雲珠桜は夏に彩る Cielo 06 名前を呼ばれて固まる私…………。でも男の人はそんなこと関係無しにじろじろと、まるで信じられないようなものを見ているような目で見つめられた。 そして私の戸惑っている目に気付いた。 「あー、もしかして分かんないかな?十年間で俺、そんなに変わってないかなとか思っていたんだけど…………」 ま、十年だもんね、と困ったように苦笑する。その笑顔は私のよく知っている人とよく似て………面影が重なった。 …………嘘。 「…………ツ……ナ?」 私の知っている声より低くなった。 私の知っている顔より大人になった。 私の知っている背よりかなり高くなった。 でも………面影は、あの嫌なことも良いことも全てを包み込んでくれそうな…………あの笑顔。 いつのまにか私の知らない笑顔を身に付けた………… 「うん。俺」 そう言って笑う大人になったツナは、出会った頃と同じ笑みを私に向けた。 「うん。俺」 「ええええっ!?」 目の前にいる人物。 やけに正装している…………スーツを着ている人物。よくよく見れば、ネクタイにはボンゴレの紋章が綺麗に刺繍されていた。 「ツ、ツ、ツ、ツナ!?い、いや、ツナさん………?」 「あはは、別に良いよ敬語とか。普通にいつもみたいにツナって呼んで?」 「は………はあ」 みなさん…………お分かりでしょうか?私の目の前に居る人物。 リボーンファンなら誰もが夢を見るはず、あの原作にも出てこなかった、十年後のツナが…………目の前にいます!! 「ツナが私よりでっかくなってる…………」 「俺見て第一声がそれ?」 「だ……だってあのツナが…………」 私を見下ろしている。 「…………あの可愛いツナは何処へ」 そう言って頭を抱える私。 ヤバイ………… 顔のにやけがとまんねえ!! [*前へ][次へ#] |