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雲珠桜は夏に彩る
ランボの心境








並盛商店街を抜けていく途中。




道の端に、早速何やら絡まれているランボを見つけた。






「おい、てめぇ………俺の女に手を出すたぁいい度胸じゃねーか!」


「やれやれ………違いますよ。さっきの女性はあちらから話しかけて来られたんです。俺はその相手をしていたまで」





牛柄シャツを着て、頭に手を乗せてやれやれとボーズを決めている人と言うと、もう一人しかいない。
私は一瞬どうしようか迷った。正直あの雰囲気を破っていくなんてできないけど、放っておくわけにもいかない。でも巻き込まれたくないような修羅場だ。
…………すると。






「それを手を出してるって言うんだよっ!」


「そ…そんなこと言われたって、俺はただ…………あっ!そこの…………」


「私?」





ランボが私を指差す。
突然のことだったので、思わず私も自分で自分に指を指した。

一方、ランボの方は物凄く晴れやかにこちらに近づいて来る。





「そう!えっと…………かおりさん!来てるなら言ってください!」





ランボはガシッと私の肩に腕をおいて、こっちにニコッと笑った。…………でもその目は笑っていない。そこでじろじろ見るくらいなら助けろよって感じの目。
誰だよ、かおりさんって。





「えっ…………ああ、うん?なんかお取り込み中だったみたいだし?」





私は仕方なく…………と言うか流れでその演技に乗った。





「ああ、そんなこと気にしなくていいのに。俺は貴女の為に時間を割いてここへ来てるんですから」





…………思わずその歯が浮くような甘ったるい台詞に寒イボが立った。





「って、おいてめえ!何シカトこいてんだ!まだ話は終わっちゃいねえぞ!」


「おやおや、女性の前でなんて無粋な………。さあ行きましょう、かおりさん」


「えっ…………あの人いいの?」


「はい」





そういってあの男から離れるときのランボの顔は物凄く晴れ晴れとしていた。









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