雲珠桜は夏に彩る 大空の本音05 「ま、そう言うことで空いてるのは一つだけなんで。一人には私の部屋で我慢してもらわないと」 「あ、じゃあ俺で!急にやって来たのは俺だし」 はいはーいとツナは挙手をする。 「じゃあツナが………」 「いやいや、沢田さんは年上なんですから一人部屋をどうぞ!」 「え」 「笠原もきっと年の近い方が、年上と寝るより気がねなく寝れるだろう」 「いや、別に私は……」 「いやいや、分かってないなあ草壁さん。俺とユカの付き合いだよ?むしろ俺の方がゆっくりと寝れるって」 「は?二人とも?」 何言い合いしてんの。 二人はどちらが一人部屋で寝るのか、ではなく、どちらが私の部屋で寝るかで言い争っていた。普通、どっちが一人部屋かで口論しそうなものなのに。 私はハア、と呆れる様にため息をついた。 「…………で、何でこうなってるんですかね?」 「煩いから」 私の目の前では雲雀さんが優雅に寛いでいる。私が立っているのは、雲雀さんの匂いに包まれた部屋。雲雀さんの部屋だった。 今、私の部屋には草壁さんが。昨日草壁さんが使っていた部屋にはツナが入っていた。 ツナには私の部屋で寝ないように言ってある。…………今の性格だったら、一人にさせると勝手に部屋を物色されそうだ。その点草壁さんなら安心して貸せる。 ああ、十年経つだけでこんなに信用できない性格になっちゃうんだ。今のツナはとっても可愛かったのに…………。 ホロリと涙を拭う。 「それはそうと雲雀さん。これは群れてるのに入らないんですか?」 床に持ってきた布団を敷きながら、ベットに寄り掛かって本を読んでいる雲雀さんに話しかける。 そんな姿も様になっちゃって。 「家に四人居ること事態がもう群れてるよ。…………今すぐにでも咬みこ…帰らせたい」 「本音ポロリと出ちゃってます、雲雀さん」 ああ、やっぱり雲雀さんの機嫌は、相当よろしくないようだ。…………このまま寝たら永遠に目が覚めないってことないよね? [*前へ][次へ#] |