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夢幻の唄
国家権力
あたしの周りを4人の男が囲んだ。「ポリス」社会の公的秩序を守る世界の行政機関。犯罪行為及び、不審者等の取締。任されている地域の巡回等を行っている。この子のさっきの叫び声を聞いて駆け付けたんだろう。しかし、4人って多過ぎない?それだけ物騒なのか?
どの男もあたしの首一つ分以上の背で肩幅が広くがっしりとした体型をしている。

「あんた、何してんの?」

と、右から2番目のポリスがたんたんとして聞いてきた。

「別に何もしてないから。」

あたしもたんたんとしゃべった。ほんとに何もしていない。した事と言えば、レヴィン君に話しかけたくらい。後ろめたい気持ちは無い。しかし、その言葉を待っていたかの様に左から2番目のポリスが言い放った。
「何もしてないのに子供が叫ぶ訳ないだろ!」

確かに。ポリスの言ってる事は正論だ。

「確かにね。その通り。あたしもこの子におばさんって言われて、つい恐い顔しちゃったみたいなの。それで泣いちゃってさ。お騒がせ致しました」

素直に謝った。認める所はさっさと認める。ポリスとはあんまり関わり合いになりたくない。

「おばさんって言われて怒って泣かしてしまったか。…まぁ、そんな感じだな」

ポリス全員であたしを足先から頭まで何度か見て何かに納得していた。多少、そこには引っ掛かったが、信じてもらえた様で安心した。ポリスはまだ話し続ける。

「最近、物騒な事件が多くてな。特に子供にはかなりの注意を払ってるんだ。あんたには悪いが一応、名前を聞いてもいいか?書類を作らなければいけない。安心しろ。ただの日報だ。上には報告する事無いから」

「ん、いいよ。あたしはリリー・ペディグリーっていうの」

「…ペディグリー?どっかで聞いた事のある名だな」
そんなやり取りをしている内にレヴィン君の姿は消えていた。

「もういいでしょ。あたし行くから」

「ん、おばさんって言われるくらいで怒るんじゃないよ」

そう言われ、あたしはポリスを自然に睨んでいた。

日が暮れ始めていた。あれから、できる限りの場所を探したがレヴィン君を見つける事はできなかった。 自分の家に帰ったか。さすがに一件ずつ探して回る事は出来ない。そんな事したらまさに不審者だ。また、明日探すか。あたしは今日泊まる宿泊所を探した。


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あきゅろす。
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