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雲珠桜は夏に彩る
大空の本音08







やられた…………。


顔から血の気が引くのがわかる。
ツナ達に、出来るだけ伝えてはいけない筈なのに。こんなことして未来でも変わったりしたら………。







多分、自分の顔は予想以上に青くなっていたのだろう。ツナが慌てて付け加えた。





「あ、でも何か知ってるって言うのは知ってたからさ!ただ内容を知らなかっただけで!それに何で知ってるかも聞かないし!」


「あ……」


「ごめん、もう鎌掛けたりしないからさ。そんな顔しないで?」






さっきの黒くて綺麗な笑顔がどこにいったのやら。目の前のツナは物凄く挙動不審で、私の知っているツナに限りなく近かった。流れるとでも思ったのだろうか。






「…………ぷっ」






私は思わず笑っていた。







「な…何で笑うんだよ!?」


「ご、ごめん。なんかおかしくて…………」






そう言って笑っていると、ツナは「心配したのに」と脹れた。でもどこかホッとしているようにも見えたので、私は「ごめん」ともう一度謝った。鎌掛けたことで罪悪感でも感じたのだろう。…………それにしてはさっきのは黒くて綺麗な笑顔だったが。






「それで?教えてくれるんでしょう?」





このまま痴話話に花を咲かすわけにもいかない私は、ツナに話を元に戻すよう促した。ツナもちゃんと答えてくれた。





「そう…………あー、でも理由つったって残念ながら大した物じゃないんだよなぁ」






頭をボリボリと掻く。無重力に逆らったハニーブラウンの髪が綺麗に揺れる。






「そうなの?」


「うん。…………表向きの理由は過去の俺たちが未来を見てるのに、俺達はずっと丸い装置の中ってなんかズルいじゃん?だから俺達も一日ぐらい過去に行ってみようって正一に話してさ」





いやー、その事言ったら雲雀さんからものすごい剣幕で睨まれたよ。と楽しそうに笑うツナ。



それは…………。





「本当に大したことにない………」





正直アホか、と突っ込みたいけど、我慢我慢。仮にも…………仮にも相手は年上だぞ、ユカ。


提案した時に正一が頭を抱えたのが目に浮かぶ。そんな奴らの周りにいたらそれはお腹壊しやすくなるわ。






「ま、それにあんな世界にいたらこっちの平和な空気にも触れたくなってさ。気分転換ってやつ?本当にこっちの状況も知りたかったし」





ぴろっと何処からか写真を取り出す。その写真は…………私が公園で見たものと同じものだった。





「これ見てたら、戻りたくなったんだ」


「………そんなにひどいの?」





未来の状況。




「……平和は見掛けだけって感じだったかな。一般人の人も、何かが起こってるってことは薄々勘づかれていたみたいだし」


「…………」


「でもさ。本当の所、こっちに来る一番の理由がユカに会うことだった」


「私?」


「うん」





そう言ってツナは写真を自分の懐にしまいこんだ。






「ユカに会って聞きたい事が沢山あった。…………だから最初にいきなりユカに会えた時はビックリしたよ」






ツナは微笑む。私は何となくそれに違和感があるような気がした。…… ……私はそれを無視することしか出来なくて。





「そんなの私だって……人がいきなり倒れてるんだもん。しかもそれがツナとは思わなかったし」


「ごめんごめん。それで、こっからが重要なんだけど」


「?」


「明日………俺だけじゃなくて、他の守護者達もやって来ちゃったりします」


「他の守護者達も……………………ええええっ!!?それって十年後の!?」


「あ、やっぱり驚いた」


「そりゃ驚くよっ!」






私は思いっきり怒鳴る。
だってそんなこと…………。





「うん。だから明日一緒に探しに言ってもらえたらありがたいなって」


「……分かった」


「あ、ついでに。…………行かないと、事情を知らない皆が正一を殺しに行っちゃうかもしれないからさ?隼人とか」


「分かったってば。脅しかけないでよ」







私はムスっと答える。




黒ツナ…………嫌いじゃないけど感じ悪いな、おい。



これは立派な脅迫ではないのか。あの人が黒幕ではないと分かっているのに殺しに行かれるなんて言われたら、何としても皆を探し出さないといけなくなる。拒否するつもりなんてないが、その言い草には何だか納得がいかない。………私がこちらにいるまでの間、中学生の真っ白なツナが黒くなるのを押さえなきゃなと秘かに決意。何故か頭痛がするのはきっと気のせいなんかでは無いのだろう。私は頭を押さえた。







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あきゅろす。
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