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雲珠桜は夏に彩る
気まぐれ03






「そう言えば、昨日は試合だったっけ…………道理で筋肉痛になってると」




もうさっきから肩の筋肉と太股がギシギシといってたわ、そう言えば。




「忘れてたの?!」




ツナがキレのいい突っ込みを入れてくれる。どうやら突っ込み体質は、十年後も変わってはいないらしい。微笑ましいことだ。





「…………まだ目が覚めてないのかい?」


「失敬な、ちゃんと覚めてますよ。………昨日は、試合だったことを忘れるようなことが多かったでしょう?だから頭の片隅に置き忘れてたんです」



ちらっとツナの方を見てみる。…………見事にこっちから視線を外して、明後日の方向を向いていた。



「昨日一番印象に残った事はガラスを突き破ってた事だし」





言外に皮肉を込めて雲雀の方に視線をあげる。自分が悪いとは絶対思って無いであろうが、多少は心に留めていたのか視線だけ私から外す雲雀さん。彼にしては珍しい反応で、この空気を流すかの様に鼻を鳴らした。





「……ふん」


「…………(俺のせいじゃねーもん)」


「まあまあ………」






ガラスを突き破った当の本人達はそれぞれ何もない天井を眺め、草壁さんは苦笑を浮かべていた。
無惨な姿となった窓ガラスも今は取り替えられて綺麗なものと変わっているが…………草壁さん率いる風紀委員の皆さんと、その風紀委員に依頼(と言う名の脅し)を受けた業者の人たちがやってくれなかったら未だに窓は破れたままだったのだろう。職人さんの仕事が早くて大助かりだ。





「あれは草食動物が悪い」


「え?!責任転嫁は止めてくださいよ。俺を吹っ飛ばしたの雲雀さんじゃないですか」


「それを言うなら君、大人なんでしょ?僕に吹っ飛ばされるってどうなの」


「………リボーンに、確実に叱られますね」




ブルブルッと自分の身を抱えるようにして、ツナの体が震えた。きっと脳裏にはツナの小さな家庭教師が銃を自分に向けて構えていたりするんだろう。
家庭教師との関係は今も昔もあまり変わってはいないようだ。




「ふ…………」




その姿かあまりにも私の知っているツナと変わっていなくて…………思わず笑った。




「あっ、何ユカ笑ってるんだよ!ユカなら知ってるだろ?あの鬼家庭教師の横暴さを!」


「はは…………いや、知ってるからこそおかしいって言うか」


「なんだよそれ」


「てか大人になってもそのきょどりっぷりが直ってないことがもう可愛いし」


「それ、男にいっても嬉しくないから。俺、もういい大人だから」


「ごめんごめん…………ぷっ」


「また笑った!」





ツナと会話を進めるうちにどんどんツナの素が出ていているような気がする。私はそれが面白くて嬉しくて、とにかく笑った。
もしかしなくても、こんなに笑ったのは久しぶりかもしれない。

大笑いするのもたまには良いものだ。








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あきゅろす。
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