小説
サンデーな日々1
※ 現代パラレルでバサラキャラがオタクです。



驚いた。
身体の動きが止まるって本当なんだなと変なところで感心しながら目の前の人物を見る。
本気で驚いたよ、俺は。
でもそれ以上に相手のほうが驚いている。いや、驚いてるなんて可愛いもんじゃない。あまりの驚愕に顔が青褪めている。
いわゆるオタクの祭典、イベント会場にて俺とコスプレをした女性は視線を合わせたまま固まっていた。



「ちょう、そ、かべ…?」
まともに発音できてませんよ、お嬢さん。
「毛利さん、か」
目の前にいるのは同じ大学の毛利元就。
成績優秀、眉目秀麗、性格はお堅くてどこか尊大な感じのする取っ付きにくい女王様。けれどそこが良いと崇める信徒は数知れず…といった結構な有名人。
その、お人がだ。
こんなところ縁がないどころか蔑んで見てそうなお人がだ。
某マンガのキャラクターのコスプレをして佇んでいるなんて。


毛利さんはとにかく青褪めててなんか泣きそうになってて何かフォローしたほうが良いだろうか、でもなんて言ってやったら良いのか、悩んだ挙句に口をでたのは驚きとは別次元で思い浮かんだ素直な気持ちだった。
「似合ってるな、真紅」
さすがローゼ○メイ○ン、ゴージャス。
「いやあぁぁぁっ!」


悲鳴を上げて(悲鳴上げたとこなんて初めて見た)逃げ去ろうとした毛利さんを引き止めるべきか見なかったことにするべきか悩んで動けなかった俺だが、なにぶんゴージャスで動きにくい服装の毛利さんだ、少し走ったところでずべしゃっと転んでしまった。
すてん、とかこけっ、とか可愛らしいものじゃない。ずべしゃっだ。
しかも衣装が衣装なだけに結構悲惨な状態というか…。
放っておくこともできず慌てて駆け寄って抱き起こした。
「だ、大丈夫か?」
「う、ううぅ…」
多分すごく居た堪れないんだろう、毛利さんぼろぼろ泣き出してしまった。
どうしたら良いかとおろおろして周囲を見ていると、派手に転んだこともあって注目を集めてしまっていた。とりあえず人気のないところへ行こうとしたが動揺しきっている毛利さんは動かない。
仕方ないので横抱きに抱え上げて歩き出した。


会場の隅の方へ連れて行きゆっくりとおろす。
担がれたことも驚きだったらしく手を離したとたんぺたりと座り込んでしまった。
「大丈夫か?」
「う…うむ」
ハンカチを差し出してやると素直に受け取り、涙を拭い始めた。
なんて言って良いのかわからず黙っている。それは毛利さんも同じらしく視線を地面へ向けて身じろぎしている。
「そ…その…」
「うん」
「長曾我部、も、こういう、ところへ、来るのだな」
「あー、ガンダムオタクでメカフェチなんで」
「そ、そうか…」
「毛利さんは…」
「うっ……」
「コスプレイヤー?」
沈黙している。かなり沈黙している。目線も逸らしたままだ。けどじっと待ってると観念したようにうなずいた。



To Be Continued...



特殊設定すみません。サンデーはコスネームです。


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あきゅろす。
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