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Destiny〜if〜
見えない明日
査問はあっけなく終わった。
「フレイ・アルスターに無罪を言い渡す」
その言葉を茫然と聞き、腰を抜かしたように座り込んだ。
「なんで…?」
いつのまにか人々は散会していく。フレイだけが取り残されていた。
「間抜け面だな」
「イザーク…?」
ぼやけた視界に白い手が差し伸べられていた
「行くぞ…議長がおよびだ」
「ぇ…」
白い手に縋るようにフレイは指を伸ばした

***
「失礼します。イザーク・ジュール入室します」
「やぁ、よく来たね」
イザークの背中に隠れるように室内に入ったフレイは、窓を背にして豪華な椅子に優雅に腰掛けていた人物に目をやる。鼓膜を響かせる声も大人の柔らかなテノール。声に相応しい容姿の持ち主だ。豊かな黒髪は波打ち背中まで流れている。それが野暮ったく感じないのは理知的な顔立ちのせいだろうか?切れ長の瞳は刄のような鋭さはない。穏やかな物腰の大人の男性といったところか。
だが、優雅な笑みから醸し出される雰囲気はかつてのラウ・ル・クルーゼに酷似していた。大きなガラス越しの光にチェスの駒が光っていた。

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あきゅろす。
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