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雲珠桜は夏に彩る
ランボの心境02








後ろで叫んで近所迷惑となっている男を振り切って歩いていく私達。結構離れて角を曲がったところで、ランボは急に足を止めた。





「やれやれ………振り切れましたか。すいません。見ず知らずの方にご迷惑をお掛けして」


「あ、いえ。そんな」





他から見ればごくごく普通の会話。でも大人ランボのことを知っている私からすれば、物凄く違和感のある会話だった。



…………このランボ、私の事知らない?






「あの…………」


「ああ、こうしちゃいられない。すいませんお嬢さん。俺はこれで失礼します」





そのまま回れ右をするランボ。私は慌てて服の裾を掴んで引き留めた。





「何ですか?デートの誘いならまた今度お願いします。イーピn…………じゃなくってある人を探してるんです」


「違います。…………って、イーピン?」


「?あなたイーピンの知り合いですか?」


「ええ?…………ああ、まあ」




本当に覚えていないのだろうか?
私は不思議そうにするランボに、曖昧に返事をした。イーピンとはランボとセットでよく遊んでいたし、向こうも結構なついてくれてたと思う。
でも数えれるくらいだからな…………。
そう思い首を傾げる。




「………ねえ、ランボ。私の事知らない?」





ランボに問う。今までの会話からしても覚えていないのかも…………。
案の定ランボは頭にはてなマークをくっつけて首をかしげている。





「以前お会いしましたか?おかしいな。それなら忘れる筈がない…………」




本気で悩んでいる様子。
と言うかこの伊達男は、今まで会ったことのある女性は全て頭に入れているのだろうか。




「………すいません。名前を伺っても?」


「ユカ。笠原ユカ」


「ユカ?何処かで…………………あ」


「!!思い出した?」


「ああ、俺としたことがユカさんを忘れるなんて!!俺の幼き頃、よく遊んでいただいていたと話を聞いています」






そう言ってランボは私に笑顔を向けてくれた。










私は取り敢えずランボに今の状況を全て話して…………そして出来ればツナの元へ一緒に向かってほしいと頼んだ。確実な連絡手段がない中、ここではぐれるのは得策ではないと思った。
しかしランボは思った以上にいい返事を出さずに渋る。




「ですがユカさん。イーピンはこっちに来る前、俺達を庇って怪我を負ってたんです。早く見つけてやりたいのですが…………」


「ランボの気持ちも分かるけど…………でも今、別れるのはちょっと…………。ほら、先にツナ達に合流して色々聞いた方がいいんじゃない?ツナは誰がどこに来るか把握してたみたいだし」


「ボンゴレが?」


「うん」




その言葉を聞いて更にランボは唸った。余程早くイーピンの無事を確認したいらしい。ずっと「でも…………」と唸っているランボを私は辛抱強く待った。
…………これでも私も結構急いでんだけど。





「…………分かりました。じゃあボンゴレのところに行きましょう」


「よし、よく決断した!」





私はポン、とランボの肩に手を置いた。結構決断までに時間かかった事は多目にみてやろう!それほどイーピンのこと、大事に思ってる証拠だし。


でもそうと決まればぐずぐずしている暇はない。早く正一くんの無事を確かめなければ。








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