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夢幻の唄
お互いの逆鱗−其の一

















「……………。」
 長い沈黙。その子は少しも体を動かさずあたしをジッと見つめ続けていた。無理も無い。ここ最近、子供を狙った犯罪が多過ぎる。この子の判断は正しいのだ。しかし、そんな事で諦めるあたしではない。

「僕、飴は好きかな?」

 子供の気を引くための上等手段。これでこの子は心を開くはず…。







「…………………。」

 さらに沈黙。何が駄目なのか?子供は飴が大好きでこれで気持ちが開けたはず…。と思ってた時やっとその子は口を開いた。
 やっぱりあたしの考えは間違っていなかったんだ。

「おばさん、怪しい人?」

 裏目に出た。そうだ。優しい言葉をかけて飴をあげる等、誘拐の上等手段ではないか。やってしまった。しかし、誘拐犯はなんと、子供の心理を掴んでいるんだ。ここまで分かってるんなら保育園にでも勤めればいいのに。等と犯罪者に感心していたあたしだが、どうしても聞き捨てならない単語が飛んでいた事に気付いた。

「お、ば、さ、ん゛〜!」

 表情がドンドン変わっていくのが自分でも分かった。そして、それに伴い、その子の表情もドンドン変わっていった。




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