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雲珠桜は夏に彩る
気まぐれ05






家半壊事件が落ち着いた頃。私達は二人で並盛の町を歩いていた。
ツナが道路側で私が内側。守護者の皆を探しに並盛に出てきたのだが………それにしては横のツナがやけに機嫌が良さそうに見える。
ツナの周りに花が飛んでいるように見えるのは気のせい、なのだろうか?

私はうずうずして口を開いた。




「…………ねえ、ツナ。こんなにのんびり探してていいの?早くしないと正一……君が危ないんじゃ?」


「ん?大丈夫大丈夫!」


「ええ?」




いや、大丈夫じゃないだろう。けして。



この間にも正一………君の命は勘違いによって狙われているのだ。それなのにこの余裕そうな表情。




「うーん…………これって正一君を見つけるのを先に機動力のあるツナが探しにいった方がいいんじゃ……?」


「ええ〜、それじゃあつまんないだろ?」


「!つまんないって…………」


「わっ、まってまって!」





人の命が懸かっていると言うのに、なんと言う言い草。それが私の癪に触って一言言ってやろう!と口を開くと、ツナは慌てて私に両掌をこちらに向けてブンブン振ってきた。





「えっと、そういう意味じゃなくて………もういいか」


「?」


「いやー実は、さ。正確にはわかんないけど………分かってるんだ」


「………は?」





何の。



「だから…………守護者達の来る時間と場所、おおよそ把握できてる」


「マジで……?」




私ははっと自分の時計を見る。
私の時計はヴァリアーに連れ去られた時に無くしていたのだが、リボーンが拾っておいてくれていた。

その時計はまだ10時を指している。




「それって何時?」


「えっと、夕方」


「じゃあまだ来ないじゃん…………」



心配して損した…………。
はあ……と肩を落とす。
正一君が無事なのは大変いいことなのだが、早く見つけなくちゃと無駄に気を張っていたのだ。………このモヤモヤは何処へやれば。




「そう言うことだからさ、行こう?」


「えっ」




私の手に急に熱が籠る。視線をあげると、私の手をツナが持っていた。





「ツナ?」


「俺に夕方まで付き合ってくれる?」





そう言って私の手を目の高さまで持ってきて口角をあげるツナ。その手は器用に組まれていて…………所謂恋人繋ぎとなっていた。




「なっ!」


「よし、行こう!」


「ちょっと、ツナ?!」




ツナは私の返事を聞く前に歩き出す。当然手も繋がっている状態なので、私もつられて歩き出した。





「…………ツナ」


「ん、何?」


「これ、恥ずかしい…………」


「いいのいいの!」





取り敢えず手を離してもらおうと口を開くが…………ツナは笑顔で流してくれた。
私は回りからこの光景を見られているようでなんだか恥ずかしくて俯く。
いつからツナは積極的な性格になったのだろう。そう思いながら、私はとにかくつられるままに歩いていった。






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