ご指名は?1.5 44 嘘でしょ.. 菜太郎が優しい!?? 華夜さんもビックリしているようで、固まっている。くくさんは、うおんうおんとヘドバンし、菜太郎の側で膝をついていた。 「何その酷い顔。..くく、膝が汚れるよ。そんな格好しないで」 菜太郎はこっちを向いたまま、またいつもの態度に戻った。くくさんにふ...と本当の笑顔を見せて。 あ... 「オイッッ!!山田に向かって失礼過ぎると何回も言ってるだろッッ!!」 そう怒ってくれる葉太郎くんの声にもまた、心が溶かされるような気がした。 あ、ありがとう.. ごめんなさい、ありがとう.. 「鈴ちゃん?」 隼人さんの問いかけにハッとした。目の奥が辛いくらいにじんわりとしている。私は慌ててグッと堪えた。 「あっ、いや、何でもないです!」 腕をブーメランのようにブンブン振って私は誤魔化した。 「そっ、そう?」 隼人さんに見抜かれないように肩甲骨からしっかりと腕を回す。 「はハイ!」 なっなんだ今の謝罪は!?あいつに対してか!?? い、いや、 今のは、言うべきか.. と、ここで、ブーメランを巻き起こすのをやめた。菜太郎の方に僅かに近付いて、 「菜太郎」 と呼びかけてもくくさんの服の汚れ落としてて聞こえなかったみたいだ。 「うあー..」 と、私が声を発したところで、 「じゃネッそういう事でネッ!!!」 くくさんが急に立ち上がった。私は一歩後退した..。 「第38回ッッッヤラぁセお化け屋敷をカイサイいたしもすッッッ!!!」 そ、その通りなんだけど、や、やらぁせ..。 「声が大きい趣旨本当に分かってるかちなみに言えば37回もやってない」 は、隼人さっ!?ズケズケと蔑みの鋭い眼光に捉えられているであろうくくさんは若干内股っぽくなってはぁはぁはぁ...ッッッと興奮。変態ィ.. ..本当に、良いのかな。 「やだぁ楽しそう!演技力が試されていくんだ!」 と、本当に楽しみそうな華夜さんも手を叩いて立ち上がった。くくさんが華夜さんにグットの指を贈る。 華夜さんも淀みなく賛成ぃ!? どうしよう、やらせお化け屋敷なんてお化け屋敷好きな人にとっては楽しみ半減どころか全滅しそうだけど..。 「..み...んな.......が.....い...る.....................」 私はその声にすぐ反応し、振り返った。 「スウさん..!」 カーッと顔が赤くなってしまった。私の斜め後ろに、スウさんが来てくれた。 な、なんというか、お化け屋敷でこの言葉を聞けるとは思ってなかったから、心に沁みるんだけど自分の情けなさが恥ずかし恥ずかしこにゃろな気分だ。 「.....負担...の...大き...さ.....は......関係...無...い.....よ...................」 え!? まるで、心を読まれたような気がした。 「..彼..も.....きっ..と........そう...思っ...て...る...........」 スウさんは、菜太郎の方を向いた。くくさんが描いたらしいお化け屋敷の図をチェックしていた。 菜太郎も、私の苦手の事を考えてくれているなんて.. スウさんは、相変わらず無表情だけど、こんなに、こんなに優しい.. 「...ねぇ、俺も上手く言葉に出来ないんだけど、スウと全く同じだよ」 と、隼人さんも、私にとって嬉しい事を言ってくれた。 「あの、..本当に大丈夫ですか?」 こんな事、とはもう言わなかった。だけど私はおずおずとしていた。 隼人さんは、それを上回る声音で、普通の事のように言った。 「勿論だよっ!」 [*前へ][次へ#] [戻る] |