ」

恭文「そこまで言うのっ!?」










(新Q、そこまでらしい。もうすごい勢いで首をぶんぶん振っている。
本日のED:結木やや(CV:中村知子)『大きくなぁれ』)




















恭文「・・・・・・なのは、なぎひこ困ってるからあんま言わないの。
てゆうか、なぎひこは基本的に良識派だしさ。本人前では言えないって」

なのは「えー、だって私は大丈夫だよって言ってるのに。
別にフェイトちゃんだって言っても、私は気にしないよ? だって、今の私達じゃないんだし」

恭文「バカ、分かってないなぁ。これで自分だって言われたらどうするの?
てゆうか、なぎひこが言うの躊躇ってるのは、なのはに迷惑かけたくないからだよ」

なのは「え?」

恭文「さっきも言ったけど、なぎひこは良識派よ? それで、人の機微とかもよく分かる」

なのは「うん、それは分かる。でも、どうしてこうなるの?」

恭文「つい先日、恭也さんが相当だったりしたじゃない。ここでなのはだって言ったら、また何か起こってなのはやヴィヴィオが大変になる。
フェイトだって言っても、今度はなぜなのはじゃないのかって言われてなのはが大変になる。だから」

なのは「言うのを躊躇ってるんだね。うぅ、それなら悪いことしちゃったかな。
私、特に気にしないで聞いてたんだけど・・・・・・謝った方がいいかな」

恭文「そこまではしなくていいよ。逆になぎひこが気を使うもの。まぁ、アレだよ。
とりあえず恭也さんとか周りが心配しないような恋愛、しようか」

なのは「・・・・・・そうだね。そうするよ」

なぎひこ「・・・・・・恭文君、助けてくれたのは嬉しいけど、いいのかな。これはこれで、何かが間違ってるような」

あむ「まぁいいじゃん。・・・・・・ね、それでなぎひこは一体どっちが好きなの?」

なぎひこ「あむちゃんまで聞くのっ!? あぁもう、お願いだからみんな二人とも素敵で納得してー!!」










(おしまい)





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