小説
薄暗い教室で♪
馬鹿、馬鹿!と心の中で唱え続ける。
崩れ落ちそうになる身体を支えるため両腕を窓について揺さぶりに耐える。
本当に馬鹿、どうしてこんなところで。
「元就…」
僅かに息の乱れた擦れ声に呼ばれぞわっと産毛が立った気がした。
「元就、気持ち良いか?」
「や、ぁ…ばかっ…!」
「馬鹿はねぇだろ」
ひでえ、と笑っているがこんなところで事を起こすのだから馬鹿以外の何者でもないと思う。
だいたい家へ帰ればずっと一緒にいられるのに。それこそ人目なんて気にせずいくらでも出来るのに。
どうしてよりによって学校の教室で人気を気にしながらしなければいけないのだ。
「あ、ああ…っ、ん、く」
強い刺激に悲鳴を上げそうになり、慌てて声を抑える。放課後とはいえ誰が残っているかわからない。
なのに、こいつときたら。
「今すげえぎゅっとなった。気持ち良い…」
更に深く己の凶器を埋めてきた。おまけに胸をぐにゃぐにゃと揉んでくるし。そんなことされたら…!
「ひっあ、ああっ!」
高みへと上り詰める感触、次に襲ってくる強烈な脱力感。
「イっちまったのか。そんなに胸が良かったか」
ちゅうっと首筋を吸われ更に胸を揉んでくる。
「ちか、もう…ああっ!」
これ以上はと言うより先に元親が動き出して悲鳴を上げてしまった。
余韻の残る身体にこの刺激は辛い。本当に辛い。
「おねが…もう、ちかぁ…」
おかしくなってしまう。熱が再び身体を支配する。元親が動くたびに脳に甘い刺激が走る気がする。
このまま本当にどうかなってしまうのではないか。
「いや、助け、ちか…ちか…」
「ん、もうちょっと。元就、可愛いな」
可愛いと繰り返し元親が自分のすべてを支配する。身体も心も何もかも元親に手の中で翻弄される。
「イくぞ、元就」
「あ、あああっ!」
胎内に収められたものがいっそう大きく膨れ上がり脈打つのを感じた。


「元就、大丈夫か?」
心配そうに覗き込んでいる顔を引っ叩いてやりたい。
でもそんな気力はなく文句も言えずただぐすぐすと泣いていた。
「ごめんな、疲れただろ。おんぶして帰ってやるからな」
「い、いらない」
そんなの誰かに見られたら恥だ。
「良いだろ別に。それに歩けないだろ」
「……ばか」
足に力が入らないのは事実で、誰のせいだと言いたくなるが俺のせい、と軽く返されるのは目に見えている。
元親の手で乱れた制服が直される。そして背を差し出した。



おぶわれて下駄箱まで行くとひとつ下の前田慶次がいた。
「あれ、なりちゃん先輩どうしたの?」
いくら言っても止めない呼び方に反論もできず、元親が答える。
「気分悪いんだと」
「そっか。なりちゃん先輩、身体あんまし丈夫じゃないもんね」
そこで一度言葉を閉じてにやりと笑う。嫌な予感のする笑いだ。
「て、ことで伝えといたげる。あんまり無理させちゃ駄目だよ、ちかちゃん先輩」
ばれている、青褪めた我に前田は大丈夫だよと笑って恋してるね〜と楽しそうに去っていった。
「ち…ちか…」
「大丈夫だって。あいつがちゃんとフォローしてくれるからさ」
ふてぶてしいというべきか神経が図太いというべきか、何もいえなくなりせめて顔を隠そうと元親の肩に顔を埋めた。



END



学校でいたしてしまいました。
元就はきっと元親からの押しに弱い。


[*前へ][次へ#]

第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
無料HPエムペ!