小説
魅惑のサンタ
クリスマスと言ったらサンタだよな、と言ったら思うところがあったのか嫌そうな顔をされた。
用意していた衣装を差し出したらやっぱりと言いたげな目で見られた。
そして衣装の全容を見て引かれた。


「そなたやはり変態か…?」
それは酷くないか、元就。
「これくらい男なら誰でもやりたがるだろ」
「この…衣装をか?」
肩が丸見えでスカートも思い切りミニな衣装は、赤い色合いとサンタ帽子のおかげでサンタ服なのだとわかるくらい通常のサンタ衣装からはかけ離れていた。
でもこれくらいクリスマス時期に現れるサンタ衣装の店員さんと同じくらいのものだ。そうおかしなものではない。
「これを、我が着るのか」
服を握り締めてぷるぷる震えながら元就が呻く。
元就が本当に嫌がることはしたくはないが、これくらいは元就の許容範囲だと知っている。絶対超えてはいけない一線はわかっているつもりだ。
だから、どんなに嫌そうな素振りを見せても頼み込めば着てくれる。そう確信してねだり続けると、やはり了承してくれた。大きなため息付きではあったが。




ちょっと不機嫌なミニスカサンタにケーキを差し出す。
「俺の自信作」
「ケーキで釣るつもりか」
じとりと睨まれると苦笑いを浮かべるしかない。
そのつもりももちろんある。元就の機嫌を取るには甘いものを差し出すのが一番だから。でもそれだけじゃない。
「頑張ったんだぜ。食べてくれないのか」
ホールケーキを作るのは、料理が得意な俺としてもなかなか大変なのだ。せっかく元就のために作ったケーキ、食べてもらえなければ意味がない。
本気で機嫌を悪くしているわけではない元就も素直に頷いて四分の一サイズのケーキにフォークを当てて食べ始めた。八分の一ではなく四分の一。
甘いものが嫌いと言うわけではないが、得意なわけでもない俺としてはそのサイズを一気に食べれる元就が正直不思議だ。胸焼けはしないのだろうか。
自分は通常の八分の一サイズを食べ始める。


「ちか、次」
普段はゆっくり食べるくせにこういうときだけ食べるのが早い元就は空になった皿を差し出してきた。
四分の一ではまだ足りなかったらしい。
「どんくらい?」
「同じサイズで」
それって一回で半分食べるって事か…。
毎年のこととはいえ良く食べる、と思いながら切り分けたケーキを差し出す。
「美味いか?」
「ああ」
美味しそうに食べる元就を見るのは好きだ。幸せそうに顔を綻ばせる姿はいつもよりちょっと幼く見えて可愛い。



「元就、ついてる」
「ん、どこだ?」
頬にクリームつけるなんてほんとに子供みたいだ。
ごしっと手で頬を拭ったが上手くあたらずクリームは取れてない。ここはやはりあれだろう。
元就に顔を寄せ舌でクリームを舐める。
「ちかっ!」
途端に慌てだす姿も可愛い。これくらいで恥ずかしがることなんてないと思うのに。
「良いだろ、これくらい」
「こ、これくらいなど…」
口ごもる元就にもう一度顔を寄せて、今度は唇を舐めてみた。甘い。
ちゅ、ちゅっと唇を寄せて吸い付き元就が口を開いた瞬間を狙って舌を潜り込ませる。
「ん、ん…ぅ」
かちゃかちゃと元就がもつ皿が揺れる。危ないかな、と思った瞬間 元就が皿を落とした。
「ああっ!」
上に乗っていたケーキももちろん一緒に落ちて、元就の服を汚した。


白い肌や赤い服に散らばったケーキ。
甘いものは得意ではないけれど、その光景はやたらと惹かれるものがある。
誘われるまままずは胸に付いたクリームを舐めた。
「こ、こら! ちかっ!!」
じたばたと元就が暴れだしたので腕を掴んで押さえ込んだ。ソファの上なので痛くはないだろう。
お腹部分の塊を口に含んで、元就に口付ける。
「ん、ん、ちか…んっ」
徐々に上気していく肌が艶かしい。
服の襟を掴んで肩から引きずり落とすと、翠色のブラに包まれた胸が現れた。
「やめよ、ちか」
元就はまだ抵抗してたけどそんな抵抗は男を煽るだけってわかってないのかな。
ブラの上から胸を揉んで胸元に何度も口付けるとだんだん力が抜けていくのがわかる。
「元就、可愛い」
「ば、ばか…」
馬鹿は酷いな。
そう思いながら短いスカートの中に手を入れた。





END




クリスマスネタをひとつは書こうと思いまして。
学パロの元親は徐々に壊れていくような。
いや、これくらいは変態の域に入らないはず…。



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