ぷれ☆★いす
其の五
口への運びもスローになる良子。大介はそんな良子の様子を見て心配そうに声を掛けた。
「母さん、具合でも悪いの」
大介にそんな声を掛けられて、良子はドキっと心臓を早ませた。
この子の前では明るくしていないと。
良子は自分にそう言い聞かせる。
「そう、ならいいんだけど、で、あの話しは?」
「まぁ、食べ終わってからでも大丈夫よ」
随分と勿体ぶる母親だなと思った大介だったが、食べられなくなるかもしれないからという意図があるとは知らなかった。
後片付けも終わり、綺麗になったテーブルへと席を戻す二人。
「じゃ、話しましょうか」
重苦しく、はぁ、と深い溜め息を突いて良子はそう言った。
「驚かないで聞いて頂戴ね。 これから話す事はすごく幼稚な事に聞こえるかもしれないけど、全て本当の事だから」
大介はゴクリと息を飲んだ。やっと、意味の分からなかった物の答えが出る。
「この世には自然現象の一つ一つを束ねる長達がいるの」
「おさ……」
大介はテーブルから身を乗り出して話しを聞いた。
でも、それが自分とどう関係が?
馬鹿にする気持ちも驚く様な気持ちも無かったが、話しがずれている様な気がしてならない。
「そう、火の長、水の長、風の長、地の長、そして、光の長、闇の長。 細かく言ったらきりが無いけど、大きく別けてこの六つ。 ゲームとかでやってるから何となく分かるでしょ」
良子はそれ以上の説明を大介の想像に任せた。何となく分かる様な気もして大介も突っ込んで聞かなかった。
「この長達は普段何をしてるかというと、自分の司る自然の管理ね。 自然達が個々に動いて全体のバランスを崩さない様に管理をしているの」
そうなんだ。
言われるまま、大介は納得していく。
「で、その中でも特殊な自然の長があるの。 それが光と闇。 二つは似ていてね。 光の長が何等かの動きで光の統一が難しくなった場合は闇がその分、光の統一のフォローをしてまた逆の時もあるわけ」
本当に長い話しだなぁ、と大介はあくびをしそうになってあくびを飲み込んだ。目には涙が溜る。
「で、ここからが本題ね」
やっと、本題かよ。
大介は眠い目を擦った。
「今、この光と闇が対立しているの」
本題と聞いて大介は再度、身を乗り出す。
「この闇の長がトキシラズの種を蒔いたの」
「トキシラズの種? 植物のトキシラズとは違うの?」
大介は思ったままを口にした。
「違うの。 トキシラズの種は強い魔力を持っている種で、それが蒔かれると、時がそこで止まってしまうのよ。 それ以上、進まなくなるの」
「そうなんだ」
うなづく事しか出来ない大介は取りあえず、うなづいた。
「何故、闇の長がこの種を蒔いたのか。 それは闇の長は元々、死にたがりな面が強くてね。 でも、怖がりで死ねない」
死にたがりと聞いて大介は自然と美耶を思い出していた。
「で、今、闇の長が実行しているのは、時間の流れを止めて、世界が気がつかない間に全てを殺す計画よ。 皆で死ねば怖くないと考えたらしいわ。 要は自分が死ぬために世界を滅亡させようとしているのよ」
それはめっちゃ迷惑だ、と大介は思った。
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