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雲珠桜は夏に彩る
大空の本音03







「おい、笠原………正直俺、帰りたいんだが」


「私もです、草壁さん」


「お前の家は此処だろう」


「そりゃそうなんですけど。……私の言いたいこと、草壁さんなら分かってくれるでしょう?」


「ああ、分かる」





二人で小声で話し合う。
私の顔がストレスでゲッソリなっているように、草壁さんも気疲れで痩せこけて見える。
二人は目の前の二人を見ると、同じタイミングで息を吐いた…………。









「草壁さんって料理上手いんですね!感動しました!」


「……どうも」


「…………(イライラ)」


「雲雀さん?殺気押さえて…………」


「やだ」


「「…………」」


「(草壁さん……もう私、泣きたいです……)」


「(ああ、俺もだ……!)」


「「何を二人で話してるの?」」


「「何でもないです、はい」」





さっきからこんな感じの会話の繰り返し。
ツナがガラスを破って家に上がり込んでから、当たり前だがツナはそのまま家を出ようとはしなかった。しかもツナがこの家に寝泊まりすることに。草壁さんも家事のため泊まっていたからこの家には四人も寝泊まりすることになる。



…………凍えて外で焚き火されるよりは、断然良いに決まってるんだけど。



そんな事より私と草壁さんが一番気にしているのは雲雀さんだ。雲雀さんの機嫌だ。
ただえさえ悪かった機嫌がもっと悪くなっていっているのが分かる。しかもその原因となっているツナは、呑気そうに食事中ときた。

これで機嫌が悪くならないはずがない。







…………これは、逃げるが勝ちだな。








「(草壁さん、ごめんなさい)ええーっと…………取り敢えず私、自分の部屋片してくるね。ツナ、食べ終わったら布団もって上がってきてくれる?」


「(なっ…………笠原!?俺はどうすれば良いんだ!?)」


「へ?…………う、うん?」


「ありがとう」





草壁さん、ごめんなさい。私は安全地帯に逃げます!




私は席をゆっくりと立ち上がる。緊張して座っていたせいか、骨がギシギシいっている。




いざさらば!心臓に悪い空間!



ビバ!私の部屋!








「…………ねえ、ちょっと待ってユカ」


「は、はい?」





後ろから聞こえてくる低音ボイス。
何故ここで引き留めるかな!?大人しくいかせてくれよ!




「何でユカの部屋に布団を持っていくんだい?」





雲雀は眉間にシワを寄せたまま首をかしげる。




あ、なんだ。そんなことか。





「そりゃ、二人が寝るんだから布団、もう一つぐらい必要でしょ?」


「「「…………は?」」」


「?」





ここでは雲雀だけではなく、三人が揃って声をあげた。
この三人でそう言う事ってあるんだね。







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あきゅろす。
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