[通常モード] [URL送信]

雲珠桜は夏に彩る
こんなはずじゃなかった03







なんで自分が拒まれずにここにいるのかは、自分にも分からない。私が異世界から来たから、とかに関係したり説明できたりするのだろうか?どっちにしろ最悪だ。こんなオプション、貰っても全く嬉しくはない。
元々このように戦いに関わるつもりは毛頭なかったユカにとって、この展開はあまり芳しい物ではなく、こんな勝手に巻きこまれる展開に苛立ちを隠せなかった。





「………(だって、ほら)」





私は浮く体を必死にバランスを取りながら炎の玉の外を見る。そこには先ほどまで戦っていた皆が勿論居た。その中に、こちらに来て初めて見る事になる十年後のヴァリア―のメンツや、正確に言えば初めてとは違うのだが骸の姿や真六弔花の姿もある。
それで………十年で随分と印象の変わったザンザスを見れた事は嬉しいのだが、彼はこちらにあの持ち前の鋭い視線を投げかけている。それは心配とか何とか都合の良いような物ではなく、ただ私が捕まっているも同然の姿に何しているんだと強く批判する様な鋭い目だ。その目がいろんな意味で自分に突き刺さる。

またまた、同じ所にいる雲雀さんも皆と同じように戦闘の手を止め、私の方を見ている。私が雲雀さんを見つけて声を上げると、目があった。いや、声を上げていなくても目はあっていた。ここからは聞こえないが、動いた口が私の名を紡いでいた気がする。
ここに来る前にあれだくどくどと説教じみたことを言っていた彼だ………きっと、心配をかけている。せめてもの思いで、小さく大丈夫だからと雲雀さんに視線を送った。
そんな保証はどこにもなかったのだけれど。





「やっ。ようこそ、ユニチャンにユカチャン!ユカチャンまで来てくれたのは予想外だったけど、嬉しいなぁ」


「白蘭」


「ユニ!ユカ!なんでここに来た!?」


「ツナ!!」


「沢田さん!?」





そうだ、原作通りだ。
ようやく地面に身体がついて安堵の息を洩らすと、次々と襲ってくる災難の元である声。分かっていながらも声の方を向くと、そこには捕えられたツナの姿。

………分かっていた。





「………なんでユカが、」


「それはさ、ユカチャンが異端な存在だからだよ。ユカチャンも僕らに引かれたんだ、大空である僕らにね」


「ユカは異端なんかじゃない!!」


「異端だよ」


「?!」





有無を言わせないかのような強い口調でのこの一言。雰囲気にのまれると言うのはこの事を言うのだろうか。





「知らないってことはないよね?ユカチャンが異世界から来たってこと。………知らなかったらそれはユカちゃんに信頼されていなかったってまでだけど」


「知ってるさ!!」


「………」





声が出せない。話の中心にいるはずのユカは、何故かその会話に入っていく事が出来ずにいた。

………いや、なんで否定する?

庇ってくれるツナには悪いが、私は確かに異端な存在だ。この世界から見れば、異端な存在なんだ。
そして私は幾度となく、それをこの半年で実感してきた。






[*前へ][次へ#]

第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!