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夢幻の唄
夢幻獣
 その子を見た時、ハッとした。この子が世界再生の鍵なんだと、そんな事を肌で感じた。
 無邪気に走り回っているその子は金色の少し癖のある髪の毛をしていて不思議な深い青い瞳をしていた。しかし、どこにでもいる子だった。ただ、我が目を疑ったのはここに存在する事を許されない夢幻の物と関わりをもっていた事だ。
 その夢幻の物とは
「夢幻獣」
魔物でもなく人でもない。夢幻獣、虚無の未来に生き、真実の過去に魂を置く。夢幻獣、生き物でもなく道具でもなく、ただ、意思だけをもつ。夢幻獣、全ての存在を否定し、全てを肯定する存在…。
 伝説の上で伝わっただけで存在すら信じられていなかった。
 それが目の前で子供と無邪気に遊んでいる。
 夢幻獣はこの世界に何体か存在し、一様に小動物の形をとっているという。
 半透明で淡い光を体から放っているという特徴だけは書物に載っていた。
 その特徴をもった動物がそこにいた。
 胸が踊った。もしかしたら夢幻の唄が発見出来る少ない手掛かりになるかもしれない。
 あたしはその子に声をかけた。

「僕、こんにちわ」

 知らない人に声をかけても無視をする。
 お父さん、お母さん、また保育園等から口を酸っぱくして毎日、子供が言われている事だ。
 あたしは怪しまれない様に努めて笑顔で声をかけた。




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